アイヌネギとは?北海道などで採れる山菜の概要やレシピを一挙ご紹介!

アイヌネギとは?北海道などで採れる山菜の概要やレシピを一挙ご紹介!

あまり聞きなじみのない「アイヌネギ」という名前の山菜。ところが「行者ニンニク」と聞いたら、おいしい山菜とイメージする人も多いのではないでしょうか?あえて、「アイヌネギ」というよび名でこの山菜についていろいろと掘り下げ紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.「アイヌネギ」とはどんな山菜?
  2. 2.キトビロとプクサについて
  3. 3.アイヌネギの旬の時期
  4. 4.食用としてのアイヌネギ
  5. 5.アイヌネギ(行者ニンニク)の栄養
  6. 6.アイヌネギ(行者ニンニク)の処理方法
  7. 7.アイヌネギ(行者ニンニク)を使った料理
  8. 8.アイヌネギ(行者ニンニク)を栽培
  9. 9.まとめ

「アイヌネギ」とはどんな山菜?

「アイヌネギ」とは一般的に、「行者ニンニク」のことで主に北海道でよばれる名称です。アイヌネギは春の訪れとともに芽吹き、夏の初めの時期には白色や薄紫色の小花を多数つけます。西洋では「ワイルドガーリック」とよばれる類似した山菜もあり、雪解けの時期になると見られるようです。ニンニク=ガーリックというように両方ともその臭いが特徴的です。

「アイヌネギ」の概要

学名 Allium victorialis subsp.platyphyllum
ヒガンバナ科
属性 ネギ属
分類 多年草
草丈 長さ20~30 cm
葉幅 3~10cm
原産地 ヨーロッパ
日本の分布地域 北海道から近畿(高山地域の湿地帯)
現在、アイヌネギ(行者ニンニク)の繁殖地域は国立公園などに指定されている自然保護区に多く、山間部などに流れる小川や沼地のような湿地に生息します。さらに生育期間が他の植物に比べ遅いので(5年から7年)、山菜の中では希少性の高い植物とされています。北海道ではアイヌネギの他にも「キトビロ」や「プクサ」とよばれることもあります。

キトビロとプクサについて

アイヌネギの別名、「キトビロ」と「プクサ」は北海道の中でも場所によってよび名が変わるようです。ニンニクのような強い臭いがあったので、北海道の先住民族であったアイヌの人たちは食材の他にも、極寒の地である北海道で生きる知恵として、風邪や肺病になった時には薬草としても用いていました。

カムイへのお供え

出典: https://www.city.sapporo.jp/shimin/pirka-kotan/jp/kogei/kitopiro--pukusa/index.html

キトビロ

キトビロの「キト」とは「祈祷(きとう)」からきたのでは?という説があります。その強烈な臭いから魔除けになると信じられていたのです。悪い病をもたらすという「カムイ」を寄せつけぬよう供えました。「ビロ」は、日本語の古語「ひる(蒜:ネギ)」がなまった言葉で、他にも同じネギ属の山菜の「ノビル(ノビロ)」からつけられたのではと解釈されています。

プクサ

キトビロは北海道の広い地域でよばれているのに対して、「プクサ」は長万部、虻田、有珠、室蘭、幌別、白老…など限られた地域でよばれています。アイヌ人々は種から長い年月をかけて育った山菜の葉をアイヌ語で、プクサといいました。山の恵みは必要以上は収穫せず、自然に感謝をするのがアイヌの食文化です。

「おまじない」としての意味

古来のアイヌ民族の間で、厄除けや魔除けとして使われていたのと同様に、ヨーロッパのドイツやボヘミア地方の山岳民族の間では、呪い除けの護符(お守り)として身につける習慣がありました。学名の中の 「A. victorialis 」は「勝利の山野草」という意味があります。ドラキュラがニンニクの臭いを嫌うのと似ています。

ニンニクの花言葉

アイヌネギ(行者ニンニク)の花言葉はありません。ニンニクの花がよく似ているのでニンニクの花言葉を紹介すると「勇気と力」「息災」です。災いから守る山菜である意味にも通じますね。

アイヌネギの旬の時期

アイヌネギは北海道の長い冬から春を告げる山菜です。北海道の5月の上旬から中旬にかけて、山間部の雑木林や水辺で自生します。ただし、北海道での生息地は自然保護区や国立公園などが多いことと、乱獲によって極めて採取するのが難しい山菜となっています。

採取について

本州での旬は3月下旬ころの高山です。ただし、採取が禁止されている場所もあるので要注意です。北海道では旬の時期になると採取しに山に入り、冬眠から目覚めた熊と遭遇したというニュースも出ますが、それほどにアイヌネギはおいしいといえます。

採取の仕方

この動画を見るとどんな場所に生息しているか、どんなスタイルで行くとよいかなど詳しくわかります。かなりワイルドな環境なので、完全防備なスタイルで行くことはわかりますね。

採取する時は【毒草】に注意

アイヌネギとよく似た野草に「スズラン」「コバイケイソウ」「イヌサフラン」があります。咲く時期も同じで花が咲いていれば違いがわかりますが、咲いていなければ見分けがつきにくい植物です。これらを誤って食べた場合、食中毒や死亡につながります。特に「イヌサフラン」はトリカブト並みの毒性があり、死亡事故も報告されているので厳重注意です。

『有毒イヌサフランを誤食、男性死亡』

スズラン

有毒部位 全株
有毒成分 強心配糖体
※コンバラトキシン、コンバラマリンなど全38種類
症状 嘔吐頭痛眩暈心不全血圧低下心臓麻痺など。
重症の場合は死に至る。

花が咲いているとそのかわいらしさからは想像もつきませんが、葉の見た目や生息している場所がアイヌネギとよく似ており、誤食してしまうケースが多いので注意です。

コバイケイソウ

出典: https://inakasensei.com/poisonous-plants

有毒部位 全株(特に茎、根元)
有毒成分 有毒アルカロイド
症状 摂食後30分〜1時間で、吐き気、嘔吐、手足のしびれ、
呼吸困難、脱力感、めまい、痙攣、血圧低下など。
重症になると意識不明から死亡するケースもあります。

生息してる場所がアイヌニンニクと同じ湿地なので、見間違いに厳重注意です。

イヌサフラン

出典: https://inakasensei.com/poisonous-plants

有毒部位 全株(種子、球根)
有毒物質 コルヒチン
症状 嘔吐、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難。
最悪の場合は死に至ります。

イヌサフランは鑑賞用の花として一般的に売られている植物でもあります。まれに山でもみられますが、園芸用で購入しガーデニングなどで育てる場合は、人やペットが誤って食べないように気をつける必要があります。

見分け方

出典: https://tiotrinitatis.com/hunter/alpine-leek_may18

  • 葉が2枚(まれに3枚)である。
  • 茎の根元部分を見てください。アイヌネギは赤紫色です。
  • 切った部分の匂いをかいで、ニンニクのような臭いがすればアイヌネギです。

食用としてのアイヌネギ

アイヌネギはニンニクの成分に近いので、風味や臭いはニンニク以上です。食べ過ぎは強い口臭を生じることがあります。採取の目安は葉が開く前の茎が太い(1cm位)ものです。アイヌの人たちは旬がくると1年分ほど採取し乾燥保存します。それを汁物や和え物など料理の食材として使っていました。

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アイヌネギ(行者ニンニク)の栄養

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