トマトトーンとは何か
トマトトーンとはどのようなものなのでしょうか。ここではトマトトーンに含まれている成分や人体への影響に加えて、作物に使用した際の効果を解説していきます。また、トマトトーンを使用できる作物にも触れていきます。
生長を助ける薬剤
トマトトーンは、花に散布することで着果や肥大を促す植物ホルモン剤です。適切な時期にホルモン処理することにより着果の安定、品質を向上、収量を増加させることができます。散布後2~3日でその効果が表れます。トマトトーンは、時期によって、家庭菜園から大規模で栽培されている農家まで幅広く使用されています。
トマトトーンの成分
トマトトーンは、パラクロロフェノキシ酢酸という有効成分で作られています。これは合成オーキシンとも呼ばれ、細胞の成長や分裂の促進を促すホルモンの一種です。作物自体も自身でオーキシンを作ることができるのですが、違いとしては、合成オーキシンの方が、成分が分解されず安定して吸収されます。
トマトトーンは農薬?毒性は?
トマトトーンは植物ホルモン剤であり、農薬に該当します。しかしながら、含まれている成分は、毒性の強い殺虫剤や殺菌剤とは異なり、人畜にあたえる危険性はほぼありません。農薬=毒性があるわけではありません。
トマトトーンは受粉させる方法のひとつ
トマトトーンは、受粉が難しい時期に限定して使用されます。例えば、秋から冬にかけて気温が低く虫の活動が活発でない時期、また害虫から守るため、毒性がある殺虫剤が使用される植え付け時期に使用されます。第一果房を受粉させることで、つるぼけを防ぐ効果があります。つるぼけとは、第一果房に実がつかずに、茎と葉にのみ栄養がいってしまう状態のことを言います。
マルハナバチによる受粉
作物を受粉させるには、トマトトーンの使用を除いて、マルハナバチを飛ばす方法があります。ビニールハウスで栽培する場合は、マルハナバチが活用されています。ただし、毒性の強い殺虫剤を散布した後は、数日間マルハナバチを使用できない場合が多いです。期間は薬品により異なりますので、薬品の説明文を確認する必要があります。
人工受粉
また、人工的に受粉も可能です。花の仕組みと構造は、蕾から開いてくると、黄色い色の花が見えてきます。花弁は5~6枚で、その外側にがく片が6~7枚あります。おしべとめしべは、花の中心にある筒状のものに囲われています。筒は突起しており肉眼で確認することができます。その筒に刺激を与えることで受粉させることができます。
トマト以外にも使えるのか
トマトトーンは、名前から使用作物がトマトのみと思われがちですが、ナス科(ナス、ピーマン等)、ウリ科(メロン、スイカ、ズッキーニ等)であればトマト以外にも使用できます。ただし、作物により希釈倍数や使用時期、使い方が異なるので、説明書をよく確認してから使用しなければなりません。記載のない作物は影響を大きく受けたり、実がつかないこともあるので使用を控えましょう。
トマトトーン使用前の準備と心構え
トマトトーンは、ホームセンターやインターネットで購入する必要があります。トマトトーンにはいくつか種類があり、それぞれの特長があります。自分に合ったトマトトーンを見つけましょう。また、使用にあたっての注意も必要です。
トマトトーンの購入
トマトトーンには、原液タイプと予め薄められたスプレータイプがあり、使い方が異なります。原液タイプは、安価で成分濃度を自由に調整することができます。スプレータイプは、すぐに使用することができます。トマトの本数が多い場合は、原液タイプを使用することをお勧めします。その場合、目盛り入りのコップ、手動噴霧が必要になります。
原液タイプの使い方
作り方としては、水と適量のトマトトーンを入れてよく混ぜます。気温が高いときはよく効く半面、薬害を生じさせる可能性も高くなるため、薄めの成分で使用することをお勧めします。また、スプレー口にゴミが詰まっている場合、霧状に噴射できなくなるので、必ず使用前に点検しておきましょう。
スプレーの自作もあり
トマトトーンは、殺虫剤や殺菌剤のように多量に使用するものではないので、市販のペットボトルと100均で販売されているスプレー口を取り付けて自作することもできます。透明なペットボトルを使用すると、計量カップなしでも分量が分かります。
安全性への配慮
トマトトーンは、毒劇物には指定されておらず、人体への毒性はないとされています。ただし、眼に入ってしまうと刺激性があるので、十分に注意をして取り扱う必要があります。特にトマトトーンのアンプルの首部分を割るときに、眼の中に入ってしまう可能性があるので十分注意しましょう。
散布する際の防具
散布する際には、長袖とゴム手袋を着用すれば皮膚に付着することはありません。また、ゴーグルや農薬用のマスクを着用すると、より安全性を保ちながら作業することができます。果房の高さや散布の量を考慮して、どこまでの防具が必要であるのかを判断しましょう。
作業後にすること
作業後は、トマトトーンが付着した部分を速やかに水で洗い流しましょう。うがいも必須です。万が一、使い方を誤り、目に入ってしまった場合、または体調に問題を感じた場合は、すぐに病院に行き指示を仰いでください。
出典:写真AC