マツムシソウ(スカビオサ)とは?品種や特徴を紹介!名前の由来は?

マツムシソウ(スカビオサ)とは?品種や特徴を紹介!名前の由来は?

日本のマツムシソウは高原を彩る薄紫の草花ですが、別名のスカビオサの仲間たちは白・赤・青・紫などさまざまな色や形に改良されて多くの品種が生まれています。マツムシソウというユニークな名前の由来、スカビオサの意味、品種やその特徴をご紹介します。

記事の目次

  1. 1.マツムシソウ(スカビオサ)とは
  2. 2.マツムシソウの特徴
  3. 3.マツムシソウの人気の園芸種
  4. 4.マツムシソウを育てるには
  5. 5.マツムシソウの楽しみ方
  6. 6.まとめ

マツムシソウ(スカビオサ)とは

出典:BOTANICA

日本で一般的に知られているマツムシソウは、北海道、本州、四国、九州の高原に自生するスイカズラ科マツムシソウ属の2年草です。学名を「スカビオサ・ジャポニカ」といいます。スカビオサの仲間は、アジア、アフリカ、ヨーロッパに80種類ほど分布しています。栽培されているのは、主に西洋マツムシソウとコーカサスマツムシソウです。

名前の由来は

マツムシソウの名前は、秋の高原の代表的な草花であることから、秋を告げる「松虫(マツムシ)」になぞらえたことが由来するといわれています。ほかにも、花が散ったあとの果実の形が僧侶の持つ松虫鉦(マツムシがね)に似ているからという説もあるようです。季節を感じさせる可憐な姿で、俳句の季語となり古くから親しまれています。

マツムシソウとスカビオサの違い

外来種はゴージャスで新種が人気
(出典:pixabay)

マツムシソウはスカビオサの和名で同じものですが、外来種を改良した園芸種の名前は主に「スカビオサ」が使われています。スカビオサの意味は、皮膚病の一種の「疥癬」です。「疥癬」に効く薬草とされていたことから、この名前がつきました。

マツムシソウの特徴

出典:BOTANICA

一見、キク科の花のようですが、雄しべのつき方と花の構造が異なるスイカズラ科です。日本固有種は高原でしか見られない草花で、外来種を改良した栽培用の園芸種があり、花の色、大きさ、咲く時期など多種多様です。

花のつき方

出典:BOTANICA

茎の頂上に小花が集まった頭状花で、花の中心部分の小花は筒状に丸まり、周辺部にいくにつれて花弁が広がります。中心部が盛り上がっている品種や、外側の花弁が大きくフリルのようになっている品種もあります。

形がユニークな果実

Photo by127071

花が終わると、実がなります。松ぼっくりやパイナップルにも見えますが、マツムシソウの名前の由来のひとつになっている松虫鉦(マツムシがね)に似ているといわれる果実です。熟すとバラバラと小さく分かれて、落下したり、上部のトゲが動物の体に引っかかって運ばれたりします。

マツムシソウの人気の園芸種

出典:BOTANICA

栽培されているマツムシソウのほとんどは、西洋マツムシソウとコーカサスマツムシソウの改良種で、それぞれ、スカビオサ・アトロプルプレア、スカビオサ・コーカシカといいます。どちらもスイカズラ科ですが、スカビオサ・コーカシカは、マツムシソウ属ではなくロメロシア属で、四季咲きの多年草です。

ジェラートブルーベリー

美味しそうと思われそうな名前で、濃い紫色とともにインパクトのある花です。コーンにジェラートを盛り付けたように小花が集まって盛り上がっているのが特徴で、草丈が60cmになるものもあり、花壇の花としても存在感があります。4〜11月くらいまで咲き続ける四季咲きで、耐寒性のある多年草です。

ピンクレース

ピンクレースの名の通り、繊細なピンクのレースが幾重にも重なっているように見える、とてもゴージャスな大輪の花です。草丈が60cmでこちらも存在感抜群。南アフリカ原産で暑さに強く、夏から秋にかけてピンクのフリルのような花びらで次々に咲くのが特徴です。花付きがよく、花壇や鉢植えが華やかになります。

