菌核病の代表的な症状と原因まとめ!予防・治療に効果的な対策は? | 病気・虫・雑草

菌核病の病班部
菌核病原因の糸状菌
学名Sclerotinia sclerotiorum
別名スクレロティニアスクレロティオルム
英名Sclerotinia sclerotiorum

菌核病とは

菌核病(きんかくびょう)は、カビが原因で起こり、植物を枯死・腐敗させる病気です。菌核病は、一度発生してしまうと菌が土壌にとどまり、その後も数年にわたり被害に苦しめられます。菌核病は、早期に発見し対処することで被害を最小限にとどめられるため、あらかじめ対策を知っておくことが大切です。

菌核病の症状

病班部分の枯死・腐敗が菌核病の主な症状です。菌核病にかかった植物は、水が染みたようなシミが広がり、病気が進行すると白いワタ状のカビが生えます。カビの中には、ネズミの糞に似た黒い菌核が形成され、胞子を飛ばして周りの植物へと伝染します。

初期症状に特徴はある?

菌核病の初期症状は、水が浸潤したようなシミです。菌核病のシミは茶色・黒色で、次第に広範囲へと広がります。菌核病は、灰色かび病・軟腐病に症状がよく似ていますが、原因が異なる別の病気です。ほかの病気との区別は、黒い菌核の形成があるか・悪臭があるかどうかで、菌核病の場合は菌核ができ、悪臭を伴いません。

菌核病が発生する原因は?

菌核病の原因は、糸状菌(しじょうきん)というカビで、風にのって運ばれ付着した胞子・土壌に残っていた菌などが感染理由です。糸状菌はきのこの仲間で、春〜秋に菌核を形成して胞子を飛ばします。菌核は、土壌中でも約2〜3年生きられ、湿度・温度などの発生条件が揃うときのこを形成します。

菌核病が発生しやすい時期と作物

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菌核病は、きのこの仲間・糸状菌が原因の菌核病ですが、発生には15〜20℃の気温・高い湿度という条件があります。菌核病の発生しやすい時期・発症しやすい作物には、病気の予防・治療の対策をしましょう。

病気が発生しやすい時期は?

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月タイトル
発生時期
発生ピーク

3月〜6月・9月〜11月は降雨量が増え、糸状菌の好む高温多湿な状況になりやすいという理由から、菌核病の発生しやすい時期です。とくに6月は菌核病のピークで、該当時期に作物を植える場合には、事前の対策をして、作物が感染していないかチェックしてください。

病気が発生しやすい植物は?

菌核病は幅広い植物に感染しますが、とくに野菜類・花をつける観葉植物・園芸植物などに多く見られます。野菜ではキャベツ・ハクサイ・キュウリ・トマトなど、草花ではキク・ヒマワリなど、樹木ではクワなどの発症例が多いです。植物の大きさ・形状によって、感染しやすい箇所が異なります。

菌核病の症状と見分け方【作物別】

菌核病は幅広い植物で発症する病気です。菌核病をよく発症する作物について、作物ごとに初期症状の特徴・見分け方を解説します。菌核病にかかりやすい植物の栽培は、病気発症の前にあらかじめ予防・対策をしておきましょう。

①キャベツの菌核病

キャベツの菌核病は、主に下部の葉・茎に発生し、最終的に株全体に広がります。キャベツは株が小さく、土壌から近いところに可食部があるという理由から、土壌から感染しやすいです。対策として前年の発症した場合・降雨量が多いと予測される場合にはあらかじめ農薬を散布しましょう。

初期症状の特徴や見分け方

キャベツは、土壌からの泥はねが原因で発症することが多く、初期症状は下葉・基部に病班部ができます。初期症状に気付かず病気が進行すると、病班部の軟化が上部へと広がり白カビ・菌核を発生させます。見分け方は臭いがポイントで、悪臭がないのが菌核病です。

②トマトの菌核病

トマトの菌核病は、主に葉・茎・果実に発症します。トマトは、土壌からの茎への感染・花弁についた胞子から果実への感染の双方があり、病班部から先が枯死してしまうという理由から被害が大きくなりやすいです。対策としてマルチシートで土壌部を覆い、土壌からの菌感染を防ぎましょう。

初期症状の特徴や見分け方

トマトの菌核病の初期症状は、茎に深緑のシミができます。病気が進行すると、シミは暗褐色にかわり、病班部より先の茎をも枯死させます。また、先終わりの花弁に感染した場合には、カビが発生するとともに果実へシミが広がります。似た病気として灰色かび病がありますが、灰色のカビが生えないことが見分けるポイントです。

③ジャガイモの菌核病

ジャガイモ(馬鈴薯など)の菌核病は、茎・葉に発生し、その先まで枯らしてしまうので厄介です。病班部が枯死して地面に落ちると土壌に菌がとどまり、その後植えた株・周りの株にも感染するので、病班部を見つけたら早期に摘み取りましょう。対策として、マルチシートを使用し、土に葉・茎などが触れないようにします。

