タチツボスミレとは?その特徴やオオタチツボスミレとの違いをご紹介!

タチツボスミレとは?その特徴やオオタチツボスミレとの違いをご紹介!

タチツボスミレという花をご存知でしょうか?山道や野原など、比較的身近な場所で見かける多年草の山野草です。うつ向きがちに咲く花姿が可憐で、心和ませるものがあります。このタチツボスミレについて、その特徴やオオタチツボスミレとの違いなどを説明します。

記事の目次

  1. 1.タチツボスミレとはどんな花?
  2. 2.タチツボスミレの特徴は?
  3. 3.タチツボスミレとオオタチツボスミレの違いは?
  4. 4.タチツボスミレの仲間
  5. 5.まとめ

タチツボスミレとはどんな花?

出典:写真AC

タチツボスミレは道端や山道に咲いていて、薄紫色の小さな花を咲かせる可憐な多年草のスミレです。ではこのタチツボスミレとはどんな花なのか、詳しくご紹介しましょう。

タチツボスミレの基本情報

学名 Viola grypoceras
属名 スミレ科スミレ属
分類 多年草山野草
草丈 5~20cm
開花時期 3月~5月

タチツボスミレの名前の由来

ボタニ子

ボタニ子

スミレという名前は、大工道具の形に似ているからと聞きましたが本当ですか?

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タチツボスミレは漢字では「立坪菫」と書きます。また「立壺菫」と書き表すこともあります。スミレはその花の形が、大工さんが使っていた墨入れ(墨が入っている壺のこと)に似ているので、「スミイレ」と呼ばれていたものが、その後「スミレ」という名前に変わっていったとされています。タチツボスミレを「立壺菫」と表記するのは、このように花の形が墨を入れる壺に似ているということに由来しています。

タチツボスミレの生息地

タチツボスミレは耐寒性も耐暑性もあるので、日本の北海道から沖縄までの全国で生息しています。日当たりのいいところから、大きな木の下で日陰になるところまで、どんな場所でも繁殖することができます。

タチツボスミレの特徴は?

タチツボスミレの花

出典:写真AC

薄紫色の小さな花

タチツボスミレの花は、5枚の花弁を持つ1~2cmほどの小さな花です。色は淡い紫色で、うつ向きがちに咲きます。タチツボスミレには、距(きょ)という花の後ろの方に突き出た突起物があります。この距は花びらやがくが変化したもので、スミレのほかにオダマキやランの花にもよく見られる特徴です。

花は葉の付け根に一輪咲く

タチツボスミレの花は、葉の間から伸びる花茎の先端に一輪咲きます。花茎は長さ6~10cmと短いので、地面近くに花が咲くような感じになります。

タチツボスミレの葉

葉はハート形をしている

タチツボスミレの葉は、薄くてきれいなハート形をしています。葉の周りにはギザギザののこぎりの歯のような切れ込みがあります。花が咲いている時期の葉は小さくて、地面から低い位置に開く生え方をしていますが、花が咲き終わると、葉茎が伸びてきて20cmほどの高さになります。葉も大きくなって、花が咲いている頃とはまた違った生え方になります。

ボタニ子

ボタニ子

ハート型の葉っぱがとっても可愛いですね~!

タチツボスミレの托葉(たくよう)

托葉(たくよう)とは葉の付け根に付いている小さな突起物

托葉とは、葉の付け根の、葉茎との接点になる部分に生えているちいさな突起のように見える葉のことです。この托葉は、葉が成長すると落ちるものが多く、とても小さくて目立たないので、よく見ないと気が付きません。タチツボスミレにも托葉があり、のこぎりの刃のように深い切れ込みがあります。

タチツボスミレの実

花が咲き終わった後に実がなる

タチツボスミレの花は3月~5月にかけて咲きます。花が咲き終わって落ちた後に、実がなって種ができます。実が熟すと下向きだった実が上向きになるので、その時期が種を採取するタイミングです。この種を冬にまけば、また春に芽がでます。

タチツボスミレとオオタチツボスミレの違いは?

オオタチツボスミレとはどんな花?

オオタチツボスミレはタチツボスミレの仲間で、同じく多年草の山野草です。学名は、Viola kusanoanaです。オオタチツボスミレはタチツボスミレとよく似ていて、同じように薄紫色の花が咲きます。ただ、細かなところで違いがあるので、それを知っていると見分けるのに役立ちます。ではどんなところが違うのか、わかりやすく説明しましょう。

花の違い

  タチツボスミレ オオタチツボスミレ
開花時期 3月~5月 4月~6月
花の色 淡い紫色
中央の絞り模様が薄い
少し赤みがかかった紫色
中央の絞り模様がくっきりしている
花の大きさ 1.5~2cm 2cm、タチツボスミレより一回り大きめ
花茎の出方 葉茎の付け根から出る 茎の途中から出る
距は薄紫色 距は白色
(距:花の後ろにある突起物のこと)

ボタニ子

ボタニ子

オオタチツボスミレの方か花が大きいし、後ろに突き出た距が白いから、すぐ見分けがつくね!

