すす病の代表的な症状と原因まとめ!予防・治療に効果的な対策は? | 病気・虫・雑草

学名-
別名-
英名soot disease

すす病とは

すす病は、カビ菌の一種(糸状菌)が原因で起こる病気で、植物に黒いすすのような粉がつくことが特徴です。植物が黒いすすで覆われて見た目が悪くなり、気づくことが多いでしょう。すす病菌は人体には影響ありませんが、植物は症状が進むと枯れてしまうため、予防対策と早めの対処が必要です。

すす病の症状

すす病にかかると、葉、茎、実などに黒いすすのような粉が広がり、見た目が悪くなります。また葉が、すす病菌で覆われると、光合成や葉の表面からの蒸散ができなくなるという理由で生育が悪くなり、症状が進むと枯れてしまいます。

初期症状に特徴はある?

発病の初期は、なんとなく葉の色が悪くなります。黒い丸い斑点が葉にあらわれるのが特徴です。その後、すす病菌が黒いすすのような粉という目に見えるかたちで増えてきます。

すす病と他の病気との見分け方

葉の表面の黒いすす状の粉を水拭きして葉がきれいにあらわれたら、すす病の可能性が高いでしょう。すす病菌は植物には寄生せず、表面についた害虫の排泄物に寄生しているからです。よく似た名前の病気に「すすかび病」というものがありますが、別の症状の病気です。すすかび病はトマトやナスにみられ、灰褐色〜黒褐色のカビを生じる病気で、害虫を介さず空気感染します。

すす病が発生する原因は?

すす病は、カイガラムシやアブラムシ、コナジラミの排泄物にすす病菌が繁殖することにより発生します。

すす病が発生しやすい時期と作物

病気の発生しやすい時期は?

すす病は1年を通じて発症しますが、ピークは4月〜10月です。冬の間に発生が少なくなる理由は、原因となる害虫の活動が少なくなるためです。暖かくなると害虫の活動が活発になり、発症が多くみられます。

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
発生期間

病気の発生しやすい植物は?

すす病は観葉植物、草木、花木、果樹、野菜などあらゆる植物に発症します。果樹では柑橘類に多く発生するようですが、それ以外の果樹でも発生することがあります。アナナス、ガジュマル、カンノンチク、クロトン、コーヒーノキ、シェフレラ、シュロチク、ドラナセ、ベンジャミン、シャリンバイ、ツバキ、ゲッケイジュ、サルスベリ、ヤシ類などにもよく発生します。

すす病の症状と見分け方【作物別】

すす病の作物別の見分け方ですが、どの植物でも似たような症状を呈します。黒く丸い斑点があらわれ、すす状の粉でおおわれます。害虫(アブラムシ、カイガラムシ、コナジラミ)が発生していることも特徴です。

①イヌツゲのすす病

イヌツゲのすす病は葉に黒く丸い斑点があらわれ、その後、葉や枝が黒く汚れた状態になります。その結果光合成ができなくなり生育が悪くなります。

②シャリンバイのすす病

シャリンバイの葉に褐色や黒みを帯びた小さな斑点ができ、やがて円形や楕円形の大きな病斑になります。多発すると葉が枯れて落葉し、株が弱まります。

③柑橘類のすす病

柑橘類のすす病は、主に葉に黒い斑点がつき、やがてすす状のカビに覆われて全体に広がっていきます。光合成ができなくなり、生育が悪くなり見た目も悪くなります。

④クロトンのすす病

クロトンのすす病は、葉が黒く汚れ、表面に黒いカビが生えるものです。光合成がおさえられて生育が悪くなり、見た目も悪くなります。

⑤サルスベリのすす病

葉がある間は、葉が黒いすすで覆われた状態になります。落葉後の冬の間は樹幹が黒いカビで覆われます。

すす病の予防方法

すす病のカビ菌は植物に寄生するのではなく、アブラムシやカイガラムシ、コナジラミなどの害虫の排泄物を栄養にして繁殖します。そのため、すす病の予防には、このような害虫を発生させないように管理することが重要です。すす状のカビや光沢のある排泄物を見つけたら、それらの上にある葉や枝に害虫がいないかよく観察して見つけ次第駆除します。また風通しや日当たりをよくして栽培環境を整え、葉のホコリをとりましょう。

病気の原因になる害虫の予防

すす病の原因となる害虫(アブラムシやカイガラムシ、コナジラミ)を発生させないためには、密集している枝葉を剪定し、落ち葉を処分します。原因となる害虫は高温多湿を好むので、日当たりや風通しをよくすることが害虫の発生の予防対策になります。

