ユリノキは、大きいものだと樹高約30mの大木になる落葉の高木です。葉は直径約15cmと大きく、先端がない特徴的なかたちをしており、そのかたちが半纏(はんてん)に似ていることから別名「ハンテンボク」とも呼ばれています。主に街路樹や公園など広い場所に植えられ、葉は揉むと独特の香りがします。
園芸分類 | 落葉高木、広葉樹 |
形態 | |
樹高 | 10m~30m |
花の色 | オレンジ色、クリーム色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
特性・用途 | 街路樹、公園、材木 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ユリノキの名前は、花のかたちがユリに似ていることに由来します。実際の花はチューリップに似ていますが、ユリノキが日本にきたころは、チューリップがまだ一般的ではなく、ユリの方が馴染みがあることからユリノキと名付けられました。
ユリノキは、チューリップのかたちに似たクリーム色の花を咲かせます。高所に咲くため人目にはつきにくいです。また、秋につける実はローソクの炎のようなかたちをしており、枯れた後も長いものでは翌年の春まで枝に残ります。
代表的な品種は、葉に緑色の斑が入る斑入りのユリノキです。斑はやや濃い緑色で葉によって斑の入り方はさまざまです。
植え付けの時期 | 2~4月頃 |
剪定の時期 | 3月、11月 |
果実の時期 | 9~11月頃 |
花が咲く時期/開花時期 | 5~6月頃 |
ユリノキの種まきの時期は、春と秋の2回です。種の採取は果実が熟して枯れた後の、秋に行います。種は採取後に乾かしてしまうと、吸水性が落ちて発芽せずに腐る可能性があり、種を採取後すぐの秋の植え付けがおすすめです。春に種まきをする場合は、袋に入れて冷蔵庫で管理するなどして種を乾かさないように注意しましょう。
ユリノキの栽培は地植えが基本です。直根性で地中深くに根をはる性質を持つため、鉢植えの場合は高さのある鉢が必要です。鉢の高さが不十分だと根がしっかりとはれず、生育が悪くなる可能性があります。街路樹などに使われるほど大きく育つため、のびのびと地植えで栽培しましょう。
ユリノキは光を好む樹木のため、栽培は屋外が基本です。
ユリノキは、日当たりのよいやや湿り気のある場所を好みます。半日陰程度でも栽培は可能ですが、生育スピードが遅くなる傾向があります。
湿り気のある肥沃な用土を好みます。植え付け時には腐葉土や堆肥を多めに混ぜ、保水性を高めましょう。
水やりは、植え付け後しっかりと根がはるまではたっぷりとあたえましょう。根づいた後は雨水でも十分なため、水やりは特に必要ありません。
ある程度成長した株であれば、肥料は特に必要ありません。植え付け後間もない若い株の場合は、開花期の5月と果実が実る前の9月、休眠期の1月に春の芽吹きに備えて暖効性化成肥料を適量あたえましょう。
ユリノキは病気や害虫に強い性質をもつため心配は特にありません。しかし、花はカラスなどの鳥獣による被害にあう可能性があります。
花後の管理は特に必要ありません。花は、開花後に自然と落ちます。
苗は、幹がしっかりとして根がよくはったものを選びましょう。幹や根がしっかりとしているものは植え付け後の根づきがよいです。
ユリノキは、直根性のため移植を嫌います。植え替えをする際は植え付け後すぐの、まだ株が小さいうちに行いましょう。大きく成長した株は、植え替えをしても根づかずにそのまま枯れる可能性があります。
ユリノキの剪定は、紅葉後の葉が落ちたタイミングが手入れしやすくおすすめです。1年に1~2mほど成長するくらい生命力が強いため、大きくしたくない場合は適宜剪定しましょう。また、ユリの木は基本的に自然樹形が美しい樹木です。不必要な剪定をさけるためにも、植え付ける場所は吟味が必要です。
ユリノキは耐暑性に優れた樹木です。そのため、夏越しの作業は特にありません。しかし、枝や葉が大きく茂ったものは台風などの強風や雨にあおられて折れる危険があります。天候が荒れる危険のある際には、枝の先を切るなどの対策をしましょう。
ユリノキは落葉樹です。紅葉後は自然と葉が落ちて冬を越します。耐寒性も優れていることから、特別な冬越し対策は必要ありません。
種は、果実が枯れた後に、ドライフラワーのような状態になり枝に残ります。採取は比較的かんたんで、浅いボートのようなかたちをした種が集合しているため、ひとつずつはずして完了です。
ユリノキは、種から増やします。秋に種を採取後すぐに土にまき、順調であれば翌年の春に発芽します。しかしユリノキの発芽率は低く、硬実(こうじつ)といわれる硬い種は発芽に数年かかる、または発芽しない可能性があるため辛抱強く待ちましょう。
出典:写真AC