ドルステニア属の仲間は、世界中の熱帯・亜熱帯地方に広く分布しています。そのなかで塊根植物として流通するものは、アフリカ大陸東部やアラビア半島に自生しているものがほとんどです。塊根部の形状は個体や種類によって違いが大きいので、コレクションする愛好家も多いです。
園芸部類 | 多肉植物、塊根植物、観葉植物 |
形態 | 多年草、低木 |
樹高・草丈 | 5~50cm |
花の色 | 黄緑、緑、黄色など |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | やや強い |
特性・用途 | 落葉性 |
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
ドルステニアの樹高は、品種によって5~50cmと幅があります。流通するものの多くは乾燥に耐えられるよう、水分や養分をため込む塊根部を形成します。木肌は緑がかり、星形の変わった花を咲かせ、自家受粉で種子を作ります。
ドルステニア・フォエチダ
参考価格: 3,520円
ドルステニア・フォエチダは、アフリカ大陸東部やアラビア半島の広い範囲に自生し、ドルステニア属のなかで特に流通量が多い種類です。個体差が激しく、塊根部が壺状のものや棒状のものなどさまざまです。丈夫で育てやすく、自家受粉をしてはじけ飛んだ種子からいつの間にか発芽していることもよくあります。
栽培難易度 | ★★★★☆ |
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おすすめ度 | ★★★★☆ |
樹高 | 5~15cm |
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ドルステニア・ギガス
参考価格: 17,600円
ドルステニア・ギガスはソコトラ島の岩場の斜面に自生しています。ドルステニア属のなかで最大種ですが、現地の情勢や生息環境から流通量が非常に少ないです。小さなうちは棒状ですが、成長につれて壺型の塊根部を形成します。耐寒性が弱いので、冬場の管理には注意が必要です。
栽培難易度 | ★★★☆☆ |
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おすすめ度 | ★★★☆☆ |
樹高 | 50~100cm |
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ドルステニア・ジプソフィラ
参考価格: 30,000円
ドルステニア・ジプソフィラはソマリアの乾燥地帯に自生する種類です。きわめて乾燥した岩場に自生しているため、成長が遅く栽培にもコツがいります。流通量が少なく栽培難易度が高いので、多くの愛好家が憧れる種類です。自生地では2mを超えるものも発見されています。
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
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おすすめ度 | ★★☆☆☆ |
樹高 | 20~100cm |
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ドルステニアは、夏型の塊根植物です。成長期は4月後半~10月前半頃で、そのほかの時期は休眠期となります。成長期が終わると徐々に枯れて落葉し、休眠期に入ります。
ドルステニアは、基本的に鉢植えで栽培します。乾燥地帯に自生しているので、露地植えにすると雨の影響を受けて枯れやすいです。また耐寒性が弱く、冬場は室内などに移動する必要もある点でも、鉢植えが望ましいです。
ドルステニアは、春~秋の暖かい時期はなるべく屋外で栽培しましょう。耐寒性は弱いので、気温が15℃を下回る頃を目安に室内へと移動してください。
置き場所は室内・屋外ともに、風通しと日当たりがよい場所に置いてください。風通しが悪いと病気や害虫被害の原因となり、日当たりが悪いと徒長してしまいます。しかし夏の直射日光は強すぎるので、軒下など半日陰になる場所に置きましょう。
ドルステニアは水はけのよい用土を好みます。市販の多肉植物用の用土であれば、あらかじめ水はけがよくなるように配合されているのでおすすめです。自分で配合する場合は、赤玉土2:鹿沼土2:軽石1をベースに環境にあわせて調整してください。
成長期の水やりは2~3日に1回程度、用土が乾いたらたっぷりと水を与えてください。休眠期は月に1回程度、軽く水やりをします。真冬は鉢内が凍るのを防ぐために、晴れた暖かい日の日中に行います。また1週間に1回程度、霧吹きで葉や塊根部に水をかけるのもおすすめです。
肥料は、成長期の最初に粒状の緩効性肥料を与えます。その後の成長期の間は2週間に1回程度、液体肥料を与えてください。休眠期は肥料の必要はありません。
ドルステニアに発生しやすい害虫は、カイガラムシやアブラムシです。初期であればピンセットなどで除去できるので、こまめに観察してください。大量に寄生されてしまった場合は、市販の殺虫剤を散布して対処しましょう。どちらも風通しが悪いと発生しやすいので、置き場所に注意してください。
ドルステニアは根腐れ病にかかりやすいです。根腐れ病は高温多湿な環境が原因となります。水はけのよい用土を使用し、適度な水やりを心がけ、風通しのよい場所で管理しましょう。万が一発症してしまった場合は、一度苗を抜き腐った根を切り取ったうえで新しい用土に植え付けます。
店頭でドルステニアを選ぶ際は、塊根部にハリがあるものを選んでください。種類によっては樹形にバラツキがあるので、好みの形のものを選びましょう。また、枝や葉の根元にカイガラムシなどが隠れていないかしっかりと確認してください。成長期にもかかわらず葉が枯れているのは、病害虫にかかっている可能性が高いです。
ドルステニアは成長にあわせて1~2年に1回植え替えます。植え替えの時期は、成長期の前半が適しています。
ドルステニアは、夏の間に何度も開花します。自家受粉するので、開花後もそのままにしておけば種子が採種できる可能性が高いです。完熟した種子ははじけ飛ぶので、採種する場合は排水溝ネットなどを被せて飛ばないようにしましょう。採種しない場合は、花後枯れ始めたら摘み取ります。
ドルステニアは剪定しなくても大丈夫ですが、好みの樹形があれば剪定してもかまいません。剪定する場合は、成長期の始めが適しています。
乾燥地帯に自生するドルステニアは、日本のジメジメした夏が苦手です。そのため、なるべく風通しがよい場所で管理してください。また、真夏の直射日光を嫌うので、半日陰か遮光した場所へと移動させましょう。
ドルステニアは気温が15℃を下回るのを目安に、室内か園芸用の温室に取り込んでください。休眠中も完全には断水せずに、1か月に1回程度の水やりを行います。落葉していても光合成をするので、窓際の明るい場所に置くか植物用のLEDをあててください。
ドルステニアの一般的な増やし方は、種から育てる実生です。自家受粉する種類が多く、簡単に種子が採れます。
出典:著者撮影