黒星病の代表的な症状と原因まとめ!予防・治療に効果的な対策は? | 病気・虫・雑草

黒星病になったバラの葉
学名Venturia inaequalis
別名
英名Black spot

黒星病とは

黒星病(くろぼしびょう)はバラ科の植物に発生する病気で、園芸植物のバラでは「黒点病」と呼ばれることもあります。原因はカビの仲間である糸状菌の一種です。黒星病に感染すると落葉や果実の成育阻害を引き起こすため、適切な対策が必要な病気です。

病気の症状

バラ科の植物が黒星病になると、黒い斑点が葉や果実表面に出はじめます。やがて大きくなった黒い斑点はさらに感染を広げます。黒い斑点部分からスス状のカビが出てくるようになるのは感染後期の症状で、ここまでくると根本的な治療は困難です。感染が進むにつれ、落葉や果実の成育阻害を引き起こし、観賞価値や収穫量に大きなマイナスの影響を与えます。

病気の初期症状に特徴はある?

黒星病の初期症状は小さな黒い斑点です。初期症状を見逃すと黒星病の感染は急激に広まります。厳密にいうと、感染初期の症状は目視できないといわれており、簡単に目視できるほどの大きさになった斑点は、病気がかなり進行した状態であるとおさえておきましょう。

黒星病が発生する原因は?

黒星病はカビの仲間である糸状菌が原因の病気です。黒星病の黒い斑点の中には無数の糸状菌が潜んでおり、ここから胞子をまき散らし、別の葉や果実に感染を広げます。カビの胞子は雨が降ると広がりやすくなるため、春や秋の長雨は黒星病が発生しやすい条件の一つです。

黒星病が発生しやすい時期と作物

病気が発生しやすい時期は?

黒星病は雨によって胞子を広げます。したがって、日本では梅雨の時期(5~6月)が発生のピークです。梅雨以外には秋雨前線が活発になる9~10月が発生しやすい時期です。

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
発生期間
発生のピーク

病気が発生しやすい植物は?

黒星病はバラ科植物がかかりやすい病気です。園芸品種として世界中で愛好家がいる「バラ」や、人気果樹の「リンゴ」「ナシ」「ウメ」「モモ」への発生が多く確認されています。

黒星病の症状と見分け方【作物別】

①バラの黒星病

目視できる初期症状の特徴や見分け方

バラが黒星病になった場合、葉にあらわれる小さな斑点が目視できる初期症状です。ほかの葉にはない数ミリの黒い斑点が見分け方のポイントで、斑点の発生とともに葉の黄化も見られるでしょう。バラの栽培が難しい理由は、黒星病の対処が困難だからともいわれるほどです。バラは黒星病にかかりやすく、感染すると成育に大きく影響を受けます。

②ナシの黒星病

目視できる初期症状の特徴や見分け方

ナシが黒星病になると、果実の表面に小さな黒い斑点があらわれます。感染が進んだ果実の黒い斑点をよく観察すると、ススのようなフワフワした胞子が見られるかもしれません。黒い斑点とスス状の胞子が黒星病の特徴です。

③ウメの黒星病

目視できる初期症状の特徴や見分け方

黒星病にかかった梅の初期症状も、そのほかの果樹と同様に果実表面の黒い斑点が特徴です。胞子が感染源なので、感染した実の近くにある実ほど黒斑点が多いのも見分けるポイントでしょう。

④リンゴの黒星病

目視できる初期症状の特徴や見分け方

リンゴの黒星病も果実表面に黒い斑点があらわれます。1つ放置しておけば周りに感染を広げるうえ、収量や見た目、味に大きな影響を与えるため、りんご農家では非常に警戒されています。

⑤モモの黒星病

目視できる初期症状の特徴や見分け方

モモの黒星病の症状も果実に多くあらわれる斑点です。黒い斑点があらわれるとモモの味や見た目を著しく悪くしてしまいます。

黒星病の予防方法

黒星病を予防する有効な手段は「風通しをよくする」「感染源の除去」「果実の袋掛け」「事前の薬剤散布」の4つです。

風通しをよくする

Photo by uka0310

黒星病は胞子で広がるため、湿度が高く、枝が込み入ったような場所で発生しやすくなります。特につるバラなど葉がしげる植物は、雨が続く時期に入る前に剪定しておきましょう。感染を抑える有効な手段になります。

