はじめに
寒椿は、椿と山茶花の交配種とされる常緑中低木です。日本固有の品種で、冬の寒い季節に、庭木や垣根などで美しい花を咲かせます。交配種だけあって、椿や山茶花とはとても良く似ており、見分けにくいのが特徴です。
寒椿の呼び方
「寒椿」の呼び名は、主に関東で「獅子頭」という品種を指す言葉として使われています。このように寒椿という一つの品種として使う場合と、交配種である山茶花のカンツバキ系の園芸品種を意味する場合があります。この記事では、山茶花の園芸品種としてのカンツバキ全体を紹介していきます。
寒椿の特徴
名前 | 寒椿 |
学名 | Camellia hiemalis Nakai |
科・属 | ツバキ科ツバキ属 |
花の色 | 赤・白・ピンク |
開花時期 | 11月~2月 |
花の特徴
一番多いのは赤やピンクの八重咲きや獅子咲きですが、白い花や一重咲きの花もまれに見られます。冬の季語にもなっていて、11月ごろから2月ごろの冬の時期に花を咲かせます。花には香りがほとんどありません。椿と同じで花びらと雄しべがくっついていますが、花が散るときは一枚一枚花弁を散らしていきます。この散り方は山茶花の特徴と同じです。
葉の特徴
葉は暗緑色をしていて、細長い楕円形をしています。葉の縁には鋸歯と呼ばれる鋭いギザギザがあり、先が尖っているのが特徴です。椿よりも小さめの葉で常緑低木のため、一年中紅葉することなどはありません。
カンツバキ群の品種
椿と山茶花の交配種の品種はカンツバキ系といわれています。このカンツバキ系の品種で有名なものをいくつか紹介していきます。
獅子頭
すべての寒椿の原点ともいわれる有名な品種です。樹高が高めで、幹を覆うように枝が広がっていきます。枝が這い性で横に広がっていく特徴があるため、グランドカバーとして生け垣に使用されることも多く、「這いカン」とも呼ばれています。「獅子頭」は寒椿の別名にもなっています。
勘次郎
勘次郎は、獅子頭の交配種である寒椿です。横張り性の獅子頭とは対照的に、上に生える性質を持った品種です。獅子頭の「這いカン」に対して、「立寒椿(たちかんつばき)」あるいは「立寒(タチカン)」と呼ばれます。獅子頭以上に、国内でも非常によく普及していて、一般的に見られる寒椿のほとんどは勘次郎であるともいわれています。
朝倉
朝倉は、つぼみの時はピンク色で、花が開くと真っ白になる寒椿の品種です。白いバラのような見た目が人気の品種で、外側にわずかに残るピンクが素敵な花です。
乙女サザンカ
乙女サザンカは乙女山茶花とも書き、山茶花と名前にはつきますが、カンツバキ系の品種です。ピンク色の美しい花を咲かせます。黄色い雄しべが見えないように花が丸くなって咲くのが特徴で、乙女椿と似ている園芸品種です。
ボタ爺
次からは、寒椿の見分け方や育て方を見ていきます。
出典:写真AC