農業や園芸において間引くとは、成長にしたがい混みあってくる植物を摘む・刈るなどして、苗や枝の間隔を適度に調整することです。「うろぬく(疎抜く)」とも言い換えられます。種まきから植物を育てる場合、育てる予定の数よりも多い数の種をまき、育ち方のよい苗を残して間引くやり方が一般的です。
植物の栽培時、種はまいたものが100%発芽するわけではないため、保険として多めに種まきをします。また、植物によっては発芽後しばらくは密集していたほうがよく育つ種類があります。しかし密集した苗をそのまま育てると、お互いが障害となりしっかり成長できません。成長不良を避けるため、密集しすぎた苗は間引く必要があります。
せっかく発芽し、育った苗を抜いてしまうのはもったいない気がするかもしれません。しかし間引きにはきちんとした理由があります。正しく間引くことで以下のような効果が期待できます。
芽や苗の数を減らすだけでなく、樹木の枝も間引くことがあります。これを間引き剪定といいます。剪定は樹形を整えるだけでなく、病害虫を予防するうえでも重要です。病害虫は蒸れた環境を好むものが多いため、枝が密集した部分を剪定して風通しをよくするのが目的です。また、勢いのない枝を落とすことで、ほかの元気な枝に養分をいきわたらせる意味もあります。
植物ごとの特性によって間引きのやり方や、適した時期は違います。なんとなくでは行わず、育てたい植物にあったやり方で間引きましょう。種から育てる場合は、種の袋に記載された育て方に間引きについて書かれていることが多いため参考にしてください。間引き剪定についても、適期は樹木の種類で異なります。時期を間違えると花つき、実つきに影響するため注意が必要です。
根菜や葉菜を間引いたものは「間引き菜」と呼ばれ、直売所やインターネット通販で手頃な価格で販売されています。ベビーリーフとも言い換えられています。家庭菜園で間引きをする際も苗をそのまま捨ててしまうのは惜しいため、上手に活用してくださいね。
出典:写真AC