感染源の除去

黒星病は斑点に潜む胞子によって感染が広まるため、感染部位すべてが感染源です。したがって初期症状があらわれた葉や果実は速やかに取り除く必要があります。ただし、取り除いた葉や実を地面などに投げ捨てておいても予防になりません。理由は、雨の跳ね返りなどによって胞子が舞い上がり、触れた箇所から侵入するからです。感染した葉や実はその場から完全に取り除きましょう。

果実の袋掛け

黒星病は舞い上がった胞子が葉や果実に付着して感染がはじまります。そのため、果実を黒星病から守るのに袋掛けは有効な手段です。リンゴやモモの栽培でよく選択される予防方法でしょう。

黒星病の予防効果が期待できる薬剤

黒星病は厳密な初期症状は目視できないため、はっきりとした症状があらわれだすと感染の拡大防止が非常に困難です。毎年のように黒星病が発生しているのならば、事前の薬剤散布が効果的ですので検討しましょう。

おすすめの予防薬剤

住友化学園芸 殺菌剤 STダコニール

住友化学園芸 殺菌剤 STダコニール1000 30ml

参考価格: 662円

出典: Amazon
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楽天

ダニコールは春夏に使用する黒星病対策材の主力商品です。規定量を水に薄め、植物に散布します。幅広い植物の複数の病気予防に使用できるうえ、耐性菌の発生も確認されていません。

おすすめ度★★★★☆
容量30mL

黒星病の治療方法

黒星病の対策は、定期的に植物を消毒して感染を予防しつつ、初期の感染を見つけて取り除くのが有効な方法です。感染してしまった植物に対して使える薬剤も販売されています。

黒星病の治療効果が期待できる薬剤

薬剤①STサプロール乳剤

【住友化学園芸】STサプロール乳剤

参考価格: 927円

出典: Amazon
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楽天

STサプロール乳剤は黒星病にかかりやすいバラの治療薬の定番の農薬です。規定量を水で薄めて散布して使用します。黒星病だけではなく、うどん粉病やさび病にも効果があります。感染が広まり、症状が進行してしまったものに対しての効果は薄いため、初期症状があらわれた段階で使用しましょう。

おすすめ度★★★★☆
容量30mL

薬剤②ラリー乳剤

【ダウ・アグロサイエンス】ラリー乳剤

参考価格: 3,322円

出典: Amazon
Amazon3,322円
楽天

ラリー水和剤は黒星病の治療だけではなく、予防にも効果的です。初期感染の段階で使用すると非常に効果的ですが、使用するタイミングや量には十分な注意が必要です。特に口にするおそれがある果実への使用は厳密な使用方法があります。はじめて使用する方は病害虫防除所などに説明を受けるのが安心でしょう。

おすすめ度★★★☆☆
容量100mL

薬剤③ベニカXファインスプレー

【住友化学園芸】ベニカXファインスプレー

参考価格: 1,009円

出典: Amazon
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楽天

ベニカXファインスプレーは初期症状に有効なラリー乳剤の有効成分が含まれています。家庭での使用を想定し、使いやすく安全な濃度にまで希釈されているので、農薬使用に慣れていない人はまずこちらの1本を試してみるのがよいでしょう。

おすすめ度★★★★★
容量1000mL

薬剤④サルバトーレME

【ハイポネックス】サルバトーレME

参考価格: 695円

出典: Amazon
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楽天

サルバトーレMEは水1Lに対して本品を10滴混ぜると使えるコストパフォーマンスのよさが人気です。予防にも治療にも効果があります。うどん粉病にも有効で使い勝手のよい1本でしょう。

おすすめ度★★★☆☆
容量20mL

黒星病のよくある質問

病気になった果実は食べられる?

ウメやナシの表面にうっすらと斑点があらわれている程度であればその部位を取り除いて食べられますが、味は落ちます。表面が真っ黒になり、スス状の胞子がついているようなものを食べるのは控えましょう。

薬剤の有効な使い方は?

薬剤の効果をしっかり発揮させるためには「ローテーション散布」を行いましょう。1つの薬剤を連続して使用しているとその薬剤に耐性を持った耐性菌が発生し、効果が薄まるリスクがあります。薬剤系統の違う農薬をローテーションで使用することで耐性菌の発生を防げます。