立枯病の代表的な症状と原因まとめ!予防・治療に効果的な対策は? | 病気・虫・雑草

学名Pythium spinosum
別名苗立枯病
英名Damping off

立枯病とは

立枯病(たちがれびょう)は、土中に潜むカビ菌が理由で発生する病気です。原因菌は根や地面に近い葉から、作物の内部に侵入します。特に伝染しやすいのは根なので、初期症状も根から現れるのが特徴です。作物全体に症状が現れたときにはすでに病気が進行していることが多いため、早期発見が難しい病気でもあります。

立枯病の症状

立枯病の症状は伝染した菌の種類によって異なりますが、根から伝染し作物全体に影響をおよぼす点は共通しています。初期症状は主に根に現れ、伝染すると細い苗しか育ちません。ただしこの症状は、成長不良でもおこります。そのため追肥後も症状が改善しない場合は、立枯病の可能性を疑いましょう。

病気が発生する原因は?

立枯病は、ピシウム菌・リゾクトニア菌・フザリウム菌の3種類のカビ菌が原因で発生する病気です。菌の種類によって、かかりやすい作物や初期症状は変わります。いずれの原因菌も土中に潜むため、菌の土壌汚染が病気発生の共通原因です。

立枯病が発生しやすい時期と作物

立枯病はイネ類の病気として注目されることが多いですが、実はプランター栽培や家庭菜園で人気の野菜もかかりやすい病気です。ただし立枯病の原因菌は3種類あるため、菌の種類によって病気に伝染する作物の種類が違う点が特徴に挙げられます。

病気が発生しやすい時期は?

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
発生時期
発生のピーク

立枯病は「生育期=病気の発生時期」といえます。3種類ある立枯病の原因菌はいずれもカビ菌なので、少量でも土に水分があれば繁殖可能です。原因菌の活動が活発になるのは25~30℃で、条件にあてはまる梅雨~初夏と秋は、病気が大量発生する傾向があります。

病気が発生しやすい植物は?

菌の種類 主な作物
ピシウム菌 ホウレンソウ、エンドウ、キュウリ、ナス科作物、葉根菜類
リゾクトニア菌 ナス科作物、ウリ科作物、アブラナ科作物、ネギ類、ニンジン
フザリウム菌 ソラマメ、エダマメ、オクラ、エンドウ、アスパラガス

立枯病の症状と見分け方【作物別】

立枯病は原因菌が3種類あるため、菌によって病気が発生しやすい作物の種類が異なります。とはいえ家庭菜園やプランターで栽培できる作物や植物は、ほぼすべてリスクを抱えているといっても過言ではありません。そのため栽培する作物がどの菌に伝染しやすいかを知ることは、予防対策にも効果的です。

①レタスの立枯病

レタス立枯病は、ビシウム菌が原因菌です。ビシウム菌はレタスの根や土に接する葉から、茎の内部に侵入し全体に広がります。病気の発生は10月下旬頃から始まり、11月がピークです。栽培地域によっては、12月中旬まで発生することがあります。

初期症状の特徴や見分け方

レタス立枯病は、土に面した外葉に初期症状が現れるのが特徴です。病気が進行すると、葉は根元から上部にかけて黄色に変色し枯死します。変色より先に茎の根元がくびれた状態で腐敗することがありますが、この症状は茎内部で菌が大量発生したことが原因です。

②ソラマメの立枯病

ソラマメ立枯病は、フザリウム菌が原因菌です。フザリウム菌は生存率が高く、条件次第で10年以上生存します。そのため一度発生すると繰り返し再発することが多いです。さらに菌は作物の表面に膜を作って越冬するため、土壌汚染が改善しなければ二次発生、三次発生につながります。

初期症状の特徴や見分け方

ソラマメ立枯病は、根から菌に伝染し導管で増殖するのが特徴です。そのため初期症状は、根の導管に現れます。やがて葉や茎が変色しますが、これは病気の進行によるもので、葉や茎で菌の増殖が始まったことが原因です。伝染時期でも症状の過程に違いがあり、生育中期なら変色から枯死、発芽直後だと生育せずに枯れます。

③ゼラニウムの立枯病

ハーブの一種であるゼラニウム立枯病は、リゾクトニア菌が病気の原因です。初期症状は根や土に近い葉に集中しますが、発症部分に出現するカビ菌の形が、ほかの菌が原因の立枯病とは異なります。一般的に立枯病のカビ菌は白い綿状ですが、ゼラニウム立枯病はくもの巣状のカビ菌なので区別しやすいです。

初期症状の特徴や見分け方

ゼラニウム立枯病は、茎の根元や土に近い部分の葉の変色が初期症状です。実際は根の変色が病気の初期症状なのですが、根の変色は目視で判断できません。そのため茎や葉の変色から病気を発見するのが一般的です。病気の進行が速いため、場合によっては変色から数日で立ち枯れします。

