季節ごとの管理方法
①春の管理方法
生長期が始まる
休眠から開ける季節です。新芽が伸び、葉が展開してきます。沖縄など早いところでは4月から花が咲くこともあります。室内で育てていた株も、戸外の日当たりのよい場所へ移し、しっかり丈夫な株に育てましょう。水やりは1日1回を目安に表面が乾いたら与えます。
降雪地域は雪解け水に注意
北海道や東北など降雪地域では、春に雪解け水が溜まりやすい場合もあります。その場合は、株回りに溝を掘るなど水が逃げやすくするのも効果的です。暖かくなってきたら温暖地の管理に準じます。
②夏の管理方法
暑さ対策をして夏越しする
冷涼な気候を好むクランベリーがもっとも苦手な季節です。うまく夏越しさせないと生育を休んでしまいます。高温期は遮光ネットを張ったり、西日の当たらない場所へ移動したりしましょう。乾燥させないよう1日2回は水やりが必要になることも増えます。打ち水をするなど、株回りの温度を下げるのも有効です。
味のよい果実を作る大事な時期
北海道や東北などの寒冷地では、夏も休まずすくすく育ちます。生育し続けると、より多くの養分を貯められます。そのため涼しい地域のほうが、果実の味がよくなるといわれているようです。またアントシアニン色素も多くなり、きれいに色づきます。
③秋の管理方法
果実が生長する大切な季節
温暖地では気温が和らぎ、再び生育し始めます。できるだけ日に当て、1日1回水やりをしましょう。黄色い果実も少しずつ色づき始めます。果実がついている場合は、残暑などで乾燥させないよう注意をします。寒冷地も同様です。
④冬の管理方法
基本的には戸外で管理
基本的に戸外でそのまま管理できます。北風など乾いた風が当たらない場所がよいでしょう。水やりは吸水が弱くなる時期なのため、2~3日に1回を目安に与えます。
寒冷地は防寒対策をする
鉢土が凍るような極寒地では、鉢やプランターは室内に入れ、できるだけ涼しい場所で管理します。地植えではピートモスや腐葉土などでマルチングします。降雪地域は雪の下になればそのまま越冬可能です。
室内で育てるコツは?
クランベリーはコンパクトに育てられるため、室内での栽培も可能です。しかし、室内で栽培するとまったく実がつかない、すぐカラカラになって枯れるというトラブルも多くなります。その場合の対処法をご紹介します。
冬は低温に当てる
1年中室内で育てていて、まったく実がつかないという方も多いのではないでしょうか?クランベリーの花芽は冬の低温に当たらないとできません。そのため、年中室内の温度変化のない環境では実がつかないのです。冬は戸外に置いて、自然の気温に当ててあげることが花芽をつけるコツです。
乾燥防止には水ゴケ
暖房や空調などで乾燥しやすい場合、水ゴケを利用するのもよいでしょう。ポットから苗を抜いたら、根鉢に水ゴケを巻き、そのまま鉢に植え付けると水持ちが向上します。プランターのように大きさのあるものには、土の上にマルチングするのも有効です。
クランベリーにつきやすい病害虫
病気
クランベリーで問題となる病気はほとんどありません。しかし、株が茂りすぎると病気は出やすくなるため注意しましょう。
害虫
ハマキムシやハダニ、カイガラムシなどの害虫が発生することがあります。害虫を見つけ次第取り除きましょう。枝が混みあわないよう間引き剪定をして発生を予防するのも大切です。
適用のある殺虫剤は?
あまりにも害虫が発生する場合は、必要に応じて殺虫剤も利用しましょう。アブラムシやカイガラムシには、ベニカマイルドスプレーがおすすめです。食品成分由来のため、オーガニック栽培にも利用でき安心です。
クランベリーの増やし方
クランベリーは繁殖力がとても旺盛で増やしやすい植物です。どのような増やし方があるかご紹介します。
増やし方①挿し木
クランベリーは比較的根が出やすいため、挿し木に向いています。茎が長く伸びるため、挿し穂もたくさんとりやすく、苗を多く作れるメリットもあります。しかし、実をつけるまで数年かかるというデメリットも覚えておきましょう。
挿し木の時期
春の剪定時に切り取った枝でも挿し木は可能です。しかし、梅雨の時期、新梢の伸びが止まった枝で挿し木したほうが、勢いがあり根が着きやすくなります。
挿し木の方法
- 挿し穂は15~20cmほどの長さをとり、1時間ほど水あげする
- 鹿沼土などの清潔な用土に深めに挿す
- 挿し木した後はたっぷり水を与え明るい日陰に置く
- 新芽が動き出すまで乾燥させないように管理を続ける
増やし方②株分け
株分けは初心者でも失敗の少ない増やし方です。挿し木に比べ株が充実しやすく、すぐに実をつけることも可能です。
株分けの時期
時期は3月で、植え替えのときに同時に行ってもよいでしょう。余分な枝を整理してから株分けを行います。
株分けの方法
鉢植えの場合は株を半分に分けて植えなおします。地植えの場合も同様ですが、大きい株は横に根が広がっている場合もあるため、複数に分けてよい株を選びましょう。
増やし方③種まき
あまり一般的な増やし方ではありませんが、種からも育てることは可能です。クランベリーは実の中にとても小さな種が入っています。それを、果肉から取り出し洗います。とりまきにするか、茶封筒に入れて冷蔵庫で保存し、春にまきましょう。ピートモスと鹿沼土を混ぜた用土や、種まき用土を利用します。
たくさん実らせるには?
人工授粉を行う
クランベリーは1本だけでも結実します。しかし、より多く実をつけたい場合は、開花したとき筆先で花をなでるように人工授粉をするとよいでしょう。
まとめ
夏の西日と水切れに注意していけば、どんどん元気に成長してくれます。なかなかうまく育てられなかった方は、栽培環境を見直してぜひ秋には再び赤い実を楽しんでくださいね。
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画像出典:筆者作成