烏野豌豆とは?
烏野豌豆の学名はVicia sativa(ビシア サティバ)、英名はNarrow-leaved Vetch(ナロウリーブド ベッチ)です。植物学的には標準的に使われる名前はヤハズエンドウといいます。さて、烏野豌豆の読み方はなんでしょうか?読み方が難しい烏野豌豆について解説します。
読み方
「烏野豌豆」この漢字の読み方がすぐに頭に浮かびますか?読み方は「カラスノエンドウ」です。答えを聞くと「な~んだ」と思うのではないでしょうか。「烏野豌豆なら、草笛にして子供のころよく遊んだ」という声も聞こえてきそうです。
別名
ヤハズエンドウはカラスノエンドウの別名、ヤハズエンドウが植物学的には標準的に使われる名前ですが、一般的に定着しているのはカラスノエンドウです。豆のさやから種をとって作る豆笛に使われることから、子供たちには「ピーピーマメ」「シービービー」と呼ばれ親しまれています。
間違いやすい名前
「カラス豆」は烏野豌豆の別名の1つですが、「烏豆」と書くとクロマメと読み烏野豌豆とは違う豆です。烏豆は外皮が黒い大豆の一種で「黒豆」と書くことが一般的です。烏野豌豆の名前はなんだかややこしいですね。
名前の由来
この烏野豌豆という名前の由来には2つの説があります。1つは豆が熟すと烏のように黒くなるからです。もう1つは近縁種のスズメノエンドウに比べるとカラスノエンドウが大きいことに由来します。ヤハズエンドウは葉の先がへこんでいる様子を矢筈(棒の先が2又にわかれた掛け物を掛けるために道具)に例えたものです。
烏野豌豆の植物としての特徴
マメ科ソラマメ属の烏野豌豆、あまりソラマメには似ていないのですが、白い毛のある四角柱状の茎や豆におへその部分が長いという特徴があるので、マメ科ソラマメ属なのです。つる性の植物なので周囲のものに絡まって育ちます。そんな烏野豌豆の植物としての特徴を見ていきましょう。
生息地
烏野豌豆は日本各地いたるところにはえています。土手、野原、道端、空き地、畑の脇、どこにでも生息している植物なので、雑草のように扱われていることも多いです。たくましい生命力は雑草のようにも感じますね。なかでも四国、九州などあたたかい地方に比較的多く、寒い地域ではあまり見られない傾向があります。
歴史
オリエントから地中海地方が原産の烏野豌豆は、その昔ムギの栽培が始まったころはエンドウ豆と同じように食物として作られていたという記録が残っています。現代では烏野豌豆が一般的に食べることはなく、残念ながら雑草扱いです。
近縁種
スズメノエンドウやカスマグサは烏野豌豆の近縁種です。どこにでも生息している一般的な草で生育の環境や気候が似ているので、混生していることもよくあります。見分け方は花の大きさです。スズメノエンドウの花は小さく、カスマグサは少量の小花をつけます。もっとも大きな花がカラスノエンドウです。
日当たりのよい場所を好む烏野豌豆は、秋が芽生えの季節です。春になると草丈は50~90cmほどに成長します。茎には巻きひげがあり、そのひげが近くのものに絡みつく姿もよく目にするでしょう。3~6月に小さな赤紫色の花をつけ、花の季節の後には食べることができる緑色のさや、その中に実をつけます。
豆
成熟した豆果は濃い黒色になり、よく晴れた日にさやが割けて弾け飛んで種子をまき散らします。まき散らされた種子が生息地をどんどん拡大するカギなのです。豆は熟して黒くなっても食べられますが、食べるなら特に若い豆はやわらかくてさやがおすすめです。熟した豆なら香ばしく炒って食べる方法があります。
烏野豌豆の育て方
美しい花を観賞用として楽しむ、食用の豆の収穫のために育てたいということもありますね。つぎに烏野豌豆の育て方をご紹介しましょう。烏野豌豆はその生命力の強さから雑草として扱われるほどなので、近隣に種をまき散らして広がらないよう育て方には注意が必要です。
日当たり
烏野豌豆は日当たりを好む植物です。育てる場合には日の光がたっぷり降り注ぐ場所を選びましょう。近隣への種の飛散を防ぐためには、隣接地との境に生垣や低木を植えるなど日陰をつくるような工夫をするとよいですね。黒くなった種がはぜて飛び散る前に摘み取っておくと繁殖を防げます。
環境
暑さに強いのが烏野豌豆の特徴です。暑い日が続く真夏でも枯れてしまうことはあまりありません。秋に種をまいて発芽すると冬を越すことができます。とても丈夫な性質なので土をつくる必要もなく、季節や場所を選ばずどんな環境でも育ってくれます。
水やり
水やりも基本的には必要なく、地植えなら雨水だけで十分元気に育ちます。プランターや鉢植えで育てる場合、暑い季節に極度の乾燥だけを避けるようにすれば大丈夫です。乾燥しすぎると葉や茎がしなびてしまいますのでご注意ください。
肥料
肥料も基本的には必要なく育ってくれますが、花や実を充実させたいときには、米のとぎ汁をまきましょう。また粒状の肥料より液体肥料が効率よく栄養を吸収できるのでおすすめです。液体肥料は規定に基づいて薄めて使用してください。
増やし方
強い繁殖力をもつ烏野豌豆の育て方は簡単です。横に広がるという性質を持つので、計画的に場所を考えて育てることが大切です。烏野豌豆を増やすことで他の雑草の繁殖を防ぐことができるので利用してみてはいかがでしょうか。
種まき
烏野豌豆は種まきも簡単です。豆を付けたら茎から刈り取って、育てたい土の上に置くだけで秋には芽がでます。乾燥した種があれば土にばらまくだけで種まきは完了です。烏野豌豆の種まきは手間もかからずとても簡単ですね。
害虫
烏野豌豆には葉を食べる蛾(が)の幼虫がつきやすという特徴があります。蛾の幼虫は葉を喰い荒らすだけでなく、糞が分解する過程でカビが発生し衛生上の問題が発生しやすいので、見つけたらすぐに駆除しましょう。予防策としては希釈したリンゴ酢などを葉全体にスプレーします。
間引き
烏野豌豆の繁殖力は旺盛なので、日当たりがよい場所ではすぐに密生する傾向があります。衛生面からも湿気を逃すために風通しのよい環境をつくってあげたいので、密生してきたら適度に間引くことが育て方のポイントです。
ボタニ子
次のページでは烏野豌豆の食べ方をご紹介します!
出典:写真AC