アスパラガスはどんな野菜?
アスパラガスは、肉巻きや温野菜サラダなどさまざまな食べ方のできる野菜です。最近は、アスパラギン酸の疲労回復効果で注目されていますね。食用にしているのは、発芽して間もない、若い茎です。日本には、江戸時代に観賞用としてオランダから渡来しましたが、食用の野菜になったのは明治に入ってからです。
アスパラガスの基本情報
名前 | アスパラガス、キジカクシ、オランダウド |
学名 | Asparagus officinalis |
科/属名 | キジカクシ科クサスギカズラ属 ※他分類ではユリ科 |
原産地 | 南ヨーロッパ、西アジア |
園芸分類 | 野菜 |
耐寒性、耐暑性 | どちらもあり |
草丈 | 約150cm |
名前の意味・由来
学名の意味
asparagusには、ギリシャ語の「新芽」「分岐」の意味があり、officinalis(オフィキナリス)はラテン語で「薬用の」を意味します。
和名の由来
オランダからやってきたウドに似た植物であることから、「オランダウド」の名があります。また、雉が隠せるほど茎(擬葉)が繁ることから「キジカクシ」と呼ばれるようになりました。
アスパラガスの特徴
葉っぱのように見えるのは擬葉
長細い葉っぱのように見えるのは茎で、 擬葉 (ぎよう)や仮葉などと呼ばれています。節のような三角の形の「はかま」が、退化した葉っぱです。
雄株と雌株がある
雄株と雌株があります。雄株がより多く収穫できますが、苗の状態で見分けるのは専門家でも難しいと言われています。秋に赤い実がついたら雌株だとわかります。
栄養素
アスパラギン酸やルチンが含まれています。アスパラギン酸は新陳代謝を促すアミノ酸で疲労回復効果があり、ルチンは毛細血管を強くしてくれます。他にも葉酸や各種ビタミンなどの栄養素が含まれている野菜です。
アスパラガスの種類
グリーンアスパラガス
一般にアスパラガスというとグリーンアスパラガスを指します。発芽して茎に育つ前の、よく日に当たった柔らかな状態です。やや苦味がありますが栄養は豊富です。「ウェルカム」「シャワー」など、さまざまな品種があります。
ホワイトアスパラガス
グリーンアスパラガスと同じ品種を、発芽してから光に当てずに育てたものです。アクがなくて食べやすいのが特徴ですが、痛みやすいので缶詰が多く出回っています。「シナノシルキー」など、ホワイトアスパラガス用の品種もあります。
紫アスパラガス
紫色はポリフェノールの一種、アントシアニンの色素です。加熱すると緑に変わります。「バーガンディ」などの品種があります。
観賞用アスパラガス
アスパラガスの茎と擬葉は、観葉植物としても静かな人気です。こちらは食用とは別の種類で、アスパラガス・エチオピクス(学名:Asparagus aethiopicus)系の品種などがあります。
アスパラ栽培の概要と難易度
栽培カレンダー
アスパラ栽培は難しい?
気長に育てる野菜
植え方や管理の方法は、特に難しくはありません。ですが、初収穫まで気長に育てる野菜です。最初に出てくる若芽(茎)はか細いので、収穫できる太さになるまで茎と根を育てて待ちます。その間の作業は、支柱立て、追肥、雑草取り、刈り込みなどで、難易度の高いものではなく、家庭菜園やプランターで栽培できます。
10年収穫できる!
