ハオルチア(ハオルシア)ってどんな多肉植物?
ぷっくりとした葉にキラキラ輝く透明な「窓」を持つハオルチアは、その美しい姿から「クリスタルプラント」とも呼ばれる多肉植物です。熱心なコレクターも多く存在し、200万円以上もの価格で取り引きされることもありますが、一般的な種類なら園芸店や100円均一で手に入れることも可能です。そんなハオルチアの種類や特徴、花についてご紹介します。
ハオルチアの基本情報
【学名】Haworthia
【別名】砂漠の宝石 クリスタルプラント ジュエルプランツ
【科名】ツルボラン科
【属名】ハオルチア属
【英名】Haworthia
【原産地】南アフリカ
【園芸分類】観葉植物,多肉植物
【形態】多年草
【草丈】2cm~20cm(花茎含まず)
【耐寒性】やや弱い
【耐暑性】やや弱い
【花色】ピンク 白
【開花時期】2月~6月(種類による)
【生育適温】15~25℃
ハオルチアの種類①:レツーサ
三角形の葉を星形に広げるレツーサの英名は「Star cactus(スターカクタス)」、和名は「寿(コトブキ)」です。日光に当たる面の透明感と、ペンで描いたような緑の線が美しい品種。葉の高さは5cmほどです。他にレツーサ系は、小型の「ピグマエア」、明るいグリーンの「レツーサ錦(ニシキ)」、網目模様がくっきり出る「コンプトニアーナ」などがあります。
ハオルチアの種類②:プランフォリア(プラニフォリア)
ぷっくりとしたしずく型の葉が、ロゼット状に重なるプランフォリア。目の覚めるような明るい黄緑色が、とても印象的です。レツーサのようなはっきりとした窓はなく、プランフォリアは、葉先に向かう黄緑色から透明のグラデーションが美しい品種。プランフォリア一株で、ぐっと明るく華やかになります。
ハオルチアの種類③:クーペリー
オブツーサとの区別が難しいクーペリーですが、葉から伸び上ってきている模様がてっぺんで繋がらず、窓の面が広いのがクーペリーです。クーペリー系では最も大きい「エンペラー」、透明感が高く人気があるクーペリーの変種「紫玉露(ムラサキギョクロ)」など、さまざまな品種があります。
ハオルチアの種類④:オブツーサ
葉から伸びてきている模様がてっぺんで繋がっている物がオブツーサです。丸くぷくぷくした葉の先に透明の窓を持つ、ハオルチアを代表する人気の品種。和名は「雫石(しずくいし)」です。「紫オブツーサ」や「ブラックオブツーサ」、マットな白で上手に紅葉させるとピンクになる「白肌オブツーサ」など、たくさんの品種があります。
ハオルチアの特徴
ハオルチアは南アフリカ原産の、葉が重なるようにロゼット状に育つ多肉植物です。気候の良い春と秋に成長し、夏と冬に休眠します。また、葉が硬く尖った「硬葉系」と、柔らかく透き通った「軟葉系」の二つのタイプに分けられます。日本では1年を通して室内で育てることができ、大きくなっても20cmほどにしかなりません。
ハオルチアの「窓」
ハオルチアの多くは岩の影や木の間などに隠れ、葉の先端の「窓」と呼ばれる透明な部分を地表に出し、日光を取り込みます。外敵から身を守りながら光合成を行っているのです。このハオルチア特有の「窓」に光が当たってきらめく様子から「砂漠の宝石」や「クリスタルプラント」と呼ばれるようになりました。
ハオルチアの花
種類にもよりますが、春から初夏にかけてピンクや白の小さな花を咲かせます。葉の間から花茎を30cm以上にも伸ばし、昆虫たちの受粉をじっと待つ姿はとても健気。人目を引く印象的な葉と比べて、清楚でひかえめな花です。
花の咲かせ方について
気になる花の咲かせ方ですが、葉と比べて地味な花の咲かせ方については、残念ながらあまり議論されません。もともと栽培がそれほど難しくないため、特別な手間をかけずとも「気付いたら花芽が!」というケースが多く、花の咲かせ方よりも出てきた花芽をどうするか。つまり、株の成長のために犠牲になってしまうこともあるのです。
