メロンとメロン栽培の概要
メロンはインド原産といわれ、紀元前2000年ごろから中近東や北アフリカで栽培されてきました。ヨーロッパに渡り、ルネッサンスのころに甘くておいしい品種に改良が進みます。西に広がってメロンと呼ばれるようになり、東方に伝わった種類は瓜と名づけられました。日本にもマクワウリがありますね。
メロンの基本情報
名前 | メロン、マクワウリ |
学名 | Cucumis melo |
科/属名 | ウリ科キュウリ属 |
原産地 | インド辺り |
収穫時期 | 7月~9月 |
分類 | 一年草、野菜 |
メロンの分類と栄養素
メロンはウリ科のつる性一年草です。園芸では野菜に分類されますが、市場や栄養学などでは果物として扱われる「果実的野菜」です。メロンにはビタミンCやカロテンのほかに、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、鉄などの多くのミネラルが含まれています。
メロンの特徴
実のなり方
メロンは雌雄同株で、同じ株に雄花と雌花(品種によっては両性花)があります。実のなり方は、側枝の第1節あたりについた雌花が受粉して肥大し、50日前後で実ります。
網目ができる理由
メロンのネット(網目)は、果肉と皮の成長スピードのズレによって生じた「かさぶた」のようなものです。果肉のなり方が早く表皮が追いつけないため、裂け目を塞ごうとする分泌物が固まって模様になります。
メロン栽培の難易度
メロン栽培は難易度がやや高めで、おいしいメロンを作るには生育段階ごとに適切な世話が必要です。作業自体はとくに難しいものではなく、つるの整枝、受粉、摘果などです。病気にも気をつけなければなりません。ノーネット系や小玉メロンは比較的育てやすいです。
メロンの栽培カレンダー
メロンの露地栽培は、暖かくなってから始めます。植える時期が近づくとホームセンターや園芸店で苗が売り出されるため、苗から育てるのがいいでしょう。植え付けから3カ月ほどで収穫です。
メロン栽培に適した環境と土壌
メロン栽培に適した気温は、20℃~30℃です。日当たりがよく、水はけと通気性のよい土壌を好み、多湿にやや弱いです。連作障害を起こしやすいため、ウリ科の植物を4年間植えていない土が適しています。家庭菜園やプランターでも育てられ、日当たりがよくて雨を避けられるベランダはよい環境です。
ボタニ子
ウリ科にはどんな野菜があるのかな?
たくさんありますよ~。スイカ、かぼちゃ、キュウリ、ゴーヤ、ズッキーニ、冬瓜などがウリ科です。
メロンの育て方<種まき・苗選び>
種まき
メロンの発芽適温は25℃~30℃です。暖かくなってから種まきし、夜間は20℃程度に保てるようにビニールでおおって、ミニトンネル状態にするなどして管理しましょう。
- 育苗ポットに、小玉赤玉土か種まき用培養土を入れる
- 土を水に湿らせてから、1ポットに種を3粒ずつまく
- 土をうすくかけて水やりし、発芽まで乾かさないように管理する
- 本葉が出たら、発育のよさそうな1本に間引く
苗の選び方
メロンの栽培が初めてなら、種からよりも元気に成長しやすい、苗から育てるのがいいでしょう。植える種類を決め、本葉4枚ほどで節の間が狭く、茎が太くてしっかりした苗を選んでください。病気にかかりにくい接ぎ木苗がおすすめです。
メロンの育て方<準備・植え方>
プランター栽培①鉢の準備
メロンは根を浅く広く張るので、10号鉢程度の大きさが適しています。複数の苗を植えるなら、1鉢に1株ずつ植えるのがいいでしょう。横長プランターを使う場合は2株植えられますが、土中で酸素を奪いあわないように1株だけ植えるほうがベターです。ここではプランター栽培と露地栽培、それぞれの準備や植え方について見ていきましょう。
プランター栽培②植え方
土は赤玉土と腐葉土、バーミキュライトを6:3:1の割合で混ぜあわせ、緩効性肥料を加えておきます。または、市販の野菜用培養土を使うと手間がかからず便利です。
植える手順
- 鉢底ネットを敷き、鉢底石を詰めたプランターに土を入れる
- 植え穴をあけて、水をたっぷりそそぐ
- 根鉢を崩さないで、苗が土の表面より1cmくらい高くなるように浅く植える
- 仮支柱を立てて結わえ、たっぷり水やりする
プランター栽培③支柱
植え付け時または整枝のころに、支柱を数本立てて園芸ネットを張りましょう。プランターの形や置く場所によっては、トレリスを使うか、オベリスクであんどん仕立てにするのもいいですね。
プランター栽培④置く場所
プランターは日当たりと風通しのよい場所に置いてください。梅雨の時期は、雨除けできる場所に移動しましょう。ベランダ栽培も日が当たる位置に置いてください。
露地栽培①土づくり
露地(戸外)栽培には、育て方に2つの方法があります。つるを地面にはわせる地這栽培と、支柱につるを絡ませる立体(空中)栽培です。地這栽培には広い畝が必要なので、家庭菜園では立体栽培がおすすめです。
畝を作る
日当たりと排水のよい場所を選び、植え付け2週間前に、苦土石灰を散布してよく耕します。1㎡あたり150g程度が目安です。虫の幼虫などがいたら取り除きましょう。植える1週間前に、腐葉土と堆肥、緩効性肥料を施し、畝を立てます。排水をよくするために20cm程度の高畝にしましょう。
- 地這栽培:苗1株植える場合、畝幅90cm、長さ2mが目安
- 立体栽培:複数株植えるなら、株間を60cmあけられる長さ
マルチングをする
畝づくりのときにマルチングをします。地温を上げるだけでなく、特に地這栽培の場合は雨の泥はねから守り、病気の予防にもなります。黒地にシルバーのラインの入ったマルチシートなら、ウリハムシやアブラムシが寄ってくるのを防げるでしょう。
露地栽培②植え方
浅めに植える
- マルチに穴をあけ、植え穴を掘る
- 植え穴に水を注ぎ、水が引いてから苗を植える
- 植え方は、根鉢が地表より1cm高くなる程度の浅植えにする
- 周りの土を寄せ、仮支柱を立てて、たっぷり水やりする
支柱を立てる
空中栽培には、整枝の頃に本支柱を立ててください。スクリーン式に立てるか、残す子づるの本数にあわせて立てるか、どちらの方法でもかまいません。園芸用ネットを張ると誘引しやすくなります。
ボタニ子
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出典:写真AC