パイナップルってどんな植物?
パイナップルはパイナップル科に属する植物で、パインアップルやパインナップルと呼ばれることもあります。果実は爽やかな酸味と強い甘みが特徴で、日本でも南国フルーツとして人気があります。ただし植物としてのパイナップルには、日本人があまり知らない秘密もあります。
パイナップルは観葉植物
日本ではフルーツとしてのパイナップルが有名ですが、園芸上ではアナナス属の観葉植物に分類されます。パイナップルといってもさまざまな種類があり、観葉植物としての価値が高く評価される種類もあります。ここ数年人気となっているエアープランツもパイナップルの仲間で、チランジア属に分類されます。他にも観葉植物のパイナップルの仲間には、グズマニア属やエクメア属などがあります。
パイナップルは暑さに強く寒さに弱い
ブラジルが原産地のパイナップルは、暑さにとても強いのが特徴です。雨がほとんど降らない乾燥した地域でも良く育ちますし、夏の強い日差しの中でも枯れることはありません。ただし寒さに弱い植物で、年間平均気温が20℃以下の地域ではあまり育ちません。
病気にかからない
パイナップルはとても病気に強い植物です。一般的な植物では病気対策をしなければ質のよい果実を収穫することが難しいのですが、パイナップルは特別な病気対策をしなくても十分に質のよい果実を育てることができます。
地植えだと害虫の心配もない
パイナップルは害虫にも強い特徴があります。しかも生育に適した土であれば、鉢植えよりも地植えのほうがさらに害虫の心配がなくなります。まれにハダニが発生することがありますが、すぐに対処すれば収穫予定の果実が全滅することはありません。
パイナップブルを食べ過ぎると口の中が荒れる
パイナップルの果実は甘みと酸味が強いのが特徴ですが、食べ過ぎると口の中が荒れることがあります。これはパイナップルの果実にシュウ酸カルシウムが多く含まれているからです。さらに果汁にはたんぱく質を分解するブロメラインという酵素が多く含まれているので、口の中のたんぱく質が分解されることがあります。症状がひどい場合は、パイナップルの食べ過ぎによって出血が起きることもあります。
パイナップルの頭
パイナップルの頭は、果実のヘタから上に伸びた葉までのことをいいます。わかりやすくいえば「パナップルの頭=パイナップルのヘタ」となります。なおパイナップルのヘタは「クラウン」と呼ばれることもあります。ちなみにパイナップルの増やし方の説明でよく耳にする「クラウン挿し」とは、パイナップルのヘタを使った増やし方のことをいいます。
パイナップルの生え方
パイナップルは日本人にも人気のフルーツですが、一般的に年間平均気温が高い地域でしか栽培されないため、パイナップルの生え方を見たことがない人のほうが多いかもしれません。実はパイナップルの生え方は、果実をつける植物の生え方としては少し変わっています。
パイナップルは太い茎を中心に生える
パイナップルの生え方は、実際にパイナップル畑で果実を育てているところを見たことがない人には想像がつかないかもしれません。なぜならパイナップルは、スーパーの店頭で並んでいる状態の果実が、太い茎の先から空に向かって突き出ているような生え方をしているからです。そのため初めてパイナップルの生え方や果実の実り方を見ると、ほとんどの人が驚きます。
パイナップルの実り方
一般的な植物の場合、表皮で包まれたひとかたまりのものが果実として実ります。ところがパイナップルの果実の実り方は、一般的な果実の実り方とは違った特徴を持っています。
パイナップルの果実は集合果として実る
一般的なイメージの中でのパイナップルの果実は、実際には小さなパイナップルの果実が塊となったものをいいます。このような果実を「集合果」と呼びます。パイナップルは根茎の先端に果実をつける特殊な実り方をするのですが、うろこのような形1つ分がパイナップル1個の果実となります。なお1個の集合果には、平均100~200個の小さな果実がついています。
パイナップルの育て方の基本
農薬を使わなくても病気や害虫の被害がほとんどなく、夏の暑い時期に水やりを忘れても果実の実り方にほとんど影響がないパイナップルは、初心者におすすめの観葉植物でもあります。ただし食用のパイナップルの育て方には土、鉢植え、植え付けの時期、挿し木、果実の実り方、収穫時期など、あらかじめ知っておかなければいけないポイントがあります。
パイナップルの作り方に適した生育環境
