除虫菊とは?植物特性や効果を解説!育て方やパウダーの作り方も紹介!

除虫菊とは?植物特性や効果を解説!育て方やパウダーの作り方も紹介!

マーガレットに似た白い花の除虫菊は、防虫・殺虫効果を持つキク科の植物です。鉢植えでも簡単に育てられる除虫菊の植物としての特徴、種まきや植え付けなどの時期などの育て方を紹介します。あわせて殺虫剤の種類や用途、殺虫、防虫成分、手作り防虫剤などもチェックしましょう。

記事の目次

  1. 1.除虫菊とは
  2. 2.除虫菊の成分と効果
  3. 3.除虫菊の育て方
  4. 4.除虫菊を利用した殺虫剤
  5. 5.手作り殺虫剤の作り方
  6. 6.まとめ

除虫菊とは

Photo byAnzhuzhu

除虫菊は、鉢植えにしておくだけで蚊などの虫を避けられる天然の防虫剤です。第二次世界大戦までは、殺虫剤の用途として日本で盛んに栽培されました。アウトドアに欠かせない蚊取り線香の原料になるのが除虫菊です。そんな除虫菊について詳しく見ていきましょう。

基本情報

和名 白花虫除菊(シロバナムシヨケギク)
別名 除虫菊(ジョチュウギク)
虫除け菊(ムシヨケギク)
学名 Chrysanthemum cineraiaefolium visiani
Dalmatian chrysanthemum
生薬名 除虫菊花(ジョチュウギクカ)頭状花
除虫菊(ジョチュウギク)地上部全体
形態 多年草
キク科 Asteraceae
亜科 キク亜科 Asteroideae
ヨモギギク属 Tanacetum
原産 地中海沿岸、中央アジア

植物としての特徴

防除菊は草丈約30~60cmのキク科の多年草で、茎が直立し、茎葉には白い毛が密生します。葉は細長く、羽状の2~3深裂で、同類の植物と見分けられます。花をつけるのは初夏(5~6月)です。茎頂に花径3cmほどの頭状花をつけます。外側に白い舌のような形の花弁がとり囲む、キク科の植物特有の花です。

赤花除虫菊もある

Photo byAnzhuzhu

除虫菊の花は一般的には白い色をしていますが、珍しい赤花除虫菊の種が販売されています。色は赤色というより濃いピンク、薄いピンク、白色のミックスで、観賞用に価値のある種類です。殺虫成分の含有量は一般的な除虫菊がもっとも高く、赤花除虫菊にも含まれますが、含有量は低くめです。

栽培

除虫菊は地中海沿岸原産の植物で、バルカン半島のセルビア共和国(旧ユーゴスラビア)で発見されました。古くから花の部分に防虫効果があることが知られており、かつては日本での栽培が盛んでしたが、殺虫成分が合成できるようになり、日本での栽培は激減しました。現在では殺虫剤の原料としてアフリカなどの国で栽培されています。

日本での栽培の歴史

除虫菊は日本に分布していない植物で、明治19年(1886年)に日本に伝わり、ハエやノミに対する殺虫効果が試されました。和歌山のみかん農園主・上山英一郎は、除虫菊を観賞用として育てていましたが、殺虫効果があることを知り、栽培に取り組むとともに蚊取り線香を開発しました。

名産地

その後、除虫菊は和歌山、広島、北海道など多くの地域で盛んに栽培されました。特に瀬戸内海沿岸の段々畑では、5月になると畑一面に咲き誇る除虫菊が「白いじゅうたん」と呼ばれます。また、尾道市因島には日本の除虫菊発祥の地として「除虫菊神社」があります。

除虫菊の成分と効果

防虫効果

除虫菊には天然の防虫効果が認められており、鉢植えにしておくと防虫剤として役立ちます。ただし、そのままでは防虫効果のみで殺虫効果はありません。火をつけて煙を出すことではじめて殺虫剤としての効果を発揮するのです。

殺虫効果

マーガレットに似た除虫菊の花の子房は、ピレトリン(ピレスロイド)という天然の殺虫成分を含みます。その含有量が最大になるのは花が開花し、満開になったときです。この成分は、人間や犬や猫などのペットに対して毒性がないことが確認されており、昔から安全な殺虫剤として利用され続けています。

薬効成分

除虫菊の天然殺虫成分はピレトリンです。このピレトリンに似た化合物をピレスロイドと呼びます。甲虫などには猛毒で、微量でゴキブリ、ムカデなどの種類の害虫を素早く駆除する効果をもちます。しかし、人間や家畜には無害です。安全な殺虫成分としてさまざまな製品に活用されています。

薬効成分の効果と特徴

  • 蚊、ゴキブリ、ムカデなどの害虫を素早く駆除
  • 忌避効果(虫が嫌がって近づかない)
  • 明るい場所への追い出し効果
  • 恒温動物の体内で素早く分解、排出される

除虫菊花(じょちゅうきくか)には、ピレトリン0.3%程度を含有していて、これは、人間や家畜などの温血動物には無害で、昆虫などには、猛毒になるという特殊な作用があるという

調整方法

殺虫剤の原料として使われる場合は、開花期に収穫します。用途によって頭状花だけを摘み取る場合と、全草を株元から刈り取りとる場合があり、陰干しまたは機械で乾燥させます。花には劣りますが、茎や葉にもピレトリンが含まれるため、除虫菊の茎葉を火にくべるだけでも除虫効果が見込めるのです。

使用上の注意点

ピレトリン(ピレスロイド)は害虫の皮膚や口から侵入し、神経系に作用し麻痺させることで殺虫効果を現します。害虫以外にも鈴虫やカブト虫などペットして飼育している昆虫や、金魚や熱帯魚などへの毒性もあるため、使用時にはカバーをするなど保護を忘れないでください。またピレトリンが皮膚に触れるとアレルギー反応を起こすことがあります。扱いにはくれぐれも注意しましょう。

次のページでは、除虫菊の育て方を解説します。

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除虫菊の育て方

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