立枯病の予防方法

立枯病は3種類の原因菌によって発生するため、あらゆる作物・植物・樹木(果樹を含む)でおこる病気です。病気が発生すると短期間で症状が悪化しますし、生存率の高い菌の場合は、農薬を使用しても完全消滅に数年を要します。そのため立枯病は、徹底した予防対策が重要です。

予防法①用土

3種類ある立枯病の原因菌はいずれもカビ菌なので、通気性のよい用土を使うことは病気予防に効果的です。また窒素過多の用土もカビ菌の増殖につながるため、用土に混ぜる肥料は成分のバランスに注意することも効果的な予防法といえます。

予防法②栽培環境の見直し

立枯病は栽培環境を見直すことも、効果的な予防対策法です。立枯病の原因菌はカビ菌なので、日あたりが悪くじめじめした環境だと発生します。特に風通しが悪く湿度が高い状態はカビ菌が大量繁殖する原因となるので、このような環境で栽培している場合は速やかに改善しましょう。

予防法③消毒済み種を使う

立枯病の原因菌は種子の表面に付着した状態で越冬するため、種まき用の種子は必ず消毒されたものを使用します。特に収穫した作物から種子を採取する場合は、種子の表面に菌が付着している可能性が高いです。立枯病は「原因菌を持ち込まない」ことが最大の予防法なので、採取した種子は消毒を徹底しましょう。

立枯病の治療方法

立枯病は、発症すると治療が難しい病気です。伝染した作物を取り除いて焼却処分する方法もありますが、病気の原因菌は繁殖力が強いため、有効な治療法であると断言できません。治療が遅れれば被害も拡大するので、病気の治療には農薬を使う方法が効果的です。

土の交換も治療効果がある

立枯病の原因菌は土中に潜んでいるため、汚染されていない新鮮な土に交換する方法は治療の効果が期待できます。ただしこの方法が有効なのはプランターや鉢で栽培する場合のみで、露地栽培には適しません。植え替えの際は、根についた古い土を完全に落としきることも、治療効果を高めるポイントです。

立枯病に治療効果が期待できる薬剤

薬剤①オーソサイド水和剤80

オーソサイド 水和剤80

参考価格: 502円

出典: Amazon
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Amazon1,020円
楽天502円

オーソサイド水和剤80は、国内外で広く使用されている立枯病の治療薬です。主成分に含まれるキャプタンは、立枯病を含むさまざまな病気の症状の抑制に作用します。特にリゾクトニア菌に効果が高いため、リゾクトニア菌が原因の立枯病におすすめです。

主な作物トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、カボチャ
タイプ水和剤
主成分キャプタン

薬剤②GFベンレート水和剤

GFベンレート水和剤

参考価格: 989円

出典: Amazon
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Amazon989円
楽天

GFベンレート水和剤は、フザリウム菌が原因の立枯病治療に有効な薬剤です。フザリウム菌は生存率が高いため、一般的なカビ殺菌剤では生き残る可能性があります。その点GFベンレート水和剤に含まれるベノミルは、フザリウム菌に対する殺菌作用が高いです。さらにベノミルはフザリウム菌の細胞分裂を抑制するため、予防薬としても適用できます。

主な作物トウモロコシ、パセリ、トルコギキョウ
タイプ水和剤
主成分ベノミル

薬剤③リゾレックス水和剤

リゾレックス水和剤

参考価格: 2,304円

出典: Amazon
Amazon2,304円
楽天

リゾレックス水和剤は、リゾクトニア菌が原因の立枯病におすすめです。主成分に含まれるトルクロホスメチルが、リゾクトニア菌の活動抑制および細胞分裂の制御に効果を発揮します。そのためリゾクトニア菌の立枯病治療に有効ですが、予防薬としての適用も可能です。

主な作物ブロッコリー、キュウリ、ミズナ、トマト、ピーマン、ナス
タイプ水和剤
主成分トルクロホスメチル

紹介した薬剤の一覧

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商品
商品名 オーソサイド 水和剤80GFベンレート水和剤リゾレックス水和剤
価格502円989円2,304円
主な作物トマト、キュウリ、ナス、ピーマン、カボチャトウモロコシ、パセリ、トルコギキョウブロッコリー、キュウリ、ミズナ、トマト、ピーマン、ナス
タイプ水和剤水和剤水和剤
主成分キャプタンベノミルトルクロホスメチル
商品リンク
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立枯病によくある質問

立枯病と成長不良を見分けるポイントは?

立枯病と成長不良はどちらも葉や茎の変色がおきますが、立枯病は雨が多いと発生しやすいです。そのため発生時期(特にピーク時)に変色した場合は、立枯病である可能性が高いため早急に処置をしましょう。