しだれ梅の育て方【日常管理】
置き場所
しだれ梅は耐陰性に優れる植物で日陰でも問題なく育ちますが、日当たりのよい場所での管理がおすすめです。日によく当たるとその分花芽もつきやすく成長もよくなります。地植えであれば前もって場所を選び、鉢植えであれば適宜移動してください。
ボタニ子
ボタ爺
日照不足は花芽が少ないとか枝が伸びない原因にもなるぞ!
水やり
鉢植えの場合、春と秋は土表面が乾いたタイミングで水やりしましょう。夏は成長期であり水をたくさん必要とするため、1日1回を目安に水を与えてください。冬は休眠期に当たることから、2~3日に1回水を与える程度で十分です。地植えの場合は基本的に水やりの必要はありません。晴天が続き乾燥がひどい場合には水やりしましょう。
追肥
地植えの場合
地植えにしているしだれ梅は、自然の雨水だけでも十分育ちます。花数を増やし、より美しい花を咲かせたい場合は、年に数回株元に緩効性有機肥料をまきましょう。追肥時期はいつでもよいわけではありません。花が咲き終わった5月、梅雨の時期の6月、暑さが和らぎ始める9月に、月に1回与えてください。
鉢植えの場合
追肥時期は地植えの場合と同じです。月に1回緩効性有機肥料を与えるか、月に2回水の代わりに液体肥料を与えましょう。
ボタニ子
開花や長雨、猛暑を乗り越えるにはたくさんの栄養を使うの。がんばった株に栄養補給を忘れずにね!
害虫対策
しだれ梅につきやすい害虫は、「アブラムシ」や「カイガラムシ」などです。いずれも増えやすく吸汁加害を引き起こすため、見つけ次第すぐに捕殺しましょう。カイガラムシは硬くて取り除きにくいですが、歯ブラシなどで擦るとポロッと簡単に外れます。被害がひどい場合は、薬剤散布も効果的でおすすめです。
おすすめ薬剤
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スミチオン乳剤は、庭木や果樹、野菜、草花などを加害する、広範囲の害虫に効果のある園芸用殺虫剤です。散布後に揮発するため、人や環境に優しいのが魅力です。家にひとつ常備しておくと、ガーデニングや家庭菜園に重宝します。
内容量 | 100mL |
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有効成分 | MEP |
適応害虫 | アブラムシ、カイガラムシなど |
病気対策
しだれ梅がかかりやすい病気には、「うどん粉病」「黒星病」「炭疽病」「すす病」などが挙げられます。いずれもカビが原因で起こる病気のため、剪定や置き場所に注意し、通気性の確保に努めましょう。薬剤散布も効果的です。
おすすめ薬剤
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STダコニール1000は、カビ類(糸状菌など)によって引き起こされる病気に対して優れた効果を発揮する総合殺菌剤です。耐光性や耐雨性に強く、残効性に優れています。各種病原菌に対しても抵抗力がつきにくいため、さまざまな病気に併用して使えます。
内容量 | 30mL |
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有効成分 | TPN |
適応病気 | うどん粉病、黒星病、すす病など |
しだれ梅の育て方【剪定】
しだれ梅の手入れのなかでも大事なのが「剪定」です。剪定は樹形を整えるだけでなく、花芽を増やしたり枝の成長を促したりするなど、さまざまなメリットをもたらします。剪定の時期ややり方は地植えと鉢植えで若干異なるため注意しましょう。
剪定時期
地植えの場合
地植えの場合の剪定時期は、10月~11月です。剪定すると少なからず株に負担をかけてしまいますが、休眠期に行うことで負担を最小限にとどめられます。この時期の剪定が基本ですが、葉先を整えたり細い枝を整えたりする程度であれば、暑くなる前の6月~7月にしても構いません。
鉢植えの場合
鉢植えの場合の剪定の適期は、10月~11月と3月です。10月~11月の剪定はコンパクトに育てることを、花後の3月には次の花芽を育てることを目的とします。
剪定に必要なもの
必要な道具
- 剪定ばさみ
- ノコギリ
- 癒合剤(ゆごうざい)
- 脚立(地植えのみ)
しだれ梅の剪定には基本的には剪定ばさみを使用しますが、太い枝など切りにくい箇所はノコギリがおすすめです。地植えで2mを越えているものは大きめのノコギリで、コンパクトに育てている場合は園芸用の小さなもので十分です。
ボタニ子
「癒合剤」は剪定後の切り口に塗る薬剤よ。傷口を乾燥や雨水から守って、雑菌が入るのを防げるわ。
剪定のやり方
地植えの場合
混みあっている枝、細い枝、傷んでいる枝、飛び出している枝を中心にカットします。ひとつの枝に花芽が5つ残るように調整しながら切っていくのがポイントです。風通しを確保するためにも、強めに剪定しましょう。しだれ梅は枝を外側へ広げて成長するため、多少切りすぎても問題ありません。
ボタ爺
夏前に剪定する場合は、切りすぎると花芽がつかなくなるぞ!枝先や葉数を調整する程度に留めるんじゃよ!
鉢植えの場合
10月~11月の剪定は枝を整えるのが目的のため、地植えのときと同様に込みあっている枝や傷んでいる枝を中心にカットしましょう。3月の剪定は花芽を育てるのが目的です。ひとつの枝に花芽が3つ程度残るように調整しつつ、枝の長さが1/3~1/2になる箇所でばっさり切り落としてください。
しだれ梅の枝が伸びないのですが、なぜでしょう?
しだれ梅の枝が伸びない原因は「水分不足」「日照不足」「肥料不足」など手入れ方法に問題がある可能性があります。まずは手入れ方法を見直し、環境を整えてあげましょう。また、時季外れの剪定は枝の成長をストップさせやすいため、剪定方法や時期に気をつけてください。
しだれ梅の育て方【特別な手入れ】
増やし方
しだれ梅の増やし方は挿し木が簡単でおすすめです。春以降に伸びた新しい枝を10~15cmほど切り取り、下の部分の葉を切り落として挿し穂を作ります。1時間~2時間ほど水揚げしたら、赤玉土を入れた小さめの植木鉢に挿しましょう。発根するまでは特に乾燥に気をつけ、毎日水やりしてください。
移植
移植の時期
地植えしているしだれ梅を移動させたい場合は移植も可能です。移植の適期は「葉が落ちている期間」ならいつでも構いません。移植時は株に負担がかかりやすいため、負担を減らせる休眠期にするのがおすすめです。
ボタニ子
庭木として長年植えているしだれ梅は、樹高も高くて移植が難しいかも。
ボタ爺
樹高が2mを越えるなら、移植はプロに任せるのがおすすめじゃよ!
移植の方法
まずは運びやすくするためにも、枯れた枝などを軽く剪定します。次に、幹の直径の5~6倍の箇所を目安にしてグルっと円形に株を掘り起こしてください。運びやすいように、根鉢を麻布で包み麻ひもで固定しましょう。移植したい場所に根鉢と同じ大きさの穴を開け、植え付けて完了です。麻布とひもは自然に還るため、取り外す必要はありません。
しだれ梅を育てて日本の風情を楽しもう!
しだれ梅とは「枝垂れ梅」と書くように、垂れ下がるように伸ばす枝が特徴の植物です。その枝に花が咲き乱れる姿は圧巻で、庭木にしても鉢植えにしても、見る人の心を和ませてくれます。梅は日本の春を代表する花のひとつです。ぜひ好みの樹形に整えて、見事に咲き誇る花姿を楽しんでみてくださいね。
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鉢植えは地植えより成長が鈍いから、なるべく日光に当ててね。