キャベツとは
キャベツは一年中どこででも手に入る日常的に使う野菜の一つですよね。キャベツが日本にやってきたのは明治の初め頃で、今ではじゃがいも、大根などと並んで日本でもっとも生産量の多い野菜でもあります。そんなキャベツの種まき、植え付け、収穫、病気や害虫対策について解説します。
キャベツの栄養
そのまま生でも、煮ても、焼いても、炒めてもおいしく食べられるキャベツは、一年中食卓に欠かせない野菜ですよね。ビタミンやカリウムなどの栄養も豊富で、とくに胃粘膜を保護するといわれるビタミンUを多く含みます。キャベツの千切りがトンカツに添えられるのは理にかなっているのです。
キャベツの品種
キャベツにはさまざまな品種があります。葉の色が黒くて球状にはならないもの、葉に縮れがあるもの、アントシアニンが豊富な紫キャベツ、葉がやわらかく味のよいグリーンボールなどさまざまです。今回は通常スーパーに並ぶ、一般的なアブラナ科アブラナ属の野菜としてのキャベツの栽培方法をとりあげます。
キャベツの種類
キャベツは収穫時期によって秋キャベツ、夏キャベツ、春キャベツ、冬キャベツに分類されます。夏キャベツは春に種まきして夏から秋にかけて収穫します。種まきが夏で、秋の終わりから冬にかけて収穫するのが冬キャベツ、秋に種まきし、冬を越して春に収穫するのが春キャベツです。
キャベツの特徴
葉の色が濃い緑色をしているのが夏キャベツです。冬キャベツは甘みが強く球にしまりがあるのが特徴です。冬キャベツは寒玉とも呼ばれます。葉の色が美しい黄緑色で、みずみずしく味がよいのは春キャベツです。春になるとキャベツがおいしいと感じる機会が多いのではないでしょうか。
種まき時期と野菜としての呼称
種まき時期 | 野菜としての呼称 | 特徴 |
---|---|---|
春まき | 夏/秋キャベツ | 葉の色が濃い緑色 |
夏まき | 冬キャベツ | 甘みが強くしまりがある |
秋まき | 春キャベツ | 美しい黄緑色、みずみずしく味がよい |
キャベツの育て方①必要な環境
初心者にも栽培しやすいキャベツですが、とくにおすすめは夏に種まきをする冬キャベツです。育苗に注意が必要ですが、比較的簡単に育てることができます。キャベツの栽培に必要な環境や肥料についてご紹介しましょう。
栽培に適した温度
低温には耐える力がありますが、高温が苦手なキャベツの栽培には涼しい場所が適します。葉が1枚ずつ巻き込みながら重なって球状になる結球がはじまると耐寒性はやや弱くなります。気温が28℃を超えてくると成長が遅くなり、病気が発生しやすくなるため注意が必要です。発芽に必要な土の温度は15~30℃、生育に適した温度は15~20℃です。
日当たり
キャベツの栽培には日当たりよい場所が適していますが、夏まきの場合は寒冷紗やよしずなどで覆って真夏の強烈な日差しを避けるよう植え方を工夫します。
土づくり
培養土は市販の野菜用のものが便利です。酸性度pH5.5~6.5の弱酸性から中性の土を好みます。土中の湿度があがると根腐れしやすいため、保水性、水はけのよい土地で栽培しましょう。連作障害があるので、輪作年限は2〜3年となります。
キャベツの育て方②種まき
種まきから収穫までの期間
キャベツの種まきから収穫までの過程に必要な日数は、品種や種まき時期、天候などの環境によって異なりますが、平均的に約110日~140日です。春まきは2~4月に種まきし、収穫は5~7月、夏まきなら7月下旬に種まきし、収穫は10月中旬〜12月、秋まきは9月中旬頃の種まきで、収穫は翌年の4~5月を目安としてください。
種の植え方
キャベツはポットに種をまき、しっかりと温度管理をしながら苗を育てます。苗が育ったら畑に定植するのが一般的な植え方です。ポットに直径約3cm深さ1cmのくぼみを作り、キャベツの種を3粒程度まきましょう。このとき種と種の間隔をできるだけ離すことを心掛けてください。種を軽く土で覆ったら、たっぷりと水やりをします。
発芽までの温度管理
2~4月には寒くなる日もあるので、春まきの育苗には保温や暖房を必要に応じて使います。夏まき、秋まきは高温を避けたいので寒冷紗で覆うなどの対策をしましょう。いずれの植え方でもキャベツの育苗のポイントは温度管理です。寒いときには暖かく、暑いときには涼しい環境で育てます。
発芽から植え付けまでの期間
発芽から定植するまでの期間は、夏まきで本葉が5~6枚にまで成長するためには約35日が必要です。暑さ対策で寒冷紗で覆う場合は、定植前になったら寒冷紗を外して路地の環境に慣れさせましょう。秋、春まきでは本葉7~8枚まで約45日かかることを目安にしてください。
春キャベツの苗の注意点
味のよい春キャベツは収穫時期になるとトウ立ち(花をつけた茎がのびだすこと)しやすいので、秋まき用の品種を選びます。一定の大きさまで育った苗が1カ月ほど低温にさらされると花芽ができ、トウ立ちの準備をはじめます。そうすると、日が長くなり、温度が上昇する春に結球することをやめてトウ立ちすることになります。
トウ立ちの予防策
- トウ立ちを遅くする秋まき用の品種を選ぶ
- 種の早まきを避け、苗が小さな状態で冬越しする
- 小さなトンネルをつくって寒さを防ぐ
発芽から間引きまで
種まきをすると3~5日程度で発芽するので、7日目以降に間引きをはじめましょう。最初は2本立ちに、本葉が2枚になれば1本立ちにします。朝に水やりを行い、夜には土の表面が乾く程度の環境が育苗期間の水やりのポイントです。過度な水やりは病気の原因にもつながります。
次のページでは、キャベツの植え付け、肥料と水やり、収穫についてご紹介します。