アブラナ科の植物が日中に元気をなくしていて、根がこぶのようにふくらんでいたら根こぶ病にかかっているかもしれません。
根こぶ病の大きな特徴は、植物の根に大小ふぞろいのこぶができることです。こぶは、はじめは硬く滑らかで白色ですが、徐々に粗く黒っぽくなっていきます。こぶができると栄養が十分に運ばれず、地上に出ている部分にも影響を及ぼします。日が当たる日中は生気がなくしおれ、日が当たらない夜になると元に戻るを繰り返すのも特徴です。
根こぶ病以外でも、根にこぶをつくる病気にネコブセンチュウがあります。2つの病気は対策が違うため、注意しましょう。見分け方は、こぶの大きさと形状に注目することです。小さいこぶが数珠つなぎになっているのがネコブセンチュウ、大きさの違うこぶがついているのが根こぶ病と覚えておきましょう。上の画像は、ネコブセンチュウです。
根こぶ病は、糸状菌(Plasmodiophora brassicae)という病原菌による土壌感染病害です。一度こぶができるとこぶの中に菌が休眠胞子という形で住みつき、根が腐ると土中に菌が放たれます。放たれた後は、感染先となるアブラナ科の植物の近くで発芽し、遊走子となって植物の根から入り込み感染します。
菌が一度土に入り込むと、5年~10年、長いと20年も生きるといわれています。そのため、一度被害が出た土壌でアブラナ科の植物を育てる「連作」をすると、繰り返し根こぶ病の被害にあってしまいます。
根こぶ病の菌は、繁殖力がとても強いのが特徴です。菌が風で別の畑に飛ばされたり、スコップについた菌がほかの土壌に持ち込まれたりしただけでも被害が広がることもあります。また生存力も強いところも厄介な点です。根こぶ病に感染した作物を食べた牛などの糞の中でも生き続け、土に蔓延する事例もあります。
根こぶ病は、酸性に傾いている土壌で多く発生し、アルカリ性の土壌では発生しにくいです。また湿気を好み、最大水容量40%以下(土に水分が少なく、手で触ってもあまり水分が感じられない状態)では発生しにくく、最大水容量60%以上(水分を多く含み、手で握りしめたときに水が滴る状態)では発生しやすいこともわかっています。
根こぶ病は温かい気候を好み、特に20~25℃で発病しやすいことがわかっています。特に春~秋にかけて多発し、夏は被害が少し収まります。日照時間が長いほど被害が大きくなり、秋まきより春まきの作物に表れやすいです。
根こぶ病を発症するのはキャベツやハクサイ・ブロッコリーやかぶ・ちんげんさいなどアブラナ科の植物です。アブラナ科のなかでもダイコンの被害が少なめです。また、アブラナ科以外では、ワサビにも発症が確認されています。
キャベツや白菜が根こぶ病を発症すると、生育が遅れます。葉や茎がしおれ色も褪せて結球しにくくなり、味も落ちます。
ブロッコリーやカリフラワーの可食部は、つぼみ部分です。根こぶ病を発症するよ、つぼみが小さくなり、色も褪せてきます。
カブが根こぶ病を発症すると、根だけでなく実の部分にも変形が生じることがあります。実が変形すると、商品価値が大きく下がってしまいます。
根こぶ菌はとても強く、一度土に蔓延してしまうと何度も症状を繰り返します。そのため発病した畑にはアブラナ科の作物は植えないようにしましょう。発病しない別の作物を植える「輪作」をすることで、被害を抑えられます。
CR品種という、根こぶ病に対抗性のある種を植えることも効果的です。CRとは「clubroot(根こぶ病)resistance(抵抗性)」の略で、根こぶ病に抗体のある品種です。CR品種の種を使用すると大きなこぶができにくくなります。しかし、根が傷むと発症することもあることも覚えておきましょう。
カブ 種 CRもちばな 小袋(約20ml)
参考価格: 1,188円
「CRもちばな」は、形がきれいな円形のカブです。スが入りにくく、甘くおいしいのも特徴です。
価格 | 1,118円 |
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容量 | 20ml |
【種子】ミニハクサイ(白菜)CRお黄にいり タキイ種苗のタネ
参考価格: 574円
「CRお黄にいり」は、根こぶ病に強いコンパクトなミニハクサイです。火を通す料理だけでなく、サラダなどにも使えます。
価格 | 274円 |
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容量 | 2ml |
