ディルはヨーロッパなどで食用として人気の高いハーブです。茎葉や種は、香辛料やハーブとして利用され、独特の風味が魚料理などによくあいます。日本ではなじみが少ないハーブですが、北欧料理のサーモンマリネなどには欠かせません。
園芸部類 | ハーブ |
形態 | 一年草、二年草 |
樹高・草丈 | 80~100cm |
花色 | 黄色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
耐陰性 | やや弱い |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ディルはセリ科の植物で、古くから薬用や食用に利用されてきました。鎮静効果や消化促進作用もあるとされ、料理に使うだけではなく薬効も期待できます。
ディルの英名は、北欧の古い言葉のジーラ「dilla」が由来です。「dilla」には鎮めるという意味があります。ディルにはしゃっくりを鎮める効果があるとされ、「dilla」と名づけられたといわれています。
ディルは原種や園芸種が登録されていないので、ディルといえばイノンドのことを指します。
ディルの葉は青みがかった緑色で、細かい羽のような形状です。三回羽状という葉の分類でたいへん細かく、よく枝分かれします。初夏の開花期間に小さな黄色の花をパラソルのように咲かせます。
種まきの時期 | 春まき3~6月 秋まき9~10月 |
植え付けの時期 | 春植え付け4~6月 |
花が咲く時期/開花時期 | 5~7月頃 |
ディルの種まきは春と秋にできます。しかし夏の暑さと蒸れに弱いため、秋まきで育てるほうが失敗が少ないです。残暑が終わった頃、9月下旬~10月の種まきが適しています。苗は春には出回りますが、秋にはあまり入手できません。
ディルは耐寒性は高いですが、蒸れをきらいます。根を触れられると枯れることもあるため、日当たりよく乾燥気味の場所を選び、苗を移植せずに育てます。
ディルは草丈が1m前後あり、茎も細めのためあまり風あたりの強くない場所が栽培に適しています。成長して30cmを超えたら支柱を立てると折れにくくなります。
鉢植え | プランター65cmに3株、24cm鉢に1株植える |
庭植え | 株間20cmで植える |
プランター | 65cm以上で深めのプランターがよい |
鉢植え | 直径24cm以上の素焼き鉢が蒸れ防止によい |
露地 | 湿気の少ない場所に植える |
ディルは耐寒性が強いため、種まきや苗の植え付けもすべて屋外で管理します。しかし、雪が降る地域では雪の重みで枝が折れることがあります。プランター栽培にして軒下などで育てましょう。
室内 | 冬や早春に育苗するとき |
屋外 | 基本的には野外での栽培 |
置き場所 | 西日を避けられる場所 |
日当たり | 午前中から昼まで日当たりが必要 |
ディルは、乾燥気味で肥沃な用土を好みます。屋外に植えるときは、石灰や腐葉土と完熟たい肥をすきこみ、用土を整えます。プランターや鉢植えは、過湿にならないように鉢底石を入れて、草花用の培養土で育てましょう。
ディルの栽培のコツは、過湿で蒸れないように管理しましょう。また肥沃な用土を好むので、肥料を与えます。病害虫の心配があまりなく、初心者でも楽しめるハーブです。
ディルは乾き気味に育てるのが基本です。用土が乾いてからたっぷりと水やりをしましょう。露地栽培では、真夏に土が乾きすぎて葉がしんなりした場合に水やりをします。
プランター/鉢植え | 用土が完全に乾いたらたっぷりと水やり |
露地 | 植え付け直後以外は水やりは不要 |
ディルは肥沃な土を好むので、露地栽培では腐葉土や肥料を植え付ける前にすきこみます。プランターや鉢植えの場合は、草花用の培養土に最初から肥料が入っているため、1カ月後から液体肥料を月に1~2回施します。
プランター/鉢植え | 月に1~2回液体肥料を施す |
露地 | 植え付け前に肥料をすきこむ |
ディルは、ほとんど害虫がつきません。しかし、春先に「キアゲハ」がきて卵を産み付けることがあります。あまりにもキアゲハがくるときは、防虫ネットを張るとよいでしょう。
初夏に花が咲き、結実するとディルの栽培は終わりです。花後に黄色い花を摘みとり、茶色になるまで乾燥させ種子をとります。
ディルの種をまいたら、5mmくらい土をかけます。移植を嫌うので、鉢やプランターに直まきをし本葉がでたら間引きます。
ディルの苗を選ぶときは、本葉に注目しましょう。本葉がたくさんでて、下葉が黄色になっていない苗を選びます。
ディルは蒸れと暑さに弱いので、夏はこまめな水やりが必要です。梅雨明けをめどに葉や花(種)を収穫するのもよいでしょう。
ディルは耐寒性が強いので、秋まきの苗は冬越しできます。雪の重みで枝が折れないように管理します。
出典:筆者撮影