ファーマ

一見するとアネモネのような大振りの花が魅力のファーマ。白、紫、青紫、青、濃紫、ピンク、赤など花色が豊富です。茎がしっかりしているため、切花に最適です。ブーケのメインにも使えて、上品で華やかな印象を与えます。多年草で通年花をつけますが、高温多湿に弱いため夏の間はケアが必要です。

パーフェクタ・アルバ

パーフェクタ・アルバは、花びらのフリルがかわいらしく上品な白色の花です。茎が長くてしっかりしており、切花に向いています。花嫁のドレスを思わせるような少しクリームがかった白は、お祝い事のアレンジメントにピッタリです。暑さに弱いため夏場にきちんとケアをすれば、次々に花を咲かせる多年草です。

マツムシソウを育てるには

(出典:pixabay)

種類や生育環境によって変わってきますが、栽培種のほとんどは四季咲きの多年草です。ファーマなどの、花の大きいスカビオサ・コーカシカ系のものは高温多湿が苦手ですが、夏をうまく越せば何年か楽しませてくれます。寒さには強い品種で、温暖な地方では冬から春先にかけても花を楽しめます。

育てやすい品種

日本固有種は主に高原の野草です
(出典:pixabay)

園芸用で出回っているのは外来の改良種で、花苗を育てるのはあまり難しくありません。暑さに強い品種もありますが、ほとんどが湿気には弱く、多年草でありながら株が弱って1〜2年くらいしかもたない場合があります。高温多湿の日本の夏は苦手ですが、耐寒性はあるため冬越しは可能です。

育て方

湿気を嫌うため、水はけと風通しが大切です。プランターに植え替える時ときなどは、普通の草花用培養土に鹿沼土や山砂などを3割ほど混ぜて水はけをよくし、日当たりがよく風の通りやすい場所に置きましょう。丈のある品種は、伸びてきたら支柱を立ててあげます。花付きがよく、こまめに花がら切りをすれば次々と咲きます。

マツムシソウの楽しみ方

出典:BOTANICA

日本固有種のマツムシソウは、秋の高原を歩きながら可憐な姿を楽しむ花です。一方、園芸用のスカビオサの仲間は花色のバリエーションが多く、花の大きさもいろいろあり、庭でも室内でも楽しめます。

庭で楽しむ

出典:写真AC

大輪の品種はそれだけでプランターなどで楽しめますが、ほかの花々となじみのよい小ぶりの品種もあります。淡い黄色の小さい花が可憐なスカビオサ・オクロレウカは、高原のマツムシソウの姿にも似て、ナチュラルガーデン向きといえます。ちょうど秋頃に咲くため、高原に行かなくても秋の風情を楽しませてくれるでしょう。

切り花で楽しむ

出典:写真AC

花が大ぶりで茎がしっかりしている品種は、切花で楽しめます。庭から切ってそのまま花瓶にさすだけでも十分に華やかで、室内に明るい雰囲気を漂わせるでしょう。また、フリルのような花びらの品種は、お祝い事など特別なときに使うアレンジメントやブーケに合います。十分に主役の存在感を漂わせますが、ほかの花をたてる脇役にもなれる使い勝手のよい花です。

まとめ

出典:BOTANICA

日本のマツムシソウは、一般手的には栽培されない品種です。しかし、園芸種のスカビオサは、西洋マツムシソウ(スカビオサ・アトロプルプレア)系も、コーカサスマツムシソウ(スカビオサ・コーカシカ)系も、ともにいくつもの新種が生まれています。それぞれよりカラフルに、より華やかさを感じさせる品種です。お庭や室内で楽しんでみるのはいかがでしょうか。

IKUKO.S
ライター

IKUKO.S

猫と植物をこよなく愛するライターです。

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