ししとうは熱帯アメリカが原産の多年草で、花後の7月〜11月にかけて、実を長期間収穫できるのが魅力です。育て方が比較的簡単で、家庭菜園やベランダ栽培だけでなく、水耕栽培でも気軽に育てられます。
園芸部類 | 野菜 |
形態 | 多年草 |
樹高 | 50cm〜80cm |
花の色 | 白色 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ししとうは、ナス科トウガラシ属に分類されている野菜です。しかし、トウガラシのようなピリッとした辛みが少なく「甘味種」と呼ばれています。開花時期は5月〜9月で、花後に細長い実をつけるのが特徴です。実の大きさが5cm〜10cmほどになったら収穫しましょう。ししとうは、熟す前の緑色の状態で収穫される場合がほとんどです。
名前の由来は?
ししとうは「獅子唐辛子」とも呼ばれている野菜です。ししとうの実の先端部分が、獅子の口に似ているため「獅子」とついています。また、ししとうはトウガラシ属に分類されており、2つを掛け合わせて「獅子唐辛子」から「ししとう」と名付けられました。
花言葉は?
ししとうには「旧友」「雅味」「辛辣」「嫉妬」という花言葉がついています。ししとうは、本来辛みの少ない野菜ですが、稀に辛いししとうが混ざっているのが特徴です。その辛みから「辛辣」という花言葉がついたといわれています。また「雅味」とは「上品な味」という意味で、ししとうの奥深い味わいからつけられた花言葉です。
万願寺とうがらし
参考価格: 605円
万願寺とうがらしは、鮮やかな緑色の実が特徴で、京野菜としても親しまれています。京都の舞鶴地方でのみ作られている希少種です。完熟して真っ赤に色付いた万願寺とうがらしは甘みが強く、揚げ物や煮物に利用されています。
大きさ | 10cm~18cm |
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原産地 | 京都 |
伏見甘長とうがらし
参考価格: 4,284円
伏見甘長トウガラシは、京都の伏見地方で栽培されている品種です。実が細長い紐のような形をしているため「ひもとう」とも呼ばれています。ししとうの中でも大型の品種で、辛みが少ないのが特徴です。
大きさ | 10cm~15cm |
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原産地 | 京都 |
種まきの時期 | 2月〜3月 |
植え付け・植え替え時期 | 5月〜6月 |
花が咲く時期・開花時期 | 5月〜9月 |
実がなる時期 | 7月〜11月 |
収穫時期 | 7月〜11月 |
栽培適期は?
ししとうは、2月〜3月に種まきをして梅雨前までに植え付け、初夏〜秋にかけて収穫という周期で育てます。耐寒性がやや弱いため、寒さが厳しくなる前には収穫を終わらせるのがポイントです。ししとうの生育適温は22℃〜30℃のため、寒冷地の場合はほとんどがハウス栽培されています。ししとうは多年草に分類されており、ハウス栽培の場合は冬越しが可能です。
ししとうは地植えでも鉢植えでも栽培できます。広いスペースが確保できる場合は、畑に畝を立ててから植え付けましょう。プランター栽培にする場合は、60cmサイズのプランターに2株〜3株植え付けます。植木鉢で育てる場合は、1つの鉢に1株ずつ育ててください。鉢が倒れないように、重みのある鉢を使用するのがおすすめです。
水耕栽培できる?
ししとうは、水耕栽培でも育てられます。ペットボトルの空き容器などを利用して、根の部分がしっかりと水に浸かるように管理してください。古い水を入れっぱなしにすると、病気に感染したり、害虫被害を受けて枯れる恐れがあるため、毎日新しい清潔な水に交換しましょう。
ししとうは日光をたっぷりと当てて育てることで、おいしい実が収穫できます。そのため基本的には屋外で育てるのがおすすめですが、水耕栽培の場合は室内で管理します。室内の場合は、レースのカーテン越しの窓辺など、適度に日光の差し込む場所に置いてください。
ししとうは、日当たりと風通しのよい場所で管理してください。日当たりが悪いと、茎だけが間延びして花付きが悪くなり、収穫量が少なくなってしまいます。葉が密に茂る性質があるため、風通しのよい場所で管理して、病気や害虫被害を予防しましょう。
ししとうはナス科に分類されており、連作障害を起こしやすいので注意が必要です。ししとうを育てた同じ場所でもう一度栽培する場合は、3年〜4年ほど期間をあけてから植え付けましょう。プランターや鉢植えの場合は、新しい用土に入れ替えれば、連作障害を起こさずに栽培が可能です。
連作障害を起こすとどうなる?