花芽をカットする場合も
小さなからだから、長い花茎を伸ばして花を咲かせるとなると、株の体力の消耗は避けられません。株を充実させるために花をあきらめ、花芽は掻き取ってしまうか、1輪か2輪ほど花を咲かせてから、花茎を数cm残してカットします。そのまましばらく置くと花茎は茶色く枯れるので、手でそっと抜き取りましょう。
花を咲かせて種を取る楽しみも
思い切って花を咲かせて種を取り、種まきから育てることもできます。ハオルチアは同じ株の受粉では結実しないので、同じ時期に花を咲かせる別の種類が必要です。受粉に成功すると花が終わった後に房ができ、中から黒い種を取ることができます。自分で作った種から育てるのも楽しみのひとつです。
ハオルチアの色
ハオルチアはの色は、日当たりに影響を受けます。日照はもちろん必要ですが直射日光が苦手なので、朝の数時間で変色してしまうことも。しかし、変色に気づいたときにすぐに日陰に避難させると、品種や程度にもよりますが、数日できれいな色を取り戻すことができます。美しい色を保つためには「直射日光が当たらない、明るい日陰」で育てましょう。
ハオルチアの季節の管理
春と秋
ハオルチアの成長の季節。風が通る明るい場所が最適です。直射日光は葉が焼けてしまうので避けましょう。春と秋の水やりは、およそ週に一度、土が乾いてから、鉢の底から水が流れ出るくらいあげると、土の中の空気を入れ替えることができます。通気性を保つため、底に溜まった水は必ず捨てましょう。肥料は生育期に、緩効性化成肥料か液体肥料を与えます。
秋の水やりは慎重に
夏の根腐れの危険を乗り越えたハオルチア。秋になり涼しくなって、待ちに待った成長の季節ですが、急に水やりを増やしてしまうと根腐れを起こしてしまうことがあります。様子を見ながら、徐々に水やりの回数を増やし、しっかりとした健康な株を育て、次にやってくる厳しい冬に備えましょう。
夏と冬
ハオルチアの休眠期です。環境は成長の季節と同じく、風が通る明るい場所で。極端な暑さや、凍るような寒さは避けましょう。この季節に注意したいのが水やりです。およそ月に1~2回、葉が少ししおれてきた頃が目安です。このときも水はたっぷり与えてあげましょう。休眠期は特に、乾かし気味で管理すると安心です。
ハオルチアの水分チェック
指で葉をつまんでみると、水を蓄えているときはハリがあって硬く、水分が少なくなってくるとシナシナと柔らかい感触になります。目で見て、指で触って水分チェックしてみてください。
ハオルチアが枯れるとき
枯れる原因の多くが水のやり過ぎです。多肉植物であるハオルチアは、乾燥した環境に適応するため、肉厚の葉に水分を溜め、葉の表面のクチクラ層が水分の蒸発を防ぐ特質を持っています。そのため、常に土が湿った状態にすると根腐れを起こし枯れるのです。水やりの基本は「乾いたら、たっぷり」です。乾かし気味を心掛けましょう。
ハオルチアの花言葉
「小さな愛」
ふっくらときらめく小柄なハオルチア。きっと、見た目の愛らしさから付けられた花言葉なのではないでしょうか。淡いピンクや白い小さな花も、イメージにぴったりですね。こんなかわいい花言葉なら、プレゼントとしても喜ばれそうです。
まとめ
一年中室内で育てられ、それほど大きくならないハオルチアは、置き場所に困ることもありません。種類もとても多く、さまざまなタイプをコレクションして育てるのも楽しみです。見た目の美しさとインパクト、それに加えてかわいらしい花言葉を持つので、植物好きな方へのプレゼントにも。まずはお気に入りをひとつを見つけてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC