パイナップルとは
基本情報
名前の由来は松ぼっくり(pine)に外見が似ていて、味がりんご(apple)に似ているところからです。タンパク質分解酵素を含み、肉類を柔らかくするほか、夏バテや老化防止、疲労の回復などの効果があります。乾燥に耐え、高温多湿を好みつつも寒さにも耐える生命力の強い植物です。主な種類にスムースカイエン種のほか、台湾発祥のスナックパインなどがあります。
パイナップルの生え方
パイナップルの生え方には二種類あり、ひとつは苗木からの生え方、もうひとつは果実の頭にあるヘタから発生する増やし方です。果実の頭にあるヘタは、冠芽またはクラウンと呼びます。クラウンは食用のパイナップルからでも、傷みがなければ転用できます。苗木からの増やし方よりもクラウンからの増やし方がはるかに早く育って簡単なので、今回はクラウンの植え方についてを主に説明します。
生え方・植え方
生え方は地植え・鉢植え・水栽培の3種類
パイナップルの原産国など、暖かい地域では地植えが主な植え方になります。日本では、沖縄を除き越冬のために鉢植えか水栽培を選ぶのがよいでしょう。パイナップルは3度近くまで寒さにも耐えますが、冬はやはり鉢を室内に置ける植え方を選ぶほうが確実です。水はけのよい酸性土に植えればやせた土地でも育ちますが、適度に肥料を与えると大きな果実が実ります。
クラウンの植え付けは6月~8月
植え付けるクラウンは食べごろの果実から取り外して使います。トゲで怪我をしないように厚手の手袋をつけて作業しましょう。クラウンと果実をそれぞれ別の手で持ち、捻るようにクラウンを抜き取ります。硬くて取り外せない場合は、果実が未熟である証拠です。ナイフでも切り取れますが、手で抜き取った方が余計な切り口をつけずに済みます。苗木なら、5月~6月に地植えか鉢植えを行います。
水栽培
クラウンから育てる場合、水栽培という植え方もあります。水栽培の方法はシンプルです。果実から取り外したクラウンの切り口を1週間ほど日陰で寝かせます。クラウンの切り口が乾いたことを確認してから、ペットボトルの下半分などに水を溜め、クラウンの切り口を水につけておいてください。発根まで1ヶ月ほどかかりますが、根の生え方をペットボトル越しに観察できます。腐敗を防ぐために水は毎日取り替えましょう。
置き場所と水やりや肥料について
倒さないように注意して日当たりのよい場所に置くこと
風当たりが強くない場所を選び、十分に日光に当てましょう。花芽が出るところまで育つと、パイナップルは地上部分の背が高くなり、根は短いためバランスが悪くなります。パイナップルが倒れてしまわないように、強い風を避け、支柱を設置します。果実そのものは強い直射日光が苦手です。果実ができる7月~8月は、遮光ネットを被せるか、少なくとも直射日光が長時間当たる場所を避けて育てましょう。
水やりは時期によって様子を見ること
基本的に乾燥気味に育てるのがよいです。水をやりすぎると根腐れを起こすので、植えてある土表面が乾いたのを確認してから水やりをします。注意が必要になるのが花と果実の時期です。その時期パイナップルは水の吸収が早くなります。乾燥させすぎないようにも気をつけて水やりをしてください。パイナップルは葉の付け根からも水を吸収できます。乾燥が酷いときは株全体に水をふりかけましょう。
肥料は市販されている専用のものがおすすめ
4月~10月の成長期に窒素とカリを肥料として与えるとよいでしょう。パイナップルが好む肥料の配合はほかの植物とは異なるので、パイナップル専用の肥料があります。専用のものでなくても、窒素・カリウム・リン酸が同量ずつ配合されている化学肥料も使えます。十分に肥料を与えることで、結実期に大きな果実を実らせられるので、大きな果実を育てたい場合は特に肥料に気を遣いましょう。
パイナップルの実り方
実り方
果実の生え方は花茎の頭から
パイナップルの実り方は独特で、高さ1mほど育った花茎の頭に結実します。大きな果実を作るためには、強い日光が当たる暖かい場所で育てるのがよいです。植えてから結実するまでに3、4年かかりますが、育て方も簡単で病害虫などにも強く、長く栽培を楽しめるでしょう。葉っぱの形もユニークで、紅白の筋がきれいに入る品種は観葉植物にも数えられます。
パイナップルの果実は集合果
パイナップルの大きな一つの果実は、本当は100~200個ほどの小さな実が集まっているのです。これを「集合果」と呼びます。集合果を収穫したあとには株元から生えてくる子株を育てると、さらに子株を育てられるでしょう。この増やし方だとクラウン挿しよりも早くに結実します。ただし、果実の大きさは収穫のたびに小さくなるでしょう。
収穫時期
パイナップルの収穫時期は8月~9月
パイナップルは、夏に開花時期を迎え、その後茎の先端から結実します。結実して大きくなったパイナップルが上の部分から黄色くなって甘い匂いがしてきたら収穫時期と言えるでしょう。果実の下部から収穫します。その際、厚手のグローブを用いて収穫すると、パイナップルのトゲで怪我をせずに済むでしょう。
甘いパイナップルが育つのは22.5度以上の温度管理を
パイナップルを育てるには24度~30度の間の気温が適しています。原産地の熱帯アメリカのように、沖縄や南西諸島など暖かい場所での栽培が一般的です。甘くて酸味が控えめなパイナップルを育てるためには、22.5度以上の場所にパイナップルを置いておけるように気を付けましょう。15度以下の場所ではパイナップルは生育を止めてしまいます。暑さに関しても、30度を超える猛暑はパイナップルによくありません。
注意すべき害虫はカイガラムシ・ハダニ
パイナップルにつく病害虫は比較的少ない方ですが、風通しなどの状況が悪いとカイガラムシ、乾燥が進むとハダニがつくということもあります。見つけた場合早急に駆除しましょう。ハダニの場合、葉水によりハダニを防げます。葉の剪定など特別なお手入れは必要ないですが、枯れた葉っぱはこまめに取り除いてください。結実した場合には重たい果実に引っ張られて花茎が曲がらないように支柱を立てましょう。
スナックパインとは
さまざまな種類があるパイナップルの中でも近年注目されている「スナックパイン」。スナックパインはボゴールパインとも呼ばれ、通常のパイナップルより一回り小さいです。パイナップル特有の酸っぱさが控えめで、香りが強く甘みを感じやすい味になっています。果肉にすきまがあいていて、手でちぎって食べられる便利さも人気の理由です。発祥地は台湾で、日本では主に沖縄で栽培されています。
まとめ
パイナップルはポピュラーなフルーツですが、その特徴的な生え方・実り方については一般的とは言えません。スーパーで買ったパイナップルから新しい株を育てるのは、園芸初心者には難しいでしょう。しかし、パイナップル栽培に成功すれば、ひとつのパイナップルから次々に新しい果実を収穫できます。こちらで紹介した特徴を踏まえて、甘くて美味しい自分だけのパイナップルを栽培してみてください。
出典:写真AC