ツメクサとは?名前の由来やシロツメクサとの違いを解説!駆除方法は?

ツメクサとは?名前の由来やシロツメクサとの違いを解説!駆除方法は?

ツメクサはナデシコ科の白いちいさな花をつける植物です。クローバーで有名なシロツメクサと名前が似ていますが、ツメクサとは全く異なります。この記事では、ツメクサとシロツメクサの違いやその特徴、駆除方法について紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.ツメクサとは?
  2. 2.ツメクサの形態的特徴
  3. 3.ツメクサの生態
  4. 4.ツメクサの防除
  5. 5.ツメクサの名前のついた植物
  6. 6.まとめ

ツメクサとは?

米粒ツメクサとクローバー
ボタニ子

ボタニ子

ツメクサ?ツメクサなら知ってるよ。クローバーの仲間だよね。

ボタ爺

ボタ爺

はっはっは。ツメクサはいわゆるクローバーとは違う植物なんだよ。

ボタニ子

ボタニ子

ええっ。違う植物なの?!名前が一緒だからクローバーの仲間と思っちゃったよ。

ボタ爺

ボタ爺

では、ツメクサがどういう植物なのか、クローバーとの違いもあわせて説明するぞ。

基本情報

学名 Sagina japonica Ohwi
和名 爪草
英名 Japanese pearlwort
別名 ホタルグサ、タカノツメ
分類 ナデシコ科ツメクサ属
形態 一年草または越年草

名前の由来

ツメクサ出典: https://www.toyo-green.com/technic/detail/id=460

ツメクサは和名の爪草からわかるように、葉の形が爪のようになっています。肉厚で丸みを帯び、先端が尖っている葉は、鳥の爪や切ったあとの爪に似ているため、爪草の名前の由来になりました。英名のpearwort(パールワート)は、真珠のような小さな花をつける姿が由来になっています。

シロツメクサの由来

シロツメクサ
フリー写真素材ぱくたそ

シロツメクサはヨーロッパ原産のマメ科の雑草です。クローバーという一般名が有名ですが、和名は白詰草といい、江戸時代にオランダから運ばれてくるガラス製品の緩衝材として箱に詰めていたことから、詰草と呼ばれるようになりました。シロツメクサはマメ科の帰化植物でツメクサはナデシコ科の在来種ですので、名前が似ているだけで全く違う植物になります。

分布

ツメクサは日本全土に分布しており、平地の道端や人家近くの石垣の間でみることができます。まだ、ゴルフ場やアスファルトの隙間など、他の植物が入り込むことができない場所も生息域です。海外では、中国からヒマラヤ地域まで生息域が広がっており、北アメリカでは帰化植物となっています。

ツメクサの形態的特徴

ツメクサの茎葉

出典:写真AC

ツメクサの茎葉は、地面に張りつくように生長するため、草丈が低く5~15cmぐらいにしかなりません。茎は細く、根もとで分岐し地表を四方に匍匐します。葉は長さ10~15mm前後で、向かい合って生えており、細く尖り肉厚で濃い緑色をしているため爪のように見えます。

ツメクサの花

ツメクサの花は4~5月に茎先や葉と茎のまた部分(葉腋)から伸びた花柄の先に付きます。花は3~4mmの白く小さな花で、5枚の萼片の間に花びらがついており枚数は5枚です。果実は卵形で中に0.4~0.5mmほどの種子が多く入っており、この種子から繁殖します。

ボタ爺

ボタ爺

ツメクサの雄しべと雌しべの数は5つ。種が出るときにも5等分に割れるんじゃ。5が好きな植物だな。

ツメクサの生態

発生場所について

ツメクサはアスファルトやコンクリートブロックの隙間、芝生の間など僅かな隙間で生育できます。湿った環境を好みますが、乾燥や踏圧に耐えられるのでどこでも生える雑草です。さらに、茎の成長点が地際にあるため、刈り取りしきれないことが多々あります。このような生態のため、ゴルフ場ではグリーンやラフなどの芝生の隙間に生えて凸凹をつくる厄介者として扱われています。

種子による発生について

ツメクサは種子から繁殖しますが、厳寒期以外の早春から秋期の長期間発生し続けます。秋ごろに発生したツメクサは雑草として問題になりますが、これは越冬し春に急激に大きくなるためです。ツメクサの種子の発芽条件は、光があたることと空気に触れることのため、土の浅い位置で発芽します。既存雑草種の勢力が衰える秋ごろに、そういった条件を満たすため秋の発生が多くなると考えられます。