ししとうを毎回同じ場所で育てると、連作障害を起こします。連作障害を起こすと「青枯れ病」や「灰色カビ病」「モザイク病」などに感染するリスクが高くなるので注意しましょう。ししとうはナス科に分類されているため、ししとう以外にも、ナス科に分類されるトマトやじゃがいもでも連作障害を起こします。
ししとうを畑で栽培する場合は、畝を立ててから植え付けていきましょう。畝の高さは20cm〜30cm、畝の幅は90cm〜120cmほどが目安です。畝をいくつも立てる場合は、畝間を30cmほどあけておくと、水やりや追肥の管理がしやすくなります。
畑の排水性が悪い場合は?
ししとうを栽培する場所の水はけが悪い場合は、畝の高さを40cm〜50cmほどの高畝にしましょう。ししとうは、やや乾燥している高温の環境を好むため、日陰になっていたりジメジメと湿っていたりする環境では、上手に育たず枯れる恐れがあります。高畝にすると排水性が高くなり、日光が当たりやすくなる効果も期待できます。
ししとうは、水はけと水もちのよさを兼ね備えた用土で育てましょう。プランターや植木鉢で育てる場合は、市販されている「野菜用培養土」を使用すると便利です。自分で配合する場合は、赤玉土の小粒と腐葉土を混ぜ込んでから、少量のバーミキュライトを加えた用土を使用してください。
地植えにする場合の用土作りは?
ししとうは肥料を好む植物のため、地植えで栽培する場合は、植え付けの2週間ほど前から肥沃な土壌に調節しておくのがポイントです。まず、苗を植え付ける2週間前に苦土石灰を混ぜ込み、用土をpH6.0〜pH6.5程度にします。次に、1週間前に堆肥をたっぷりとすき込み、用土をふかふかに耕しておきましょう。
ししとうの種まきは2月〜3月が適期です。ししとうの種はとても小さいので、地面にそのまま種まきをすると雨で流れてしまう恐れがあります。そのため、地植えの場合は育苗ポットやセルトレーに一旦種まきをして、本葉が2枚〜3枚程度になってから畝に植え付けていきましょう。鉢植えの場合は、植木鉢やプランターに直接種まきをしても構いません。
ししとうの発芽適温は28℃〜30℃です。2月〜3月に屋外で28℃〜30℃を保つのは難しいため、種まきをしてから発芽するまでは室内で管理しましょう。毎日水やりをして、水切れを起こさないように管理します。屋外でしか管理できない場合は、ビニールハウスで育てるか、温床を使用しないと発芽は難しいです。
ししとうは、種まきをしてから発芽するまでの期間が長く、70日〜80日程度かかるのが特徴です。この期間は適度に日光を当てながら、風通しのい場所で管理します。夜に水やりをすると用土が乾きにくいので、朝のうちに水やりをすませましょう。用土の湿度が高い状態が続くと、種が腐る恐れがあるので避けてください。
ししとうの種を育苗ポットやセルトレーで育て、本葉が2枚〜3枚程度まで成長したら畝に定植していきましょう。育苗ポットやセルトレーから取り出す時には、根を傷つけないように土ごと取り出して植え付けます。株間は、40cm〜50cmほど余裕をもって植え付けてください。苗を深植えしないのがコツで、ポットの土が地面から少し浮いている程度がベストです。
シシトウを地植えで育てる場合は、植え付けの用土に元肥として緩効性の化成肥料や堆肥を施しておきます。鉢植えで「野菜用培養土」を使用した場合は、用土に栄養分が含まれているため、元肥を施す必要はありません。肥料の与えすぎは、肥料やけを起こして枯れる原因となるので注意してください。
ししとうは乾燥に弱いため、地植えで育てている場合も毎日水やりをしながら管理します。夏場は用土が乾きやすいので、朝と夕方の2回にわけて水やりをすると安心です。鉢植えの場合は、鉢底から水が流れ出る程度にたっぷりと水やりをしましょう。