葉の違い

  タチツボスミレ オオタチツボスミレ
葉の形 丸いハート形 タチツボスミレより丸みがあり、先が尖っている
葉脈 柔らかな葉脈 へこみがくっきりとした葉脈

ボタニ子

ボタニ子

葉の形や葉脈でも、見分けることができるんだね!

生息地の違い

  タチツボスミレ オオタチツボスミレ
分布 北海道から沖縄までのほとんどの場所で生息する 北海道から九州までの主に多雪な日本海側に多く生息する
日当たり 日当たりから日陰まで 湿気のある半日陰

ボタニ子

ボタニ子

オオタチツボスミレは雪が多い地方でよく咲いているんですね~!

タチツボスミレの仲間

ニオイタチツボスミレ

ニオイタチツボスミレはいい香りがする

ニオイタチツボスミレの学名はViola obtusaです。名前のとおり、花はとてもいい香りがします。タチツボスミレとの違いは、花の色が濃い紫色で、距(きょ)はタチツボスミレより太くて大きめです。葉は少し長細い形です。

ニオイタチツボスミレの生息地

ニオイタチツボスミレは北海道から九州にかけて分布しています。日当たりが良くて乾燥している草地などに生息します。

ナガハシスミレ

ナガハシスミレは距がとても長い

ナガハシスミレの学名はViola rostrata var. japonicaです。ナガハシスミレの大きな特徴は、距がとても長いことで、一目でタチツボスミレとは見分けがつきます。葉は円形に近いハート形で、先が細くとがっています。

ナガハシスミレの生息地

ナガハシスミレは北海道から四国にかけて分布しています。主に日本海側の雪が多い地方に多く見られ、乾き気味の山地や林に生息しています。

ナガバノタチツボスミレ

ナガバノタチツボスミレは葉が長細い

ナガバノタチツボスミレの学名はViola ovato-oblongaです。名前のとおり、葉の形が長細いのが特徴です。また葉脈沿いに赤紫色の斑が入ることが多いので、タチツボスミレと見分ける場合は、葉を見るとわかりやすいです。

ナガバノタチツボスミレの生息地

ナガバノタチツボスミレは中部地方から西の地域の本州から四国、九州にかけて分布しています。日当たりがいい場所でも見られますが、乾き気味で半日陰の場所を多く好んで生息しています。

サンインタチツボスミレ

サンインタチツボスミレは濃淡がない紫の花

サンインタチツボスミレの学名はViola sp.です。花は綺麗な紫一色の花びらをしていて、タチツボスミレのような濃淡がありません。葉は全体的に丸く、縁の切れ込みも浅いのがタチツボスミレとの違いです。また、葉は立ち上がらず地面をほふくして広がります。

サンインタチツボスミレの生息地

サンインタチツボスミレは東北から四国、九州にかけての日本海側に多く分布しています。落葉樹の森林などに生息しています。

コタチツボスミレ

コタチツボスミレは花も葉も小さめ

コタチツボスミレの学名はViola grypoceras var. exilisです。タチツボスミレの仲間の中ではこのコタチツボスミレが一番よく似ていますが、名前通り花や葉が小さめです。ほとんど上に伸びず、地面から低い位置で葉を広げる生え方をします。

コタチツボスミレの生息地

北海道から沖縄まで全国に分布していますが、特に九州に多く見られます。

ツルタチツボスミレ

ツルタチツボスミレはつるのように伸びる

ツルタチツボスミレの学名はViola rhizomataです。茎がつるのように伸びる生え方をするので、ツルタチツボスミレという名前が付いています。距が白くて後ろに伸びていることが、タチツボスミレとは違うので見分けることができます。

ツルタチツボスミレの生息地

ツルタチツボスミレは東北地方から中国地方にかけての日本海側に分布しています。特にブナ林なとで、ブナの根元あたりに咲いているのをよく見かけます。

まとめ

出典:写真AC

タチツボスミレについて、その特徴や仲間などについて詳しくご紹介しましたが、意外と私たちの身近にある山野草だということがお分かりいただけたでしょうか。山道で人知れず咲いているタチツボスミレを見かけたときは、ぜひ近づいてよく観察してみてくださいね。

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kurumi
ライター

kurumi

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