山茶花とは
山茶花(サザンカ)もツバキ科の常緑広葉樹
山茶花はツバキ科の常緑広葉樹で、童謡「たきび」の歌詞に登場することでも知られています。晩秋から冬にかけて咲くことから、俳句などでは冬の季語として扱われてきました。同じツバキ科の常緑広葉樹である乙女椿とは、基本的な性質や見た目の特徴がよく似ているため、よく間違われます。ここでは山茶花の特徴や開花時期や花言葉、そして乙女椿との見分け方を紹介します。
山茶花の特徴
山茶花は生垣によく利用される
山茶花は常緑樹である上に、彩りに乏しい初冬に花を咲かせることから、生垣によく利用されています。花は白い一重咲きの品種が一般的ですが、園芸品種には赤色やピンク色の品種や、八重咲きの品種も存在します。葉は照葉で厚みがあり、縁にギザギザがあるのが大きな特徴です。冬の季語であることから、寒さに強いイメージがありますが、開花時期に寒気に当たると花が落ちてしまうことがあるので注意しましょう。
山茶花の開花時期
山茶花の開花時期は品種により様々
山茶花の開花時期は品種群によって異なります。山茶花の品種群はサザンカ群・カンツバキ群・ハルサザンカ群の3つです。サザンカ群は野生種から作出された品種群で、開花時期は3つの品種群の中で最も早く、10月の早い時期に開花します。カンツバキ群は「獅子頭」という品種から作出された品種群で、11月中旬から2月にかけて花を咲かせます。ハルサザンカ群は山茶花と椿の交雑品種群で、2月中旬から5月中旬に開花します。
山茶花の名前の由来
山茶花の「山茶(さんさ)」は、元々は中国語でツバキ類全般を指す言葉でした。当初は山茶花を「サンサカ」と読んでいましたが、時代が下っていく内に言葉が訛って、現在の読み方「サザンカ」になったと言われています。
山茶花の花言葉
山茶花の花言葉は「困難に打ち克つ」「ひたむきさ」「理想の恋」などです。挫けない強さを意味する言葉が多いのは、山茶花が寒い時期に花をつけることに由来しています。なお、椿と同じく、山茶花にも色別の花言葉があります。
赤色の山茶花の花言葉
赤い山茶花の花言葉は「謙譲」「あなたが最も美しい」です。「謙譲」は、山茶花には一重咲きの品種が多く、控えめなイメージが強いことから来た花言葉とされています。もう一つの花言葉である「あなたが最も美しい」は、晩秋から初冬の彩りに乏しい風景の中で、山茶花の鮮やかな赤い花色がとても目を引くことに由来しています。
白色の山茶花の花言葉
白色の山茶花の花言葉は「愛嬌」「あなたは私の愛を退ける」です。「愛嬌」の花言葉は、晩秋の寂しい風景の中、山茶花の白く可憐な花が見る人の心を和ませてくれることに由来しています。一方、ポジティブな意味が多い山茶花の花言葉の中では、珍しくネガティブな「あなたは私の愛を退ける」の由来は、はっきりしておらず詳細は不明です。贈り物に選ぶ際には注意しましょう。
ピンク色の山茶花の花言葉
ピンク色の山茶花の花言葉は「永遠の愛」です。花言葉の由来は山茶花が持つひたむきなイメージと、ピンク色が温かい愛情をイメージさせる色であることから、この花言葉がつけられたと言われています。恋人や配偶者への贈り物にふさわしい花言葉と言えるでしょう。
乙女椿と山茶花との見分け方
乙女椿と山茶花は、どちらもツバキ科ツバキ属の常緑広葉樹で、花や葉など見た目もよく似ています。見ただけでは区別がつかないという方も少なくないでしょう。ここからは、乙女椿と山茶花との簡単な見分け方を紹介します。
見分け方その1
花の散り方
乙女椿と山茶花の見分け方で、一番わかりやすいのは花の散り方です。乙女椿の花が花首からポトリと落ちるのに対して、山茶花の花は花びらがパラパラと落ちていきます。開花時期も違います。品種による違いはありますが、乙女椿が冬から春にかけて咲くのに対して、山茶花は晩秋から冬に開花します。
見分け方その2
葉の大きさ
もう一つの見分け方のポイントは葉です。まず、葉の大きさが違います。乙女椿と山茶花の葉を比べてみると、山茶花のほうがやや小さめです。また、山茶花の葉の縁にはギザギザが目立ち、葉の裏には葉脈に沿って細かい毛が生えています。一方、乙女椿の葉の縁のギザギザは浅く、葉の裏を見ても毛はほとんど生えていません。
見分ける際の注意点
チャドクガにご注意!
乙女椿や山茶花などのツバキ科の植物には、チャドクガという害虫がついていることがあります。チャドクガの体毛に触ると湿疹と痒みが出てしまうので、ツバキ科の植物に触れる際には、手袋を着用することをおすすめします。乙女椿と山茶花を見分ける際も、手袋をしてから違いを確認する作業に入りましょう。
まとめ
乙女椿は、花が少ない冬の時期に可憐な花をつけ、見る人の心を和ませてくれる素敵な花です。寒い時期に健気に咲く姿を、ぜひその目でご覧ください。乙女椿の前に咲く山茶花の花も、晩秋の花として、その奥ゆかしい花の美しさを楽しみましょう。
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出典:写真AC