意外と知らないスイカのはなし
スイカは夏によく食卓にのぼる果物ですね。スーパーマーケットではまるごと一つや、半分や、赤い果肉部分だけカットされたものも売っています。食後のデザートに、おやつに、食べたことのある方が多いでしょう。しかし、私たちはスイカのことをよく知らないのではないでしょうか?どこからやってきたのか、いつから日本で食べられてきたのか、どんな栄養があるのか、ご紹介します。
スイカの歴史
カラハリ砂漠で発見された野生のスイカが紀元前のローマに伝わり、地中海沿岸で栽培され始めたことで、次第に世界中へと広がりました。やがてインド、東南アジア、11世紀ごろには中国に伝えられました。西より伝わった瓜、すなわち「西瓜(すいか)」と呼ばれるようになったのです。その後、中国から日本にやってきました。
スイカは野菜?
名前 | スイカ、西瓜 |
学名 | citrullus lanatus |
分類 | 果実的野菜(農林水産省) |
スイカは野菜なのか果物なのか、よく話題になりますね。野菜と果物の定義はいくつかあります。木になるのは果物、それ以外は野菜。種ごと食べるものは野菜、食べられないものは果物。その判断基準は植物学や農学など見識や立場によって異なり、分類が困難になっています。農林水産省ではメロン、スイカを「果実的野菜」と定義しています。スイカは果物であり野菜でもあるということです。
スイカの水分
スイカに水分が多いことは間違いありません。カロリーは少ないため、ダイエット中のおやつにもよいですね。
スイカの水分量 89%
カロリー37kcal(100g当たり)
スイカに栄養はあるの?
スイカは夏の果物の代表です。スイカは水分が豊富に含まれていますが、栄養がないイメージはありませんか?日本の暑い夏を乗り越えるには、豚肉や土用のうなぎなどが代表とされていますが、スイカはあまり聞いたことがありません。スイカは水分だけで栄養はないのでしょうか?それなのになぜスイカをよく食べるのでしょうか?どんな栄養成分をもつ果物なのかくわしく見ていきましょう。
スイカの主な栄養成分
スイカの栄養素はリコピン、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB1、シトルリン、カリウム、マグネシウム、シスペイン、アルギニン、イノシトール、マンノシターゼ、といったものが含まれています。リコピンはスイカの赤い色素です。ビタミンⅭとともに抗酸化作用が期待されます。まとめるとビタミン類、ミネラル、アミノ酸などの栄養分が含まれています。
スイカの栄養成分と働き
ビタミンA、ビタミンⅭ、ビタミンB1は皮膚や粘膜を強化し、細菌やウイルスから身体を守る効果があるといわれています。また、シトルリンはスイカから見つかった成分で、血液の循環を促進したり、成長期の子どもの成長を促したりする効果が期待されています。カリウムは身体の余分な塩分を排出する働き、マグネシウムは便に水分を与え便秘を改善するといわれていますね。アルギニンはアミノ酸の一種で疲労回復効果が期待されます。
スイカの効能①
スイカの栄養成分はわかりました。ではどんな効能があるのでしょうか?ビタミンAやビタミンCは肌や粘膜を健やかに保ちアンチエイジングの効果が期待されます。カリウムは余分な塩分を排出しむくみを取るだけでなく、血圧を安定させる効果があるとされているので、高血圧の方にはおすすめです。アルギニンは疲労回復に効果的といえます。血流を促し、身体全体に栄養をいきわたらせる働きがあります。
スイカの効能②
シトルリンはスイカから発見された栄養成分で、血流を促進し、血管を強くしなやかにするという効果がみとめられています。女性の悩みである、冷え性、むくみの改善、ダイエット、アンチエイジング、デトックスなどが期待されています。アミノ酸の一種であるイノシトールは脂肪を燃焼し、脂肪をつきにくくする効果、マンノシターゼは摂取した糖分を分解する効果があるとされています。
血圧上昇を抑えるカリウムが含まれるので、高血圧予防に効果が期待できます。またシトルリンにはむくみや利尿効果も。赤玉スイカに含まれるβカロテンとリコペンには抗酸化作用があると言われています。
出典URL:https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1808/characterinformation.html
薬としてのスイカ
スイカはまだ現代医療が発達する以前に、腎臓の薬として扱われていた時代があります。カリウムが多く身体の余分な塩分を取り除き、むくみを取る効果があるとされていたからです。また、風邪でのどが痛いときにスイカの汁をなめると治まるといわれていました。ビタミンAが入っていること、適度な糖分があることでのどの痛みに効き目があったと考えられています。
漢方薬の材料としてのスイカ
スイカを材料にした生薬があります。西瓜子仁といいます。スイカの種が材料です。イライラを鎮める鎮静作用、血圧を下げる作用、むくみをとる利尿作用、などがあるとされています。イライラを鎮める効果は種に含まれるトリプトファンの効果です。トリプトファンはセロトニンを体内で作るときに必要な栄養素です。セロトニン不足に陥ると、心の病になりやすいともいわれています。
スイカのいろいろな食べ方
スイカはそのまま食べることがほとんどかもしれませんが、それ以外にも食べ方があります。昔のスイカは今より甘みが少なかったので、甘みを強調させるため、また汗で失った塩分を補給するため、塩をふりかけて食べていました。スイカの食べ方はこれだけではなく、日本ではあまりお目にかからないような食べ方もあるのでご紹介します。
スイカジュース
台湾に行くと、ホテルや屋台でスイカジュースに出会うことがあります。日本では馴染みがありませんが、さわやかで甘くて美味しいですよ。スイカを絞ったジュースにレモン汁を入れていたり、スイカそのままを絞ったものだったり、シロップを加えていたり、色々なレシピがあります。スイカの真っ赤なジュースは中々衝撃的な見た目ですが、さわやかで美味しいのでおすすめです。
スイカ糖の栄養
スイカの皮、果肉や種をまるごと煮込んで凝縮した加工品です。市販されている商品は健康食品を取り扱うお店にあることが多いです。手間はかかりますが、自宅でも作ることができます。成分を凝縮しているため、スイカの持つさまざまな効能をスイカをそのものを食べるより、効果的に摂取できます。ダイエットやデトックス、肝臓や腎臓が弱っている人にもおすすめです。
スイカの皮の漬物
スイカの皮の白い部分と実の赤い部分のふちを使って作るので、一部がほんのりと赤くなっているのが特徴です。浅漬けタイプの漬物で、シャキシャキと歯ごたえがよく、水分たっぷりで汗をよくかく夏にぴったりです。お茶請けにもよく合います。スイカの栄養素であるシトルリンは、果肉部分の2倍も皮の部分に多く含まれています。
スイカの種のスナック
日本ではスイカは果肉のみを食べる方が多いです。東南アジアや中国では種を炒ったり、塩などの調味料で味付けしたものがスナックのように食べられています。むしろ種を食べるためにスイカを栽培している地域もあるくらいです。黒い皮の部分は取って中の白っぽい芯の部分を食べます。健康的なおやつですね。
スイカの種の栄養は
スイカの種は果肉より食べる部分が少ないですが、栄養価が高いです。ビタミンB6、葉酸、マグネシウム、鉄、亜鉛などが主な成分です。ビタミンB6は皮膚をや髪をつくるのに必要な成分で、免疫力の維持にも必要な大切な栄養素です。鉄分は貧血に効果があるのは知られていますが、補酵素として消化吸収、たんぱく質や免疫物質の合成、あらゆる生命活動に必要な栄養素です。
スイカアレルギーについて
スイカはアレルギーを起こすことがある食べ物です。食べたときに、口の中がムズムズ・イガイガしたり、唇が腫れあがったり、発疹がでたり、腹痛、下痢などのさまざまな症状が確認されています。このアレルギーがある方はキュウリ、メロン、ズッキーニ、バナナ、オレンジなどにも要注意です。軽い症状だとしてもあまく見ず、おかしいなと思ったらすぐ医療機関に相談してください。
まとめ
スイカは毎年夏によく食べられる果物です。ほとんど水分と糖分でできていると思われがちですが、想像以上にさまざまな栄養成分と効能をもつ果物です。そのまま美味しく食べてもよし、スイカ糖にして、健康増進のために使うのもおすすめです。スイカジュースも紹介しましたが、スムージーにしてもいいでしょう。日本の蒸し暑い夏をスイカで乗りこえましょう。