セリンセ・マヨールは、下をむいて咲く紫色の筒状の花とシルバーグリーンの葉が印象的です。花を包む苞も紫色に染まり独特な落ち着いた雰囲気があり、小花やカラリーフと一緒に植えるとよく似合います。繊細なイメージですが、冬越しに注意さえすれば丈夫でよく育ちます。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 一年草(秋まき) |
樹高 | 20~60cm |
花の色 | 紫~薄赤紫、黄 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 弱い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
基本種の花は上部が紫色、下部が黄色です。日本で多く流通している品種「プルプラセンス」は上部が黄色、下部が紫色です。下部の花色は環境によって変わり、薄くなる場合もあります。茎の頂部の花序を先へ伸ばしながらうなだれ、筒状の花が下を向いて咲きます。花は紫色の苞に包まれ、上部の黄色は隠れます。環境により紫色が薄くなります。
葉は2cm~6cmの長楕円形で、茎を抱いています。葉色はシルバーグリーンで、白い斑点が入りますが成長とともに消えていきます。
「Cerinthe」は、ギリシャ語の「蝋(keros)」と「花(anthos)」から名付けられたといわれています。ミツバチが巣作りのためにワックスを採ることから付けられたとも、花が蝋質の光沢があることから付けられたともされています。
Cerinthe major purpurascens
参考価格: 986円
日本で主にセリンセとして流通している品種です。園芸店での苗や種の流通はあまり多くありません。ネット販売の種なら購入しやすいです。
下部の花色が黄色(上部は紫色)のセリンセ・マヨールです。残念ながら流通数が少なく、ネット販売でも扱っている店は少ない希少品種です。
種まきの時期 | 10月 |
ポット上げの時期 | 11月 |
植え付けの時期 | 3月、暖地では11月も可 |
花が咲く時期/開花時期 | 4月~6月頃 |
種まきの適期は、9月下旬~10月上旬です。種まきが遅れると冬までに苗が充分に育ちません。また、春まきでもよく育ちますが、秋まきより開花が1~2か月ほど遅くなり、開花期間が短くなります。
種から育てる場合は、9月~10月に種まきをします。大きめな種なので発芽さえすれば育てるのは比較的簡単です。冬は霜に当てないように防寒対策をとります。寒冷地は、屋内での管理が安心です。春になり気温が上がってきたら、花壇や鉢に植え付けます。大きく成長するので、株間は20~30cmほどあけます。
日当たりと風通しのよい場所が適しています。耐寒性が低いので冬は防寒対策をするか、屋内で管理します。霜や寒風の心配のない暖地では11月からの露地植えも可能です。また、梅雨は多湿になるので雨の当たらない風通しのよい場所に移動します。
過湿に弱いので水はけのよい用土に植えます。地植えの場合は、植え付け前に腐葉土などを混ぜ込むとよいでしょう。鉢植えの場合は、草花用の培養土でもかまいません。
乾燥気味の環境を好むので、水のやりすぎに注意します。土が乾いたら水やりをしましょう。
植え付けの際に緩効性肥料を入れます。鉢やプランターに植える場合は、植え付け後2週間に1回の間隔で液体肥料を与えます。
病気や害虫の心配はほどんどありません。葉に出る白い斑点は病気ではなく、成長とともに消えていきます。
花序は伸びながら次々と花を付けていきます。花は終わると自然に落下します。花後に切り戻しをすると新しい花芽が出て長く楽しめます。種を取りたい場合は、種とり用の株を決めて種を育てます。
種まきは10月上旬頃に行います。種の大きさは5mmくらいです。種が大きめなので、セルトレイに1粒ずつまくか、ポリポットに2粒ずつ直まきをしても大丈夫です。種は一晩水に漬けてからまくと発芽が早くなります。種が隠れる程度に土をかけましょう。たっぷり水を与えたら発芽までは日陰で管理します。こぼれ種からも発芽することがあります。
1週間ほどで発芽し、1粒から2本の芽が出る場合がたびたびあります。本葉が4~5枚になったら間引きをして1本にしましょう。本葉が6~7枚になれば定植できますが、寒冷地ではポットのまま春まで管理します。冬の間に茎が伸びすぎる場合は、切り戻しましょう。
葉色がきれいで茎がしっかりとした苗を選びます。葉が黄色くなっているものは避けましょう。
種が大きく芽も大きくしっかりしているので丈夫で育てやすいです。暖地では本葉が6~7枚くらいになったら植え付け可能です。寒冷地では3月頃に植え付けます。
花後に切り戻し剪定をすると、新芽が出てまた花を咲かせます。切り戻しによって、長く花を楽しむことができます。
耐寒性は弱いので、寒冷地では防寒対策をするか屋内で冬越しをします。屋内での管理は、暖房で暖かくなる場所は避けます。暖地では露地植えでも越冬できますが、霜に当たると枯れるので注意します。
増やし方は種とりです。種は苞の中に隠れているので時々中を確認して黒くなったら、花序ごと切り取ります。種は熟すと自然に落ちてしまうため、花序ごとネットをかぶせて集める方法もあります。集めた種は、乾燥させてから紙袋などに入れて保管しておきましょう。こぼれ種からもよく発芽します。
出典:筆者撮影