園芸部類 | 半耐寒性球根 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 30~80cm |
花の色 | 白 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | やや強い |
特性・用途 | 観賞用 |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ハマユウは、日本の関東以南の海岸沿いなどに自生する常緑性多年草のひとつです。浜の近くで咲くことや、神事のときに使用する木綿(ゆう)に花が似ていることから「浜木綿(はまゆう)」と名づけられました。万年青(おもと)に似た肉厚な葉を持っており、7~9月には白い線状の花を咲かせます。また、花は夕方~深夜に満開になることも大きな特徴のひとつでしょう。
インドハマユウは明治時代に輸入されたハマオモト属の栽培種です。インドハマユウという名前は通称で、現在は「アフリカハマユウ」が正式名称とされています。ハマユウが線状のヒガンバナに似た花なのに対し、インドハマユウはユリに似た大柄な花が特徴です。色もさまざまで、白、赤、ピンクなどの種類があります。
植え付け時期 | 4~8月、11月 |
肥料の時期 | 4~5月、10月 |
植え替えの時期 | 3~8月、11月 |
花が咲く時期/開花時期 | 7~9月頃 |
ハマユウの植え付け時期は?
温かくなってきた4~8月か、花後の11月に行いましょう。ハマユウは寒さに少し弱いため、十分に暖かくなってから植えつけたほうが根つきがよくなります。
ハマユウの植え替え時期は?
ハマユウは大きく育つ植物のため、根詰まりを起こしていないか常にチェックする必要があります。植え替え時期は3~8月か花後の11月がよいでしょう。植え替えの際にハマユウを株分けしたい場合は、施肥前の4月が適しています。
ハマユウは、育てる環境によっては庭植えが可能です。温かい地域の植物のため、西日本であれば庭植えでも育ちやすいでしょう。しかし、気温がマイナス3℃以下になってしまうような場所では、ハマユウが冬越しできずに枯れてしまう可能性があります。念のため、関東以北の、冬に気温が低くなりやすい場所で育てる場合は鉢植えがおすすめです。
ハマユウは株が大きく育つ植物です。そのため、小さい鉢やプランターではすぐに根詰まりをおこしてしまいます。鉢植えで育てる場合は、8~10号の大きめの鉢を用意するとよいでしょう。
ハマユウは、室内と屋内どちらでも栽培可能です。ただし、冬の寒さには弱く、土が凍ると枯れてしまいます。気温がマイナスになる地域は冬だけでも屋内で栽培するようにしましょう。
ハマユウはもともと日差しが強い海岸で自生する植物で、日光に当てれば当てるほど強く育ちます。春~秋の暖かい季節は、ベランダや外で管理してなるべく日光に当てましょう。日当たりが悪いところで育てると生育不良を起こし、徒長したり枯れてしまったりするため注意が必要です。
ハマユウは水はけがよく肥沃な用土を好みます。自分で配合する場合は、赤玉土と腐葉土を7:3の割合で作るとよいでしょう。また、市販の野菜や花の培養土でも問題なく育ちます。
ハマユウの水やりは、季節に応じて管理する必要があります。
春~秋は、ハマユウが花を咲かせるためにたくさんの水が必要な時期です。鉢植えの場合は、土が乾燥してきたら水やりをしましょう。鉢底から水があふれだすくらいたっぷりと与えるのがコツです。また、受け皿にたまった水は根腐れの原因になるため都度捨てましょう。庭植えの場合は降雨だけで問題なく育ちます。雨が降らず、土が乾燥しきっているときにだけ水やりをしましょう。
ハマユウは、冬には休眠期に入るため水やりの頻度を落とします。土の表面が乾いてから2~3日ほどしたら与える程度で問題ありません。しかし、完全に水を絶つと枯れてしまうため注意が必要です。
肥料は花の咲く準備が始まる4~5月と、花後の10月に遅効性肥料を施肥します。液体肥料を使用する場合は、春~秋の間で2週間に1回のペースで施肥しましょう。
