ブルーベリーの挿し木のやり方【実践】
①用土の準備
育苗ポットにピートモスを入れます。ピートモスは水をたくさん吸うため、育苗ポットに入れた後はたっぷりと水を与えて湿らせておきましょう。平鉢などの植木鉢を使う場合は、水はけをよくするために鉢底石を敷き、その上からピートモスを入れてください。同じく水で湿らせたら用土の準備は完了です。
②挿し穂を作る
剪定時に切った枝を、8cm~10cほどの長さに切りましょう。緑枝挿しの場合は先端の葉を2枚ほど残し、それ以外の葉は切り落としてください。休眠枝挿しの場合は、先端も含めて全て葉を切り落としましょう。土に挿すほうの枝の先をナイフで斜めに大きくカットしたら、水挿しにして2~3時間ほど置いてください。
③挿し穂を植える
植えたい場所に枝の太さと同じくらいの大きさの穴を開け、そこに準備した挿し穂を挿していきましょう。挿し穂を使って穴を空けると、切り口に傷ができ雑菌が入る場合があります。失敗しないためにも、事前に指や割りばしを使って穴を開けてから挿し穂を挿してください。挿し穂の1/3の長さが土に埋まるのを目安に植えましょう。
ボタ爺
④管理する
管理の仕方は「緑枝挿し」と「休眠枝挿し」で異なります。間違った管理方法だと成長しにくく、うまく発根しない場合があるため、やり方をしっかりと把握しておきましょう。ポイントは「置き場所」と「水やり」です。
緑枝挿しの場合
緑枝挿しを成功させるためのコツは「30℃以下を保つ」ことです。風通しのよい日陰で管理しましょう。猛暑が続くようであれば、一時的に風通しのよい室内に避難させてください。9月に入り涼しくなったタイミングで日向に移動させましょう。水やりは1日に1回を目安にしてください。早くて3週間~1カ月ほどで発芽し、スムーズにいけば2カ月ほどで発根します。
休眠枝挿しの場合
休眠枝挿しで気をつけるべきは「水の与え方」です。休眠期には水をあまり必要としないため、水やりは控えめにして乾燥気味に管理しましょう。土が乾いたタイミングで与える程度で十分です。明るい日陰で管理してください。休眠期であることもあり、3週間ほどで発芽することもあれば、発芽しないこともあります。うまくいけば3~4カ月ほどで発根します。
ボタニ子
3週間~1カ月経っても芽が出ないからって、諦めてしまわないでね!地上部に変化がなくても、枯れていなければ発根する可能性は高いよ!
⑤鉢上げする
挿し木の経過を観察しながら、発根して根の張りが強くなってきたタイミングで鉢上げしましょう。育苗ポットに入れたままにしておくと、根詰まりを起こすなど失敗につながります。植木鉢の大きさは4号鉢ほどの小さめタイプを選んでください。いきなり大きい鉢に植え替えると、水や栄養がうまく行き渡らず枯れてしまうため注意しましょう。
ボタニ子
用土はピートモスで大丈夫だよ!もう少し成長して再度鉢上げするときは、ブルーベリー用培養土を使うのが簡単でおすすめなの!
ブルーベリーの鉢上げの適期はいつですか?
初回は季節を問わず発根したタイミングで鉢上げしましょう。ブルーベリーは1年目、2年目とどんどん大きく育ちます。最終的には7号~10号鉢の大きさになるため、経過を見つつさらに鉢上げする必要があります。鉢上げの適期は植え替えの適期と同じく、11月または3月です。落葉してからのほうが苗や株に負担がかからずおすすめです。
ブルーベリーの挿し木を失敗させないためには
ブルーベリーの挿し木は、失敗しにくく初心者でも簡単といわれていますが、成功率を上げるにはコツがあります。一つひとつは「ちょっとしたこと」ですが、挿し木を失敗しないためにはとても重要です。ポイントをしっかりと押さえて、挿し木を成功させましょう。
①乾燥に注意する
ブルーベリーの挿し木の失敗を防ぐには、挿し穂を乾燥させないように注意することが大切です。剪定後にすぐに挿し木作業にとりかかれない場合は、切り取った枝をそのまま水に挿しておきましょう。挿し穂を保管する場合も、枝を乾燥させないためにも長時間放置せず、速やかに保存袋に入れてください。
②発根促進剤を使う
スムーズに発根や発芽させたいのなら、「発根促進剤」を使ってみましょう。さまざまな種類のものがありますが、中でも使いやすい「メネデール」がおすすめです。使い方は簡単で、水揚げの際の水を100倍に希釈したメネデール液に変えるだけです。なかなか発根や発芽が見られないときは、水やりの際に水の代わりにメネデール希釈液を何度か与えてみましょう。
発根促進剤なら何を使っても大丈夫ですか?
発根促進剤には非常にたくさんの種類があり、オーガニック向けや発根に特化したタイプなどそれぞれ特徴が異なるため、育てたい植物にあわせて選んでください。発根促進剤の中でも「メネデール」や「ルートン」が有名ですが、ルートンは食用の作物には使えないため注意が必要です。
③適期に行う
ブルーベリーの挿し木は基本的に年中可能ですが、失敗なく育てたいのなら適期に行うように心がけましょう。温暖な地域で8月の暑い時期に挿し木しても、暑さで弱って発根しない場合があります。また、挿し穂の保管が長すぎると、その分発根率も下がります。剪定の適期が挿し木の適期でもあるため、時期をしっかりと見極めてください。
④発根するまで掘り返さない
ブルーベリーに限らず挿し木でよくやりがちなのが、「発根前にむやみに掘り返してしまう」ことです。根の張りが弱い段階で掘り返すことで、根が傷つき弱り、最悪の場合枯れてしまいます。水挿しであれば発根の経過やその様子が目で見て確認できますが、土の中では様子が外から見えません。経過が知りたくても、2カ月は触らずに様子を見守りましょう。
挿し木の経過を確認するには
土の中の様子は見えませんが、発根などの成長経過は枝にも表れます。緑枝挿しであれば、残した葉が青々としたままであったり、付け根から新芽が出てきたりしていれば、経過は良好です。落葉樹のため冬には葉が落ちるかもしれませんが、茎が枯れていなければ問題ありません。休眠枝挿しであれば、春先に新芽が出てくれば経過は順調と判断しましょう。
ブルーベリーを挿し木で上手に増やしてみよう!
ブルーベリーの挿し木は簡単で、初心者でも比較的失敗なく増やせます。種から育てると4年5年とかかるブルーベリー栽培も、挿し木なら1年目~2年目で花が咲き、順調にいけば3年目には実をつけます。甘くておいしく見た目もかわいらしいブルーベリーを挿し木で増やして、観賞や収穫を楽しんでみてくださいね。
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ひとつの植木鉢に数本挿し木するのなら、株間は5cmとる必要があるぞ!たくさん植えすぎると成長が悪くなるから気をつけるんじゃよ!