白菜に黒い点が出現する理由
白菜のゴマ症は生理障害のひとつです。生理障害とは気温や土壌の成分、光などの生育環境にストレスを受け発生した成長不良のことをさします。色形がよくないといった見た目上の不良がほとんどで味や栄養成分に大きな変化はなく、食べても問題ないのです。ゴマ症は白菜以外でも発生し、同じアブラナ科であるキャベツや小松菜でも黒い点がみられることがあります。
黒い点になる理由
白菜が何らかの要因でストレスを受けると、ストレスを受けた部位にポリフェノールが集まります。集まったポリフェノールがポリフェノールオキシダーゼという酵素と反応することで褐色になり、黒い点になります。ポリフェノールオキシダーゼはほとんどの植物に存在する酵素で、りんごやアボカドの切り口が変色するのもこのポリフェノールオキシダーゼによるものです。
白菜のストレス要因
白菜がストレスを受けると黒い点、つまりゴマ症ができると解説しましたが、どんなことが白菜のストレスとなるのでしょうか。実は白菜がストレスを受ける原因はとても多く、確実に特定・回避することは非常に難しいそうです。白菜がゴマ症になってしまうストレスとしてよく知られているものをご紹介します。
白菜のストレス要因①肥料(窒素)の過多
ゴマ症の原因のひとつめは窒素の過多によるものです。窒素はもともと土壌の成分として含まれているほか、肥料として散布されます。窒素が不足すると茎や葉の成長が悪くなってしまうので、作物の生育初期には欠かせない成分です。土壌に含まれる窒素の量は降雨量などコントロールできない要因で変動することもあり、生産者にとって大きな問題になっています。
黒い点ができるメカニズム
土壌中に窒素がたくさん含まれ、根から吸収した窒素の量が多いと白菜の細胞のなかのの窒素濃度が高くなりすぎてしまうことがあります。そうすると、細胞内に水分を溜めることで窒素濃度を正常に戻そうとし、増えすぎた水分によって細胞壁が圧迫されストレスを受けるのです。そのストレスによりゴマ症が発症します。
白菜のストレス要因②低温障害
野菜や果物には、低温にさらされると変質してしまうものがあり、変質してしまうことを低温障害といいます。低温に弱いのはほとんどが夏野菜や温暖な地域で育つ作物ですが、冬野菜の白菜も低温障害を起こすことがあるのです。ゴマ症ではない白菜を選んだはずなのに冷蔵庫に入れておいたら黒い点が出てきた、ということがあります。これは冷蔵庫の温度が白菜の保存には低すぎるからです。
ゴマ症にならない保存のしかた
丸ごとの白菜は冬場は冷蔵庫に入れなくても、暖房の効いていない部屋であれば常温で1か月程度は保存ができます。カット済みの白菜や温暖な季節は冷蔵庫での保存が望ましいです。丸ごとの白菜は表面を新聞紙にくるんで、立てて保存するようにします。カット済みのものは切り口をしっかりラップで覆って冷蔵室よりも温度の高い野菜室で保存し、一週間を目安に使い切りましょう。
次のページでは、SNSで見かけるゴマ症白菜への疑問について解説します!
出典:写真AC