ヤーコンの育て方・栽培方法!種芋の植え方から収穫方法までご紹介!

ヤーコンの育て方・栽培方法!種芋の植え方から収穫方法までご紹介!

冬が旬のヤーコン。フルーツのような甘さとみずみずしさが特徴的な野菜です。めずらしい野菜なだけに栽培も難しそうに思えますが、実はとても簡単です。株が大きく成長するためスペースが必要ですが、初心者でも容易に栽培できます。今回はヤーコンの育て方についてご紹介します。

記事の目次

  1. 1.ヤーコンとは
  2. 2.ヤーコンの栽培スケジュール
  3. 3.ヤーコンの栽培方法①種芋の植え方
  4. 4.ヤーコンの栽培方法②収穫までの管理
  5. 5.ヤーコンの栽培方法③収穫
  6. 6.ヤーコンの保存方法
  7. 7.まとめ

ヤーコンとは

出典:写真AC

春菊やレタスと同じキク科の野菜で、サツマイモのような見た目をしています。水分を多く含み、シャキシャキした食感と甘味で「梨みたい」と形容されることも多い野菜です。生でそのまま食べたりジュースにしたりすることはもちろん、きんぴらなどの料理にも活用できます。

ヤーコンの成分

ヤーコンはフラクトオリゴ糖やポリフェノール、食物繊維を多く含むことから、健康増進に役立つといわれています。とくにフラクトオリゴ糖が健康にもたらす影響は、近年非常に注目されています。

①虫歯になりにくい、
②難消化性で胃や腸で消化されない、
③整腸作用があり、ビフィズス菌などの善玉菌によく利用される、
④血中総コレステロールや中性脂肪が低下する、
⑤便秘の改善
などの効果が期待できます。
また
⑥血糖値の上昇やインスリンの分泌はほとんど生じないといわれています。
なお、フラクトオリゴ糖は、塊根中心部より皮層部に多く含まれています。

日本における産地

ヤーコンは1984年に日本に持ち込まれ、茨城県で栽培がスタートしました。国内の主な産地は北海道や香川県ですが、全国さまざまな地域で栽培されており、比較的幅広い気候に対応できる野菜であるといえます。

ヤーコンの基本情報

学名 Smallanthus sonchifolius
キク
スマランサス
原産地 南米アンデス地方
開花時期 10月~11月

ヤーコンの葉茎

出典:写真AC

ヤーコンの葉茎は1.5mから大きなもので2mほどと、とても大きく成長します。ヤーコンの芋を収穫するときに刈り取りますが、この葉茎はヤーコン茶に利用することもできます。

ヤーコン茶の作り方

葉と茎をきれいに洗って5分ほど蒸したあと、しっかり乾燥させてください。乾燥が不十分だと腐る原因にもなります。葉だけを利用すると苦みが強くなることがあるので、茎も一緒にお茶にすることをおすすめします。パリパリに乾燥した葉茎をハサミを使って細かく刻むとヤーコン茶葉になります。緑茶などと同様に急須で入れるとよいでしょう。

ヤーコンの花

ヤーコンは大変立派な葉茎でありながら、花の大きさは3、4cmほどとかわいらしいサイズです。開花期は秋~初冬、花は黄色で、小さなヒマワリのようです。

ヤーコンの栽培スケジュール

出典:写真AC

作業内容 作業時期
植え付け(種芋、苗) 3月~4月(寒冷地では5月)
追肥 月に一度
土寄せ 適宜
収穫 10月~12月(温暖地では長期の収穫も可能)

ヤーコンの栽培方法①種芋の植え方

出典:写真AC

ヤーコンは、苗を植え替えて育てることはもちろん、直接種芋を植え付けて育てることができるのでとても手軽です。株間をしっかりとって、大きくなるスペースを確保してあげることがポイントになります。できるだけ日当たりのよい場所に植えるとよいでしょう。

植え付け時期

植え付けは、遅霜の心配がなくなってからにします。温暖地では3月下旬から植え付けることができますが、寒冷地では5月になってから植え付けましょう。

種芋の準備

ヤーコンの種芋は、食用の芋とは異なります。ホームセンターの店頭には置いていないことも多いので、種苗店で注文するかインターネットで購入しましょう。

畑の準備

出典:写真AC

1㎡あたり2kgの堆肥を施して耕します。地中部を食べる野菜なので、できるだけ深く耕すとよいでしょう。また地中に大きな石や枝があれば取り除いてください。根菜は一般的に、地中に障害物があると太りにくかったり奇形になりやすかったりします。その後水はけをよくするため、幅1mほどの畝を立てます。

プランターでも栽培できる

ヤーコンをプランターで栽培するなら、一株あたり直径30cm以上、深さ30cm以上の大きめのプランターが必要です。野菜用の培土を使って育てましょう。

植え方

出典:写真AC

株間は50cm以上確保し、深さ10cm程度の穴を掘って植えていきます。苗を購入した場合も同様に株間50cm以上で植えましょう。植えたら水をあげてください。

苗のメリット

寒冷地では遅霜の心配があり、種芋を植え付ける時期がどうしても遅くなりがちです。植え付け時期が遅れると、収穫も遅れてしまいます。そういった場合、苗を購入するか育てて植え替えた方が、生育が遅れずに済むというメリットがあります。

