パイナップルの概要
パイナップルは、王冠のような頭の形が特徴的なブラジル原産の果実です。食物繊維やクエン酸、たんぱく質分解酵素を含み、肉を柔らかくする効果があることでも知られています。また含まれるクエン酸の作用で、疲労回復効果や美肌効果が期待できます。近年では、台湾のお土産のパイナップルケーキも有名です。
パイナップルの主な産地
日本で流通しているパイナップルの多くは、フィリピンから輸入されています。平均気温が26℃くらいの温暖なフィリピンはで、安定した栽培・供給が可能です。2018年の農林水産省のデータでは、次点でコスタリカ、インドネシアと続きます。
パイナップルの生産が盛んな沖縄
亜熱帯地方に自生するパイナップルは、温暖な気候を好みます。日本では1年の平均気温が23℃と暖かい沖縄で栽培がされています。沖縄にはパイナップルのテーマパークもあり、季節を問わずにパイナップルの食べ放題ができるほど生産が盛んです。
スナックパインも生産
スナックパインの原産国は台湾で、現在は沖縄でも生産されています。収穫期は4月下旬~7月です。食べるときに下の硬い部分を切り落として、あとは手でちぎるだけで食べられることから、スナックパインと名前がつきました。芯も甘くて柔らかく、丸ごと食べられます。
パイナップルのヘタを挿し木する増やし方
パイナップルの挿し木は、頭の形から「クラウン挿し」ともいわれています。一見難しそうな増やし方ですが、家庭でも気軽にチャレンジできますよ。
手順①挿し穂を作る
作り方のコツはヘタの鮮度
まずは、パイナップルを入手します。入手したパイナップルをおいしく食べた後に、挿し穂を作りましょう。挿し穂に使うヘタは、枯れたり傷んだりしていないものが理想です。購入する場合は、緑で元気そうなヘタのものを選びます。また、入手したパイナップルは、冷蔵庫には入れないでください。店舗で冷蔵されているものも根が出ないため、購入時に気をつけましょう
実が残らないように注意
ヘタを切り離して、挿し穂を作ります。包丁を使って図のようにカットしましょう。実が残っていると腐る原因になるため、スプーンなどを使ってヘタから実をきれいに取り除きます。
手順②土に植える
- 下から3~4枚の葉を取り除く。切り口は風通しのよい日陰でよく乾かす
- 鉢底に石を敷き、水はけのよい土に葉を取った部分を挿し木する
- 1カ月くらいで根が伸びてくる
ボタニ子
結実するまでは2~3年かかるよ。
水栽培でのパイナップルの増やし方
挿し穂を土に植えず、水耕栽培で発根を待つ方法もあります。発根の様子も見られるため、子どもの自由研究にも向いています。挿し穂を作るまでの手順は土に植える方法と同じです。水を張った器を用意し、葉を取り除いた部分が浸かるようにヘタを入れます。根が3~4cmになったら、土に植え付けましょう。
パイナップルの子株を挿し木する増やし方
うまく根が張り、環境にも適応して順調に生育していくと、親株(実ったパイナップル)の根元に子株ができます。パイナップルは毎年実らせていくとだんだん実が小さくなってしまうという特徴があるため、出てきた子株を育てて株を更新していきましょう。
挿し穂の作り方と植え方
- 挿し穂にする子株を手でもぎ取る
- 切り口を乾燥させた後は、水はけのよい土か水に挿し木して管理する
ボタニ子
子株は、はさみを使わなくても簡単にぽろっと取れるよ!
挿し木したパイナップルの栽培のコツ
コツ①暖かい場所で栽培
パイナップルの栽培適温は20~30℃です。挿し木したパイナップルは、日が当たる暖かい場所で育てましょう。また、日当たりが季節によって異なる場合を考慮し、暖かい場所に移動しやすい鉢植えでの栽培がおすすめです。
コツ②水の与えすぎに注意
パイナップルは過湿に弱いため、水の与え過ぎに注意しましょう。春~夏は、土が乾いたら水をたっぷり与えます。10℃を下回る冬は水やりを、控え乾かし気味に管理します。
コツ③肥料のタイミング
4月~9月まで、2カ月に1回の頻度で肥料を与えます。パイナップルは乾いてやせた土地に育つ植物で、元肥は必要ありません。また、せっかく生えた根を傷める原因になるため、根がきちんと生えて根づくまでは肥料を与えないよう注意しましょう。
ボタ爺
冬の肥料は不要じゃぞ!
コツ④室内で冬越し
暖かい地域に育つパイナップルは、温度を保って冬越しさせます。昼間は陽の当たる窓辺に置いておきましょう。夜間は窓辺では気温が下がるため、暖房のきいた暖かい場所へ移動させます。5℃以下になると株が腐ります。5℃を下回らないように気をつけてください。春になったら徐々に陽当たりの時間を増やします。
ボタニ子
水栽培の場合は、毎日新鮮な水に取り換えてね!
パイナップルの増やし方は難しくない!
パイナップルは鉢植えで移動させながら温度を保ち、冬越しさえ成功すれば家庭でも無農薬で収穫する楽しみを感じられる植物です。挿し穂の作り方も難易度が低く、水やりや日々の管理は手間いらずです。葉の生え方やパイナップルの実り方はユニークで、収穫までの長い間も観葉植物として楽しめます。パイナップルを食べた後、ぜひ挿し木にチャレンジしてみましょう。
出典:写真AC