ハマユウの主な害虫被害は「ハマオモトヨトウ」という蛾の幼虫による食害です。ハマオモトヨトウは、ハマユウの葉に卵を産みつける習性があります。卵から孵化した幼虫はハマユウの葉の中に潜り込み、葉を食べて枯らしてしまいます。予防は難しいため、幼虫を見つけたら市販の殺虫剤を使用するか、ピンセットでつまみ上げて駆除しましょう。
ハマオモトヨトウの幼虫を見つけるのは簡単です。幼虫の侵入口には黒い小さな穴が開き、黒い小さなフンが大量に積みあがっています。その近くの葉は食害により空洞になっていることが多く、幼虫はその空間に潜んでいることがほとんどです。放置すると食害が進みハマユウの枯れに繋がるため、早めに駆除しましょう。
ハマユウが罹る主な病気は赤斑病です。罹患すると葉に褐色の斑点ができ、徐々に拡大していきます。風通しの悪いところでハマユウを育てると病気にかかりやすくなるため、風通しのよい場所での管理が予防策です。もし発生してしまった場合は、罹患している葉をすべて取り除きます。取り除いた葉は放置せずにすぐ捨てましょう。
ハマユウの花後からは種が採取できます。開花後、種を採取しましょう。種はニンニクのような形をしており、コルク質でとても軽いのが特徴です。種を採取したら、温暖な地域であればすぐにまきましょう。寒い地域なら保管しておき、暖かくなった春にまいてください。
ハマユウの種まきは、春~夏の間か秋に行います。植え付けのときと同様に、用土を入れた大きめの鉢を用意し、種を置きます。種の表面が隠れる程度の土で覆い、水を与えましょう。水やりの頻度は通常と同じように、春~秋は土の表面が乾いたら、冬は土が乾いてから2~3日後に与えます。種は2cmほどの大きさでとても大きいため、ひと鉢にひと粒ずつまきましょう。
ハマユウを種から育てる場合は、時間がとてもかかるということを念頭に置きましょう。種まきをしてから数年かけてゆっくりと成長するため、発芽までは気長に待つ必要があります。
ハマユウの苗を選ぶときは、葉が肉厚でつやつやとしており、根元がしっかり詰まったものを選びましょう。根元がスカスカなものは株が弱っている可能性があります。また、害虫の被害にあっていないかもチェックしてください。葉に黒い斑点があるものは、害虫被害にあっている可能性が高いです。
ハマユウは大きな株で、その分根詰まりをおこしやすい植物です。鉢底から根が飛び出していたり、水がしみこみにくくなっていたりしたら、根詰まりしている可能性があります。頻度はおおよそ2~3年に1回くらいを目安にしましょう。植え替え適期は3~8月か花後の11月です。
ハマユウは特に剪定は必要のない植物です。しかし、大きく株が育ちすぎてしまった場合は、適宜切り戻しましょう。
ハマユウは夏の暑さに強いため、夏越しの対策は特に必要ありません。この季節に日光に当てることがハマユウの生育のポイントのため、風通しと日当たりのよい場所で管理しましょう。
ハマユウは寒さに弱い植物です。土が凍ってしまうと枯れてしまうため、冬場は暖かい室内などで管理しましょう。また、冬場は水やりの頻度を控えめにすることも大切です。葉は霜に当たると傷んでしまうため、寒くなりにくい地域でも冬は霜に当たりにくい場所で管理するのがおすすめです。
ハマユウの増やし方は、種まきと株分けの2種類があります。
ハマユウの花後に採取した種を利用して増やす方法です。発芽まで数年かかるため、あまり主流ではありません。種まきの適期は3~8月と、花後すぐの10月です。花後の種は保管ができるので、寒い地域では気温が高くなる4月以降にまくとよいでしょう。
ハマユウは、株分けで増やす方法が一般的です。2~3年に1回の植え替えのタイミングで株分けを行います。大きくなった株を根元で切り、それぞれ新しい鉢に植え替えていきましょう。コツは根をあまり切らないことです。傷んでいる根を取り除くくらいでその他は手を加えず、なるべく傷つけないように株分けを行うと根付きがよくなります。
出典:写真AC