マツバイとは?雑草としての特徴・生態や駆除方法をご紹介!

マツバイとは?雑草としての特徴・生態や駆除方法をご紹介!

田んぼの緑のカーペットのマツバイをご存知ですか?カヤツリグサ科の植物はたびたび水田栽培に迷惑をかける雑草ですが、針のような葉がびっしり生え揃う姿から柔らかい癒しの印象を感じます。今回は、マツバイの生態や利用方法について解説します。

記事の目次

  1. 1.マツバイとは?
  2. 2.マツバイの特徴
  3. 3.マツバイの生態
  4. 4.マツバイの防除
  5. 5.マツバイの利用
  6. 6.まとめ

マツバイとは?

マツバイ出典: http://www.naro.affrc.go.jp/org/harc/shokubutsu/129.html

田んぼをカーペットのように覆うマツバイという雑草をご存知ですか?ヘアーグラスという名前で水草として販売もされている植物ですが、マツバイは湿地帯であれば日本中どこでもみられる雑草です。この、マツバイにはすごい特徴として、陸上でも水中に沈んでも生活できることがあります。この記事ではそんなマツバイの特徴や生態について解説します。

基本情報

学名 Eleochais acicularis ROEM.et SCHULT.;Scirpus yokoscensis FRNCH. et SAVAT
和名 松葉藺
英名 Slenedr spikerush、needle spikerush
別名 ウシノケ、ヘアーグラス
分類 カヤツリグサ科ハリイ属
形態 多年草

名前の由来

イグサ
Photo by yamatsu

マツバイの名前の由来は葉の形が松葉や牛の毛に似ていることから名付けられました。日本の牛の体毛は、西洋の牛に比べて柔らかくやや長いことから、芝生のように群生しているマツバイの姿になぞらえたのでしょう。また、マツバイのイは、よく似た植物のイグサ科のイグサが由来になっています。

ボタニ子

ボタニ子

ヘアーグラスのヘアーは牛の毛だったのか!

分布

マツバイ出典: https://www.especmic.co.jp/bestmann/doc/001_matubaimatto/matubai.html

マツバイは、北海道から沖縄まで広い範囲に分布しています。田んぼや川端、池の近くなどの湿地帯に生息し、一部水中に浸かることもあります。海外では中国、朝鮮半島、シベリア東部にて確認することができます。

マツバイの特徴

マツバイの茎

マツバイ
Photo by NatureShutterbug

マツバイの茎は細い糸状で、地中に這い巡らせます。この茎は泥の中を何mも這わせて、各節から株を生じ高さ3~8cmぐらいまで伸ばします。短期間で繁殖し密生させるため、水田を芝生のように覆うのも早いです。また、マツバイの葉は退行しており、松葉のように見える葉は、実は稈と呼ばれる部位で、稲や竹の空洞の茎の部分に相当します。

マツバイの花

マツバイの花は6月~9月頃に、花穂を出し数個の鱗片からなる淡褐色の小穂を先端にひとつ付けます。花は長さ2~4mmの淡緑色の小さい花びらをまばらに咲かせます。越冬は、基本的には種子でおこなわず地下茎の越冬芽を形成しておこないます。

マツバイの生態

水陸両性

マツバイは水生(沈水)状態でも生育できます。通常、陸上植物の種類は大気中の二酸化炭素を取り込むために、立体的でしっかりとした体形をしており、葉の気孔から吸収します。一方、水生植物の種類は水中の二酸化炭素を取り込むために、水の抵抗をうけないよう柔らかい構造にして、気孔を退行させ水と接する面積を増やすよう茎や葉の形を発達させます。マツバイは、陸生のほうが生育はよいですが、細くて柔らかい水生植物の特性も持ち合わせているため、水中でも生育することができます。

似た植物との見分け方

ハリイ

マツバイの近似種のハリイは、マツバイよりやや大きく10~20cmの高さになります。また、匍匐する地下茎がないため、単一の株でそう生します。

チャボイ

チャボイ出典: https://www.hakatanoshio.co.jp/factory_info/plant/info_20171011_1527.html

チャボイは、マツバイとよく似ていて見分け方が難しいです。塩水でも生育できるため、汽水の川端でみかけることができます。マツバイと異なり、種子の表面が滑らかで、先端にほっそりした部分があります。

マツバイの防除

耕種的防除方法

耕運
Photo byterimakasih0

マツバイは、冬場に掘り起こすことで防除ができます。これは、湿地を好むはマツバイの地下茎が空気中にふれることで、乾いてしまい枯れるためです。冬期に該当箇所を耕運機で起こすだけでも効果がありますが、逆に抜き取りによる防除は取り残した地下茎が繁殖するため効果がありません。

化学的防除方法

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畦に生えたマツバイを防除するには、ラウンドアップやサンフーロンなどの非選択性除草剤を散布すればよいです。しかし、マツバイは水稲栽培中の水田でも繁殖して、水稲の生育をおびやかすこともあります。そのようなときは、以下の農薬を散布してください。


農薬名
使用時期 使用量 希釈液量 使用回数
MCPソーダ塩 有効分けつ終止期~幼穂形成期前
但し収穫60日前まで
160~200g/10a 70~100ℓ/10a 1回
ハイカット1キロ粒剤 移植後15日~ノビエ3.5葉期
但し収穫60日前まで
1kg/10a   - 1回
バサグラン粒剤 移植後15~55日
但し収穫60日前まで
3~4kg/10a   - 1回
※登録年月日 MCPソーダ塩 2017/6/21 ハイカット・バサグラン 2015/9/30

マツバイの利用

マツバイマット出典: https://www.especmic.co.jp/bestmann/doc/001_matubaimatto/matubai.html

芝生のように密生しているマツバイからは、均整がとれた美しさを感じることができます。この見た目に着目されたため、マツバイは水槽でのアクアリウムや庭先でのビオトープを彩る素材ヘアーグラスの名前で活用されています。

水草としての利用方法

マツバイは、アクアリウムやビオトープの水草として利用することができます。底床に一面に生えるマツバイは美しく、柔らかに揺れる姿は一面に広がる草原のようです。アクアリウムでは前景水草として使いやすく、ビオトープでは底床一面に敷いたり、地上部と水中部との中間点に植えたりすることができます。

マツバイの水中での栽培方法

マツバイを水中で育てる場合は二酸化炭素の供給、底床への肥料添加、強い日光が必要です。もともと田んぼの雑草ということで、丈夫で適応性の高い植物ですが、株の固まりをそのまま植えてしまうと、日当たりが悪い部分から枯れることがあります。株を小さくして、数cm間隔で植えて日当たりや二酸化炭素が吸収しやすい状況をつくりましょう。土壌も肥料さえ与えれば、砂利など細かい粒子以外の土でも構いません。

まとめ

田んぼの緑のカーペットであるマツバイはいかがだったでしょうか。マツバイは、かつては水田を覆い尽くす強害雑草として恐れられていましたが、今では水槽に自然の息づかいを与える価値ある植物として取り扱われています。また、最近ではマツバイに重金属を吸収させて環境汚染を改善するという研究も行われており、今後の活用に期待が集まっています。

dodon
ライター

dodon

農業普及指導員経験者。得意分野は農畜連携と牧草生産。草と農業者とのたたかいは有史以来おこなわれております。

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