1度植え付けると同じ場所で10年くらい収穫できます。考え方によっては、楽かもしれませんね。
初収穫時期の目安
アスパラ栽培は、大きく分けて次の3つの始め方があります。根株(大苗)から育てると、もっとも早く収穫できます。
初収穫時期の目安 | |
種まきから育てる | 3年目 |
ポット苗を植え付ける | 2~3年目 |
根株を植え付ける | 2年目 大苗を秋に植え付けると翌年 |
アスパラ栽培①種まき
種まきの時期と準備
種まき時期は4月頃、発芽適温は20~30度です。直径9mmの育苗ポットか、3~4号鉢を使います。土は市販の種まき・挿し木用の土か、小粒赤玉土を使うとよいでしょう。種を1昼夜、水につけておくと発芽しやすくなります。
種まきの方法
- ポットに土を入れ、湿らせておく。
- 2~3粒種まきし、5mmほど覆土する。
- 発芽まで約3週間、不織布などで覆って乾かさないように管理する。
- 発芽状態を見ながら、間引きして1本にする。
アスパラ栽培②畝づくりと植え付け
畝づくり
植える場所を決める
長い期間収穫する野菜なので、場所選びと最初の土づくりが大事です。貯蔵根に養分を蓄えることで次々に発芽していく野菜です。日当たりと水はけがよく、風通しのいい場所、砂質の土地が適しています。基本的に植え替えは必要ありませんので、初夏から秋まで、130cmほどの茎が10年以上繁る場所になります。
深く耕して苦土石灰をすき込む
植え付け2週間前に、畑の準備をします。広さは畝幅60cm、株間40cmを目安に、深さは50cm程度耕します。日本の土は酸性に傾きがちなので、苦土石灰をすきこんで酸度を調整します。量の目安は、1株あたり2握り程度です。
肥料を施して畝立て
植え付け1週間前に、深さ30cmの深さの溝を掘り、元肥として堆肥と化成肥料を施しておきます。肥料の量は1㎡あたり堆肥2kg、化成肥料150gが目安です。水はけをよくするため、高さ15cm以上の畝を立てます。
ポット苗の植え方
植え付け時期
種まきした苗の植え付け時期は、6月~7月頃です。まだ十分育っていない場合は、翌年の春に植え付けましょう。市販のポット苗の植え付け時期も、春から7月頃です。
植え方
- 植穴を掘り、10cmの深さに根鉢を崩さないように植える。
- 根鉢が土の表面より低くなるように深植えにする。
- 株間は、40cm前後あける。
- たっぷり水やりする。
翌年春に植えつける場合
草丈20cmになった頃に化成肥料をひとつまみ施しておきます。秋に茎が枯れてきたら刈り込んで、腐葉土などを少し加えて冬越しします。翌年の春に再び発芽しますので、その頃に植え付けましょう。植え方は上記と同じです。
根株の植え方
根株の植え付け時期
根株(大苗)の植え付けに適した時期は、根っこが休眠期間に入った晩秋か春の手前頃です。十分に育った根っこが、枯れた茎部を切り取った状態で売り出されています。
植え方
- 大きめの植穴を掘る。
- 根っこを傷つけないよう放射状に広げて植える。
- 茎部(発芽するところ)が隠れるように5cmほど覆土する。
- たっぷり水やりする。
プランターへの植え方
ポット苗の植え方
鉢の大きさは、最初は普通の横長プランターや8号鉢でも大丈夫です。植え替えるときに鉢増し(より大きな鉢に植える)します。土は酸度調整済みの野菜用培養土を使うとよいでしょう。
- 鉢底石を敷いた後、土を5cmほど入れる。
- 化成肥料を50g入れる。
- 土を入れ、根鉢が少し隠れるほど深植えする。
- 覆土して水やりする。
根株の植え方
根株には、10号鉢以上の大きな鉢を使います。用土はポット苗と同じです。
- 鉢底石を敷き、6cmほど土を入れる。
- 化成肥料を70g入れる。
- 土をウォータースペースの位置から10cmの深さまで入れる。
- 根株を入れ、根っこが放射状に広がるように植える。
- 覆土して水やりする。
- 土の量は目安です。鉢の大きさに合わせて調整してください。根と肥料が触れないようにします。
プランター栽培は植え替えが必要
根が育つので、できれば毎年、少なくとも2年に1度は植え替えます。大きくなり過ぎたら株分けをして植え替えるといいですね。植え替え時期は10月~3月頃で、真冬は避けます。
コンパニオンプランツ
相性のよい野菜はパセリやバジル
相性のいいコンパニオンプランツは、パセリやバジルです。植え付け1~2年目の株間が広すぎると感じる時期に植えるといいでしょう。トマトなど、相性がよくても根が張る植物はアスパラガスとの植え合わせには向いていません。コンパニオンプランツを植えなくても、日当たりと風通しがよければすくすく育ってくれます。
出典:写真AC