初期症状の特徴や見分け方

ジャガイモ菌核病の初期症状は、葉・茎部分のシミで、雨水などにより土壌の菌が気孔・小さな傷口などから侵入することで起きます。発症したジャガイモは、枯れ落ちた病班部から白いカビ・黒い菌核が発生させ、再び土壌へと菌が移るので注意しましょう。見分けるポイントは、白いカビ・黒い菌核が発生するかどうかです。

④ヒマワリの菌核病

ヒマワリの菌核病の多くは、茎・葉に発症し、花弁までの被害は少ないです。菌は、生育したヒマワリの茎表面で増殖し、雨水などによって気候や傷口から侵入します。感染対策として排水をよくして水がかからないよう配慮し、病班部の葉は早期に摘み取って焼却しましょう。

初期症状の特徴や見分け方

ヒマワリ菌核病の初期症状は、斑点のような葉にあらわれるシミです。シミは病気の進行が進むにつれ、葉脈に沿って広がり、葉全体を浸潤します。見分けるポイントは、葉脈に沿ったシミです。多く雨が降ったあとには、気をつけましょう。

⑤ガーベラの菌核病

ガーベラの菌核病は、主に土壌からの感染が多く、株自体が小さいことから被害が大きくなりやすい特徴があります。茎に広がれば上部全体を枯死させ、根に近ければ根腐れを起こして全体が枯死してしまいます。対策として、あらかじめ農薬を散布して予防しましょう。

初期症状の特徴や見分け方

ガーベラ菌核病の初期症状は、葉・茎にできた斑点状のシミで、病気が進行するにつれてシミは暗褐色へと変わります。対策として水捌けがよい土壌を作り、植物が密集しないように植え、薬剤をあらかじめ散布しましょう。病班部・病気が疑われる部分は早期に摘み取ってください。

⑥クワの菌核病

クワは病気に強く手間がかからない植物ですが、クワの菌核病は、落ちた実から菌が繁殖することが原因で起きます。菌核病に感染したクワは、株全体が枯死してしまい、周囲の植物にも感染を広げるので注意しましょう。対策として、落ちた実はそのままにせず片付け、感染した株の周りの土もできるだけ取り除いてください。

初期症状の特徴や見分け方

クワ菌核病の初期症状では、白い実がなります。見分けるポイントは、実の色です。病気の実は、未熟な薄緑色の実とは異なり、乳白色でブヨブヨしています。見つけたら、地面に落とさないように摘み取り、焼却しましょう。

菌核病の予防方法

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菌核病の予防方法は、植物の育成環境を改善することが大切です。作物を植える前に水はけがよく風通しのいい土壌を作って、高温多湿環境にならないよう配慮しましょう。洪水量が多い時期にはマルチシートを貼ると、降雨による泥はね防止効果があり、とくに背の低い作物には有効的な方法です。

病気の予防効果が期待できる薬剤

菌核病の予防には、薬剤の散布も効果があります。予防効果が期待できる薬剤は、GFベンレート水和剤です。ベンレート水和剤は、草花・花木・野菜・果樹・芝生などに幅広く使える農薬で、菌の増殖を細胞分裂を阻害します。薬剤は、水で希釈して散布するため、薬剤散布機・噴霧器などの道具が必要です。

菌核病の治療方法

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病班部の除去・治療に効果的な農薬を使用することが菌核病の有効な治療法です。菌核病が発生してしまった場合は、黒い菌核が胞子を撒き散らす前に摘み取らなければいけないため、なるべく早期発見に努めましょう。発症した作物の周りの土も一緒に取り除くと、さらに効果的です。

病気に治療効果が期待できる薬剤

菌核病の治療の際にも、ベンレート水和剤が効果的です。ベンレートは、菌核病のほかに炭そ病・灰色かび病・うどんこ病など幅広い菌病に効果があり、予防・治療の両方で使用できます。

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幅広い種類の植物に使える殺菌剤で、カビ原因の病気の予防・治療に効果的です。水で薄めて散布します。

形状水和性粉末
有効成分ベノミル

菌核病のよくある質問

Photo by Plant pests and diseases

菌核病とほかの病気の見分け方は?

菌核病をほかのかびが原因の病気(灰色かび病など)と見分けるポイントは、臭いがあるかどうか・菌核が発生するかどうかです。白いカビの中にネズミの糞に似た黒い菌核があれば、間違いなく菌核病でしょう。

菌核病を見つけたら?

病気にかかっている部分を発見したら、すぐに病班部を取り除きましょう。菌核が発生する前に病班部を取り除けば、ほかの株への感染を十分に防げます。菌核が発生してしまった場合は、株とその周辺の土を取り除いて焼却処分しましょう。