根こぶ病に効果的な薬剤には、休眠胞子からの発芽を防ぐ静菌作用のあるタイプと、菌が遊走子になったタイミングで菌を壊す殺菌作用のあるタイプがあります。
オラクル粉剤
参考価格: 1,767円
オラクル粉剤は、菌が休眠胞子の状態から発芽し、遊走子となったタイミングで殺菌します。後述するおとり植物との併用で、さらに効果を発揮できます。
価格 | 1,767円 |
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容量 | 3kg |
根こぶ病を一度発病しまった作物を治療することは難しいですが、発見した際に周りの作物に広がらないように対策をすることがとても大切です。
ダイコンは根こぶ病に感染しても発病しないことが多く、その性質を利用しておとり用の品種が販売されています。おとり作物は、感染することで菌の密度を下げ、根こぶ病の発病率を大きく低下させます。葉大根や、ヘイオーツ(エン麦)なども有効です。オラクルなどの薬剤との併用もおすすめです。
コブ減り大根
タキイ種苗 緑肥 緑肥用大根 コブ減り大根
参考価格: 297円
コブ減りダイコンは、休眠胞子を目覚めさせ、菌をわざと感染させることで密度を減らします。根が感染しても、皮層までは感染しません。根が大きくなりすぎないことも特徴で、40cm~50cmほどに成長します。
価格 | 297円 |
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容量 | 60ml |
えん麦 ヘイオーツ (雪印) 1kg
参考価格: 1,000円
草丈1~1.2m程度に成長する、エンバクの野生種です。キタネグサレセンチュウ・キスジノミハムシ予防にも効果があります。
価格 | 1,000円 |
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容量 | 1㎏ |
根こぶ病は、酸性に傾いている土壌で多く発生し、アルカリ性の土壌では発生しにくいのが特徴です。そこで、土壌をアルカリ性に改善することで防除につながります。pHは7が中性、7以下が酸性、7以上でアルカリ性です。土をアルカリ性にするには、苦土石灰を使用する方法が知られています。
土壌酸度計
シンワ測定 土壌酸度計 A 72724
参考価格: 3,909円
シンワ測定の土壌酸度計は、土に水をかけ、1分間差し込むだけでpHを測定できます。手軽にpH測定が可能です。
おすすめ度 | ★★★ |
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価格 | 6,300円 |
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アースチェック
住友化学園芸 アースチェック 5ml[HTRC 3]
参考価格: 556円
住友化学園芸のアースチェックは、手頃な価格が魅力です。手頃な分、コップに土を移し水を入れてかき混ぜたり、比色表でチェックしたりとやや手間はかかります。
おすすめ度 | ★★☆ |
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価格 | 726円 |
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この病気は高温に弱いため、土を太陽熱処理することで殺菌します。梅雨明けから8月下旬の炎暑の時期に20~30日ほど行うといいでしょう。土内部の温度を60度に到達させることが重要です。
1度菌が入り込むと土中に放出し、病気を繰り返す原因になるので見つけた際には惜しまず処分しましょう。その際、根のかけらが土に残っているとそこから感染が広がるので、根こそぎ取り除きます。使用した農具に菌が付着したまま別の畑で使うと、菌を運んでしまう恐れがあるので使用後は丁寧に洗うことも肝心です。
初期症状はありますか?
はじめのうちはこぶができるのみで、ほかに症状は現れませんが、進行すると葉や茎がしおれてきます。こぶの中には菌が眠っており、成長が進み根が腐敗すると土に菌が繁殖するため、見つけたらすぐに対策をとりましょう。
根こぶ病に感染した作物を食べても大丈夫ですか?
根こぶ病は人体には影響を及ぼさないので食べても問題ありません。念のため加熱処理をしてから食べるとよいでしょう。しかし、食べるのには問題なくても味が落ちていることが多いです。
出典:Wikimedia Commons