ししとうは、草丈が60cm~80cm程度まで大きく成長するため、支柱に誘引しながら育てます。1株につき1本ずつ支柱を用意して、株元に支柱を立ててから、麻ヒモでしばってしっかりと固定してください。
ししとうの苗を定植したときに、稲わらを利用してマルチングを施しておきましょう。稲わらを敷いておくと、用土が乾燥しにくくなったり、雑草が生えるのを防いだりする効果が期待できます。また、ししとうは耐寒性がやや弱いため、マルチングをして冬越しさせると安心です。
ししとうの追肥は8月〜9月に行います。花後に実をつけたら、2週間〜3週間に1回の割合で株元に肥料を与えましょう。追肥をしすぎると枯れる恐れがあるため、規定の分量を守って肥料を与えてください。
ししとうは多年草のため、冬越しができれば毎年収穫ができます。しかし、連作障害を防ぐために、収穫を終えたら新しい場所に植え替えるのがポイントです。ししとうの植え替えは、植え付けと同じ5月〜6月に行いましょう。鉢植えの場合は、連作障害だけでなく根詰まりを起こして枯れるのを防ぐために毎年植え替えてください。
ししとうの開花時期は5月〜9月で、開花後およそ2週間〜3週間程度で実を収穫できます。実のサイズが5cm〜10cmほどのときが収穫適期です。
ししとうの葉が黄色くなる場合は、日照不足を疑いましょう。屋外で育てている場合は、ほかの植物や建物の陰になっていないか確認してください。鉢植えの場合は、日当たりのよい場所に移動させます。室内の場合は、半日以上は日光の当たる置き場所を選びましょう。葉が黄色い状態のまま放っておくと、カビが発生しやすくなり病気や害虫被害を受けて枯れる恐れがあります。
ししとうは5月〜9月に開花時期を迎え、花後に実をつけるのが特徴です。しかし、開花の途中で花がぽろっと落ちたり枯れたりする場合があります。開花時期にも関わらず花が落ちるのは、水の与えすぎが原因です。水が足りないと下葉から枯れ込んできますが、水が多すぎると花が落ちます。
ししとうの実が辛い場合は、水不足を起こしている恐れがあります。ししとうは、乾燥状態が続くとストレスを感じ「カプサイシン」という辛み成分を出すのが特徴です。また、水不足だけでなく、肥料不足を起こしても実が辛くなります。おいしい実を収穫するためには、水不足と肥料不足を起こさないように管理しましょう。
灰色カビ病は、梅雨などの湿度が高い時期に発生しやすい病気です。感染した部分が灰色の楕円形状に変色して葉の光合成を妨げるため、ししとうが弱ったり枯れたりします。感染した部分を放置すると、腐敗が始まり悪臭を放つようになるのが特徴です。灰色カビ病は薬剤を散布しても治せません。
うどんこ病はカビの菌糸が原因で発生する病気です。感染した部分が、うどん粉をまぶしたように白色の粉をふくため「うどんこ病」と呼ばれています。うどんこ病は乾燥している時期に発生しやすく、風がふくと糸状菌が飛ばされて、どんどんと感染箇所が広がっていくため注意が必要です。感染した部分は焼却処分をするか、ビニール袋に密閉して捨ててください。
アブラムシは、集団で寄生してししとうの栄養分を吸汁する害虫です。数が少ない場合はガムテープなどに貼り付けて駆除しますが、大量発生した場合は殺虫剤を散布して駆除してください。駆除が遅れると、栄養分が不足してししとうが枯れ込んできます。光り物が苦手なため、シルバーマルチを利用してアブラムシの発生を予防しましょう。
ハダニは、やや乾燥している時期に発生しやすい害虫です。葉の裏側などの見つけにくい場所に寄生するため、発見が遅れると大量発生している恐れがあります。放っておくと、葉が変色したり、株が枯れ込んだりするので注意しましょう。ハダニは水を嫌う性質があるので、定期的に葉水を行い、ハダニの発生を予防してください。
出典:写真AC