ヤーコンの栽培方法②収穫までの管理

出典:写真AC

ヤーコンはあまり手間がかからないところも魅力のひとつと言えます。地上部はとても大きく育つので一見不安定にも思えますが、支柱を立てるなどといったことは必要ありません。ただし生育期間が長いため雑草が繁茂しやすいので注意してください。

ヤーコンの水やり

根菜は一般的に水をやりすぎると腐りやすくなるため、基本的には降雨のみでかまいません。乾きすぎて葉が黄色くなるようなことがあれば水やりをしましょう。

ヤーコンの追肥

ヤーコンは少ない肥料でも育つため、追肥はしなくてもかまいません。ただし土質や頻繁な降雨によって肥料成分が流れてしまうような場合には、追肥をした方がよいでしょう。追肥は月に1回程度を目安に、1㎡あたり30g程度を偏りなく施してください。土と混ぜてあげるとよりはやく効きやすいでしょう。

ヤーコンの土寄せ

出典:写真AC

ヤーコンにとって土寄せは必須ではありませんが、除草もかねて月に1回程度やっておくとよいでしょう。追肥をする場合は、そのタイミングでもかまいません。株元に土を寄せることで生育が促進される、固くなった地面がほぐされて水の浸透や水はけがよくなる、根に酸素が供給されやすくなるといったメリットがあります。

ヤーコンの病気や害虫

ヤーコンは病気や害虫に強い野菜なので、無農薬でも栽培することが可能です。ただし連作すると病気や害虫のリスクが高まってしまいます。過去1~2年の間にレタスや春菊、ゴボウなどのキク科の野菜を栽培した場所は避けた方が無難です。

ヤーコンの栽培方法③収穫

出典:写真AC

ヤーコンは、芋がたくさんついた塊をまるごと掘り起こして収穫するので、なかなかの重労働です。あまりがんばりすぎると腰を痛める原因にもなるので、気を付けながら作業を進めてください。

収穫時期はいつ?

10月~12月ですが、温暖地では1月や2月でも収穫が可能です。霜に何度もあたると芋が傷み腐りやすくなるため、その前に収穫するのが理想的です。雪が降る場所では積雪前に収穫して保存しておくとよいでしょう。

収穫方法

鎌や枝切り鋏などをつかって地上部を15cmほどに切ります。その後、株を中心に半径30cmの円を描くようにスコップを入れていくと掘り出しやすくなります。芋がたくさんついた塊を掘り出したら、食用の芋を折り取ってください。手で簡単に取ることができます。たまに地中に芋が残っていることもあるので、掘り出したあと確認すると取り残しがありません。

種芋を保管しておけば翌年も栽培可能

食用部を取り終わって残った部分は、ばらばらにほぐして翌年の種芋にすることができます。種芋は発泡スチロールケースの中にもみ殻をいっぱいいれて、その中で保存するとよいでしょう。高温多湿の場所を避け、凍らない程度の涼しい場所で保管してください。

ヤーコンの保存方法

出典:写真AC

ヤーコンをうまく育てることができれば、一株からたくさんの量を収穫することができます。一度に食べきれなければ、保存しておくことも可能です。

保存のポイント

保存する場合は、洗う必要はありません。芋についた泥を乾かして手で簡単に落としてから、ひとつひとつ新聞紙にくるみます。このとき泥が濡れていると腐る原因にもなるので注意してください。その後乾燥を防ぐためにポリ袋に入れ、冷暗所で保存してください。気温や湿度などの条件にもよりますが、1~2ヶ月は保存することができます。

地中に埋めて保存することもできる

地中は意外に寒暖差が少なく凍結しづらいので、畑に穴を掘って埋め、保存することもできます。ヤーコンだけでなく、大根など他の根菜でもこの方法で保存が可能です。

保存するとフラクトオリゴ糖は減少する

ヤーコンといえば、ダイエットや便秘解消に役立つフラクトオリゴ糖が豊富に含まれることで注目を浴びている野菜ですが、収穫後保存しておくと残念なことにフラクトオリゴ糖は減少します。フラクトオリゴ糖を摂取したい場合には、収穫後あまり日をあけずに食べた方がよいでしょう。

まとめ

出典:写真AC

体に嬉しい成分をたくさん含んでいるヤーコン。育て方も簡単で、初心者でも特別な資材など使わずに無農薬栽培が可能です。ヤーコンはスーパーなどに出回っている数も少なく、手軽に購入しづらい野菜でもありますが、自分で栽培して適切に保存しておけば長期間楽しむことができます。この機会にぜひ家庭菜園での栽培にチャレンジしてみてください。

マリ
ライター

マリ

元農家ライター。野菜づくりの楽しさや役立つ情報を発信していけるよう日々勉強中です。

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