ツメクサの防除

ゴルフ場
Photo by pinboke_planet

空地や道路などに生えたツメクサは手で摘み取ったり、グリサホート系除草剤などの非選択性除草剤を散布することで駆除することができますが、ここでは厄介な芝生に生えたツメクサの駆除方法について解説します。

農薬による防除方法

ツメクサは芝生の隙間を這うように生育し、刈り取りや踏圧に強いため、耕種的防除が難しい雑草です。そのため、種子からの発生を抑える土壌処理剤と芝生以外の雑草を枯らす選択性茎葉処理剤によって防除する方法が効果的です。

土壌処理剤による防除

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ツメクサは地表浅い部分から発芽し、根も短いため土壌処理剤がよく効きます。種子発生時期は秋に集中するため、土壌処理剤の散布は9月~10月の秋と4月~6月の春に実施することで防除できます。下記リンクでも芝生につかえる除草剤を紹介していますが、アージラン液剤やシバゲン、シバキープⅡ粒剤などの除草剤は高麗芝などの日本芝で使えます。

ボタ爺

ボタ爺

理研のウェーブル顆粒水和剤はツメクサ駆除の実績があるぞ。

茎葉処理剤による防除

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発生後のツメクサには、茎葉処理剤散布が効きますが、芝生刈取後のツメクサには葉がないため除草剤をよく吸収しないため効果が薄まります。まだ植物体が小さい状態で散布すると効果的ですが、温度が低い時期に散布すると防除効果が下がるため、気温が高い時間帯を狙ってください。茎葉処理剤にはアージラン液剤やMCPP液剤、シバキープエース液剤などの除草剤があります。

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ツメクサの名前のついた植物

シロツメクサなど似た名前の植物がいるツメクサですが、ここでは『ツメクサ』と名前のついた植物にどうようなものがあるか紹介していきます。

ハマツメクサ

ハマツメクサは、ナデシコ科の多年草です。名前のとおり海岸部で多くみられ、ツメクサより茎が太く、葉が肉厚なのが特徴です。花びらの数や色などもツメクサと同じですね。

ノハラツメクサ

ノハラツメクサはナデシコ科の一年草です。オオツメクサ属になるため、ツメクサから少し離れた親戚になります。ツメクサに比べると草丈が大きく自己主張も強いため、草原一面を覆うこともある植物です。葉も長いため、爪のようなイメージはあまりしません。

ウシオハナツメクサ

ウシオハナツメクサはナデシコ科ウシオツメクサ属の一年生もしくは多年生の植物です。特徴的な薄い紅色の花びらが綺麗な植物です。海岸地帯の湿った土壌に生息しているため、潮花爪草とよばれています。仲間にウシオツメクサがいるため、よく混同されます。

イワツメクサ

出典:写真AC

イワツメクサはナデシコ科ハコベ属の多年草です。ハコベ属になるため、ツメクサとはだいぶ遠い親戚ですね。名前のとおり、岩が多い高い山でみることができる植物で本州中部の山で確認できます。ツメクサより草丈も高く、白い花びらが大きく綺麗なため、登山家から好まれています。

ボタニ子

ボタニ子

ツメクサの仲間は道端だけでなくて草原や海岸、高い山と広く生息域を拡げているね。

コメツブツメクサ

出典:写真AC

コメツブツメクサはマメ科シャクジソウ属の一年草です。一見、黄色のツメクサに見えますが、マメ科ですのでシロツメクサの仲間です。葉の形もクローバーと同じ楕円形で、道端や河川岸で確認できます。米粒のような可愛らしい花をつけていることが名前の由来になっており、仲間にクスダマツメクサがいます。

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ボタ爺

ボタ爺

この他にも、ツメクサとは似ても似つかない「ツメクサガ」という、ガの一種がいるぞ。

まとめ

ツメクサとシロツメクサの違いについてわかったでしょうか。植物の種類としては異なる二つの雑草ですが、地を這うように生長するのは同じため、芝生で注意すべき雑草という点は共通していますね。ツメクサは、アスファルトやコンクリートの隙間など過酷ではありますが、身近な場所で生育している雑草ですので外に出られた際に探してみてください。きっと涙の数だけ強くなれる元気がもらえます!

dodon
ライター

dodon

農業普及指導員経験者。得意分野は農畜連携と牧草生産。草と農業者とのたたかいは有史以来おこなわれております。

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