すす病の予防効果が期待できる薬剤

すす病の予防に直接効果がある薬剤はありません。ただし、害虫が発生している場合、害虫を駆除することで予防効果があります。アブラムシ、コナジラミには、べニカマイルドスプレー、オルトランDX粒剤などの農薬を散布すると駆除効果があります。また発生初期であれば黄色の粘着テープもおすすめです。カイガラムシは歯ブラシなどで幹や葉を傷つけないようにこすり落としましょう。カイガラムシスプレーで駆除することもできます。

薬剤①べニカマイルドスプレー

べニカマイルドスプレー

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ベニカマイルドスプレーは、薬剤が皮膜になってムシを包みこみ、窒息させて退治する物理的防除剤です。食品から作られているので安心して使えます。臭いがなく、野菜には収穫前日まで使えます。

主な作物野菜、ハーブ、果樹
タイプスプレー剤
主成分還元澱粉糖化物
適用害虫アブラムシ、コナジラミ、ハダニ

薬剤②べニカベジフルスプレー

べニカベジフルスプレー

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ベニカベジフルスプレーには、速効性と持続性(アブラムシで約1カ月)があります。成分は葉裏まで浸透し、葉の中や葉裏の害虫まで退治します。

主な作物草花、観葉植物、野菜、果樹
タイプスプレー剤
主成分クロチアニジン
適用害虫アブラムシ、コナジラミ、ケムシ、カメムシ

薬剤③オルトランDX粒剤

オルトランDX粒剤

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オルトランDX粒剤は、土にばらまくだけで植物に吸収され、植物全体を害虫から守る予防的効果が期待できます。アブラムシなら、約1カ月効果が続きます。

主な作物草花、観葉植物、野菜、果樹
タイプ粒剤
主成分アセフェート、クロチアニジン
適用害虫アブラムシ、コナジラミ、アオムシ

④黄色粘着テープ

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テープなら、農薬を使いたくないかたにもおすすめです。害虫が発生する前から吊るしておくと害虫の予防効果もあります。アブラムシなどは上から飛んでくるので、高い位置に設置しましょう。

主な作物野菜、草花、果樹
タイプ粘着テープ
主成分接着剤
適用害虫アブラムシ、コナジラミ

薬剤⑤カイガラムシスプレー

カイガラムシスプレー

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カイガラムシスプレーを使用すると、成分が枝に浸透して殺虫効果が約1カ月続きます。夏期だけではなく冬期の越冬成虫にも効果があります。

主な作物草花、観葉植物、花木、草木
タイプエアゾール剤
主成分クロチアニジン、フェンプロパトリン
適用害虫カイガラムシ

薬剤⑥べニカX乳剤

べニカX乳剤

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アブラムシの忌避作用、カイガラムシ退治にも効果が期待できる薬品です。浸透移行する殺菌成分で、安定性があります。非食用。野菜や果樹には使用できません。水で500倍に薄めてスプレーします。

主な作物草花、花木、庭木
タイプ乳剤
主成分ペルメトリン、ミクロブタニル
適用害虫アブラムシ、チャドクガ、カイガラムシ

すす病の治療方法

病気の感染を広げない方法

①原因となる害虫の駆除

感染を広げないためには、まず原因となる害虫を駆除することが必須です。それぞれの害虫にあった方法や薬剤で駆除します。

②植物についたすす病菌の除去

植物の葉などにすす病菌がついたままでは光合成ができなくなり、植物がどんどん弱っていきます。発生部分が少ない場合は薄めの石けん水で黒いすすをふき取ります。病状の進んだ枝葉は取り除いて処分しましょう。

③落ち葉や混み合った枝葉の除去

落ち葉を取り除き、混み合った枝葉を剪定して風通し、日当たりをよくします。剪定した後の枝葉はすす病菌がついている可能性があるので、落としたままにせず処分しておきましょう。

すす病に治療効果が期待できる薬剤

すす病の植物に対する治療効果が期待できる薬剤はありません。治療のためにはすす病菌の除去、害虫の駆除が必要で、それぞれの害虫駆除のための薬剤を使用します(すす病の予防効果が期待できる薬剤参照)。あまりにも症状が進んで植物が弱ってしまうと、治療方法はなく、害虫とすす病菌を除去しても枯れてしまう可能性があります。症状が進まないうちに対策が必要です。

すす病のよくある質問

すす病にかかった果物などは食べても大丈夫?

すす病は人体に害はありません。収穫した果物などは、水洗いで黒いすすを落として食べられます。

農薬を使わないおすすめの予防法は?

風通しをよくするために剪定をして、日当たりのよい場所で育てます。株元の落ち葉も処分しておきましょう。黄色の粘着テープを設置しておくとアブラムシ、コナジラミの早期駆除になり、被害を予防できます。