ユーカリが山火事の原因になるって本当?山火事を引き起こす植物とは?

ユーカリが山火事の原因になるって本当?山火事を引き起こす植物とは?

ユーカリは日本では「コアラの好物」「精油や観賞用庭木になる植物」として有名で、人気もある植物です。しかしオーストラリアの山火事には、ユーカリが関わるという説があります。ユーカリは山火事を起こすのか、また火災を利用する植物を見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.オーストラリアは山火事が多い
  2. 2.ユーカリが山火事を起こす?
  3. 3.ユーカリが山火事を起こす理由
  4. 4.ユーカリの生存戦略
  5. 5.山火事の被害が大きい原因
  6. 6.森林火災を利用する植物
  7. 7.ユーカリは苛烈でしたたかな戦略家

オーストラリアは山火事が多い

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オーストラリアは、地域差はありますが通年乾燥した気候が続く国です。山火事や森林火災が起こりやすい気候といえますが、実際に毎年のように山火事や森林火災が発生しています。2019年に起こったオーストラリア森林大火災は、記憶に新しいでしょう。また、山火事の原因は失火や放火といった人為的なものではありません。オーストラリアに多く生えているユーカリの木にあるといわれています。

ユーカリが山火事を起こす?

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ユーカリはフトモモ科ユーカリ属の植物の総称で、おもにオーストラリアやタスマニア島に分布している樹木です。原産地でもあるオーストラリアの森林は、ユーカリが約3/4を占めています。用途が広く、鑑賞用以外にもコアラの食料、精油、製紙の原料と幅広く利用されている樹木ですが、じつは山火事の原因となる性質を持つため、問題視もされています。

なぜユーカリの木が山火事や森林火災の原因となるのかには、オーストラリアの乾燥する気候風土が関係しています。

植物にとって厳しい環境で生き残るためには、苛烈な生存戦略が必要になってくるんだよ。

ユーカリが山火事を起こす理由

山火事を起こす理由①引火性物質を持つ

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ユーカリは精油がとれるほど、油分を豊富に含む植物です。さらにユーカリの葉から放出される「テルペン」という引火性物質の存在が山火事を起こす大きな原因となっています。テルペンは気温が高いほど放出量が増す性質を持つため、夏期に入るとテルペン放出量が上昇します。すると空気中のテルペン濃度が濃くなり、太陽の熱などで自然発火する危険性が高まるというわけです。

オーストラリアの世界遺産「ブルー・マウンテンズ」は、91種類のユーカリの木が自生している地域です。

景色が青みがかって見えるのが名前の由来だよ。たくさんのユーカリから放出され、気化したテルペンが景色を青く見せているんだ。

山火事を起こす理由②すぐ燃える樹皮

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ユーカリの木は、山火事や森林火災のなかでも燃え尽きません。その理由はユーカリの樹皮にあります。ユーカリの樹皮は燃えやすいうえにはがれやすいため、火がつくとすぐに幹からはがれ落ちてしまいます。このため幹の内部にまで火が届きません。ユーカリの木とは、樹皮を犠牲にして重要な部分が燃えるのを防ぐ仕組みを完成させている木といえるでしょう。

山火事を起こす理由③種は耐火性

出典:写真AC

火災に強い仕組みを持つユーカリでも、全焼してしまうことがあります。しかし、ユーカリには全焼にそなえた仕組みも備えています。ユーカリの種は、すぐ燃える樹皮とは逆で耐火性に富み、火災にあっても燃えません。植物が燃えた後の土地は栄養があるため、その栄養を消費して種が芽吹きます。

ユーカリは全焼してもしなくても生き残る仕組みを持つ木です。つまり火災が起こることを前提とした生存戦略を持っているんですね。

でもいくらユーカリが自然発火しやすいといっても、観賞用に数本植える程度では火災は発生しないよ。必要以上に怖がらないでね。

ユーカリの生存戦略

ユーカリの生存戦略①山火事前提の仕組み

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ユーカリの自然発火させやすい特徴も、火災にあっても生き残る仕組みも、すべては山火事を起こすことを前提とした生存戦略です。ユーカリの葉は自然発火の原因である引火性物質テルペンのほか、成長抑制物質も放出しています。このため、ユーカリ以外の植物はおろか、ユーカリ自身も発芽が抑えられている状態です。このままではユーカリ自身の成長も阻害されてしまいます。

ユーカリが山火事を起こすのは、成長抑制物質を出す葉が燃えることで、新芽の成長を促す目的もあるんですね。

ユーカリの根は栄養をたっぷりと蓄えているから、火災後も成長するためのエネルギーを問題なく供給できるんだよ。

ユーカリの生存戦略②天然の焼畑農業

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森林火災が前提という、ユーカリの苛烈な生存戦略はオーストラリアの環境が原因です。広大なオーストラリアは地域によって気候が異なりますが、全体的には乾燥がひどく、土壌も肥沃とはいえません。ユーカリが自然発火して森林火災や山火事を起こす仕組みは、過酷な環境を生き延びる生存戦略であると同時に、土を肥やすために生まれた天然の焼畑(やきはた)農業でもあります。

焼畑農業とは、森林や草地を焼き、焼け跡を畑にする農法です。燃え残った草木灰が肥料になって土を肥やします。

焼き払うことで雑草、害虫や病原体を駆除する効果もあるんだよ。おもに熱帯~亜熱帯の多雨地域で行われる農法なんだ。

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ユーカリの生存戦略③天敵の排除

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ユーカリの山火事前提の生存戦略は、天敵の排除も目的に入っているといわれています。ユーカリの天敵とはコアラです。ユーカリには毒があるため、通常の草食動物はユーカリを食べません。しかし、コアラだけはユーカリの毒に耐性があり、食料にしています。ユーカリの苛烈な生存戦略には、コアラなどのユーカリの生存をおびやかす存在を排除する目的も含まれているのでしょう。

なぜコアラがユーカリを食べられるのかというと、ほかの動物が食べない植物を食料とすることで生きのびる生存戦略と考えられています。

ユーカリの自然発火する性質も、コアラがユーカリを食べるのも、すべては生きのびて種を残すために進化して得たものなんだよ。

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次は「山火事の被害が大きい原因」です。

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山火事の被害が大きい原因

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