切り花、生け花はなぜ長持ちしないのか
みなさんは花のある暮らし、されていますか?空間に花があるだけで生活にいろどりがでて、心が豊かになるような気がしてきますね。そんな美しい、かわいい花を「少しでも長持ちさせたい」と思う反面「気づいたら枯れていた…まだ飾ったばかりだったのに…」などということも多々あるのではないでしょうか。できるだけ花を日持ちさせ、長く楽しめるように、まずは原因をみていきましょう。
切り花が長持ちしない理由は水を十分に吸えていないから
命に欠かせない水。花もまた当然水が必要です。そして枯れずに、より長く花を咲かせて生きつづけるには、その大切な水がきちんと花の方まで行きわたる必要があります。しかし切り花、生け花は十分水を吸えなくなってしまう環境になることが多いのです。水が十分吸えなくなってしまうのには、いくつかの理由があります。
水が十分に吸えなくなる理由①バクテリアの繁殖
花が枯れてしまう原因のひとつがバクテリアの繁殖です。なんとなく水を清潔にするのがよいということはわかるけれど、菌が原因と聞いて驚かれる方もいるのではないでしょうか。この繁殖したバクテリアが茎の内部、水が通る部分(導管)を傷つけて詰まらせてしまうため、十分な水を吸えなくなってしまうのです。
水が十分に吸えなくなる理由②導管に入ってしまう空気
切り花を飾るための花瓶を用意したら、長さを合わせて切って生ける。その際、ただ切ってしまうと導管に空気が入り、日持ちしない原因につながることがあります。花を日持ちさせるには、切り方にも工夫が必要です。
切り花、生け花を長持ちさせる方法
切り花や生け花がすぐに枯れてしまう原因は、水の吸いにくさにあることがわかりました。では、具体的な対策法はあるのでしょうか?切り花、生け花をすぐに枯らさず、長持ちさせる方法を、枯れてしまう原因からみてみましょう。
水切り・水揚げをする
前述のとおり、普通に花をカットしたのでは導管に空気が入り、日持ちはしてくれません。そこで行うのが水切りです。水切りをおこなうことにより、導管に空気が入るのを防ぎ、水を吸い上げる力を保ってくれます。この際、吸い上げる面積を大きくするため、切り口は斜めになるようにカットするのが日持ちをよくする大切な方法のひとつです。
水切り・水揚げの方法
- 深めの容器(切り口から3cm以上はカットした方がよいため、それ以上が水につかる状態を保てる大きさ・深さのもの)を用意する。
- 容器に水をたっぷりはる。
- 茎をカットする部分より上まで水につけ、切り口から3cm以上のところで水中でカットする。
- そのまま少し水につけておく。(2~3秒目安)
- 葉の下くらいまで入る水の入った容器を用意し、切り口が空気にふれる時間を短くするように、手早くそちらに移し換える。
- 1時間以上おくと水揚げができる。
水に浸かる部分の葉をおとす
花瓶に生けたときに、水に浸かってしまった葉は花瓶内の水を腐らせてしまう原因になります。そのため、水の量を決めたら、浸かってしまう部分に葉がある場合は落としてしまいましょう。めんどうと感じたり、気が引けてしまう方もいるかもしれませんが、切り花を日持ちさせ、元気な時間をのばしてあげるための大切な工程です。
清潔な花瓶に飾る
花を日持ちさせるには、水の状態をきれいに保つことが重要です。そのためには、花と水を入れる花瓶・花器は、スポンジなどできれいに洗ったものをつかうこと。食器用洗剤などをつかって洗うとなおよいでしょう。花束などをいただいた際には、その美しさからすぐにでも飾りたいところではありますが、丁寧に洗った花瓶に飾ることでより長持ちさせることができます。
花瓶で切り花を長持ちさせるコツは?
花は花瓶で飾る、という多くの方に花瓶で日持ちさせるコツをご紹介です。基本の準備はこれまで見てきた切り花、生け花を長持ちさせる方法と同じ。そしてそこにプラスするのが栄養補給、飾る場所に注意すること、水の量の調整です。
栄養補給
元気な状態を保つために必要となるのが栄養です。つぼみが咲かないまま枯れるのも、栄養不足が原因です。切り花となった花は自分で栄養をつくることができないので、人間の手で足してあげる必要があります。家にあるもので代用もできますが、延命剤として市販されているものには栄養の他に水をきれいに保つ成分も入っていますので、毎日水をかえる必要なくきれいな状態が保てます。
飾る場所
昨今の異常気象で、普段の生活に欠かせなくなってきているエアコン。このエアコンの風にも注意しましょう。花をいためてしまう原因のひとつです。また、大切な水分を蒸発させてしまう乾燥にも要注意。さらに、バクテリア繁殖を抑えるために温度も気にかける必要があります。涼しく、直射日光やエアコンの風が当たらない場所に飾ることも、花を長持ちさせるポイントです。
水の量を調整
花瓶の生け花を長持ちさせるコツに、水の量を調整することもあげられます。基本的には花瓶の高さに対して半量まで水を入れます。水の吸い上げがよいものや、茎がやわらかく腐りやすいもの(ガーベラやカラーなど)は、花瓶の底から数cmほどを目安にします。水の吸い上げがよくないものや、たっぷりの水むきのもの(アジサイや草花など)は、花瓶にたっぷりの水を入れましょう。
生け花のバラを花瓶で長持ちさせる方法
花束や一輪挿しでも人気のバラ。バラはデリケートなので、特に手元にきたらすぐに水揚げの準備をしてあげましょう。バラの基本も生け花、切り花を長持ちさせる方法と同じです。美しいバラの生け花を日持ちできるよう、あわせてみていきましょう。
バラの生け方
- きれいに洗った花瓶を用意する。
- 水に浸かる部分の葉とトゲを丁寧に園芸用ハサミでとる。(ケガをしないように注意)
- 茎に保水材や延命剤などのぬめりがある場合は、きれいに洗って落とす。
- 水切り、水揚げをする。(水揚げは2時間ほど)
- 1の花瓶に生ける。延命剤がある場合は入れ、水の量は底から10cm~15cm位までを目安にする。延命剤なし水のみの場合、水の量は底から10cm位までが目安。(水に浸かっている茎の部分がいたみやすいため)
バラのお手入れ方法
- 水をかえる。延命剤使用の場合は4~5日を目安にかえ、延命剤があればまた加える。水のみの場合は毎日取りかえる。
- 茎にぬめりがあるときは洗い流す。
- 水をかえる都度、茎先を1~2cm切る。