パイナップルの育て方や果実の実り方に適した生育環境は、一年を通して気温が20℃以上あることが条件です。原産地が熱帯アメリカ・ブラジルですので、暑さにとても強いです。冬でも気温が20℃を下回ることがない地域で栽培されていた植物なので、気温が15℃以下になると生育が悪くなりますし果実の実り方にも影響がでます。
パイナップルの育て方①土
パイナップルは、水はけのよい砂質の土を好む植物です。しかも暑さと乾燥にとても強いので、直射日光が1日中あたる場所で栽培したほうが大きく成長します。ただし水はけが悪いと根腐れや土の温度が下がり過ぎる原因となるので、育ち方や果実の実り方にも関係してきます。
パイナップルの育て方②鉢植え
パイナップルの作り方の基本は地植えなのですが、鉢植えで育てても果実はつきます。ただしパイナップルは水はけのよい土でなければ育ちにくいので、鉢植えをするときには通気性のよい鉢を選ぶのがコツです。なおパイナップルの鉢植え栽培では、素焼きの鉢がおすすめです。また成長に合わせて少しずつ大きな鉢に植え替えると、果実の実り方もよくなります。
パイナップルの育て方③植え付けの時期
苗からパイナップルを育てる場合の植え付け時期は、5月~6月がおすすめです。植え付けの時期は気温とも関係するので、5月~6月でも気温が20℃を超えない日が続くようであれば、植え付けのタイミングを少しずらすとよいでしょう。なお年間平均気温が20℃以上の地域では収穫時期から逆算して植え付けをするので、秋や冬でも植え付けをすることがあります。
パイナップルの育て方④植え方
パイナップルの植え方は、苗植えとヘタ(頭)植えの2種類が一般的です。園芸としてパイナップルを育てるのであれば、市販されている苗を購入し鉢植えで育てると、温度管理がしやすいためおすすめです。なおヘタ植えではパイナップルの頭を使うのですが、植え方は苗の場合と同じです。
パイナップルの育て方⑤増やし方
パイナップルは、増やし方にも特別なコツを必要としない植物です。そもそもパイナップルは多年草の植物なので、果実を収穫すると根茎から新芽が出てきます。新芽が成長すると再び茎の先端に実をつけるため、この方法が最も自然な増やし方といえます。ただしこの増やし方では、収穫するたびに果実が小さくなります。そのため「1株で収穫できるのは3年まで」とするのが増やし方のコツです。
パイナップルの育て方⑥挿し木
パイナップルの挿し木は、クラウンを使います。挿し木は鉢植えがおすすめなのですが、植木鉢のサイズは挿し木用のクラウンの大きさによって判断します。小さい挿し木の場合は3.5号の鉢がおすすめですが、大きな挿し木の場合は、挿し木と鉢のサイズがあっていないと生育が悪くなってしまいます。なお挿し木用のクラウンは、傷がついていないものを選ぶようにしましょう。
パイナップルの育て方⑦冬越し
パイナップルの冬越しのポイントは寒さ対策です。パイナップルは寒さに弱いので、気温の管理をきちんとしなければ冬越しすることはできません。冬でも気温が20℃以下にならない地域では地植えでも冬越ししますが、一般的には屋内に移動して温度管理をしなければ冬越しすることは難しいです。なお屋内で冬越しさせる場合は、15℃以上を目安に温度管理をするとよいでしょう。
パイナップルの育て方⑧収穫時期
パイナップルの収穫時期は、植え付けから12~36月後です。果実の実り方や収穫時期はパイナップルの生育環境とも関係しますが、気温が高く日当たりのよい場所で育てれば、植え付けから1~2年後には最初の果実を収穫することもできます。
パイナップルの育て方⑨肥料
実り方を重視してパイナップルを栽培するなら、果実が成長する4月頃に肥料を与えるのがおすすめです。パイナップルは窒素とカリが多く含まれる土を好みますので、窒素とカリが配合されている化学肥料を使います。なお肥料の配合が難しい場合は、市販されているパイナップル専用の肥料を使うのがおすすめです。
パイナップルの育て方⑩農薬
パイナップルは病気や害虫に強い植物なので、農薬を使わなくても果実の実り方に大きな違いはありません。ただしまれにハダニが発生します。この場合は、ハダニ専用の農薬を使わなくても、ハダニがついた葉を株からはぎ取れば駆除できます。なお大量にハダニが発生した場合は、葉を株からはぎ取った後でハダニ専用の農薬を使ってもよいです。
次のページでは、「食べたパイナップルのヘタから育てる方法」をご紹介します。
出典:写真AC