ダイアジノン粒剤の上手な使い方②表面散布
ダイアジノンは土壌害虫だけでなく、次のような症状を引き起こす害虫にも効果があります。
- アブラナ科の野菜が針で穴が空けられたようにボロボロになっている(キスジノミハムシ)
- ブルーベリーやナス科野菜の葉がかじられている(コガネムシ)
- ダイズの実が食害をうけている(マメシンクイガ、カメムシ)
- トウモロコシの実に穴があいている(アワノメイガ)
- 芝生に虫がほった穴がある、まばらに枯れている(シバツトガなど)
ボタ爺
使い方
表面散布をするときは、手でばらまく方法と散粒機でまく方法があります。作物に直接かけたい場合は散粒機を使ったほうがムラになりにくいです。手で散布する場合は、洗面器などの容器で薬剤をはかると、散布のときに別の容器に移し替える必要がなくめ便利です。また散布するときは、マスクと手袋、長そで長ズボンの作業衣を着用してください。
使用時の注意点
表面散布の薬剤使用量は、土壌混和とほとんど同じです。4日~7日で有効成分の効果が半減するため作物の状況をよく見てから決めてください。またダイアジノン粒剤3には表面散布の使い方に適用がありません。使用はさけましょう。
ダイアジノン粒剤の種類
ダイアジノン粒剤3
殺虫剤 コガネムシ ネキリムシ ダイアジノン粒剤3 700g 住友化学園芸
参考価格: 759円
ダイアジノン粒剤には有効成分ダイアジノンが3%、5%、10%と含有濃度が異なるものが3種類あります。ダイアジノン粒剤3は有効成分含有率がもっとも低い商品です。適用作物は24種類で、土壌中の害虫駆除が可能です。刺激性が弱いこともあり、家庭用サイズから業務用サイズまで、ホームセンターで容易に入手できます。
ダイアジノン粒剤3の適応作物
野菜(根菜類) | サツマイモ、じゃがいも、 だいこん、はつかだいこん |
野菜(葉菜類) | キャベツ、ブロッコリー、 レタス、はくさい、 たまねぎ、ねぎ、 カリフラワーなど |
野菜(果菜類) | トマト、ピーマン、なす、 すいか、メロン、いちご、 かぼちゃ、きゅうり、 とうがらし |
その他 | 豆類、たばこ |
ダイアジノン粒剤5
ダイアジノン粒剤5 3kg
参考価格: 1,840円
ダイアジノン粒剤5は適用作物61種類ともっとも多く、ダイアジノン粒剤3にくらべて大幅に増えています。下の表では3と5の違いで増えている作物をまとめています。3に比べて適用範囲が広いだけでなく、普通の農薬のためインターネット通販やホームセンターで手軽に購入可能です。
ダイアジノン粒剤3から5で増えた作物
野菜(根菜類) | かぶ、にんじん、ごぼう |
野菜(葉菜類) | らっきょう、みずな、 ふき、こまつな、なばな、 ひろしまな、畑わさび、 ほうれんそう、にら、 みつば、食用ゆり、 モロヘイヤなど |
野菜(果菜類) | いんげんまめ、オクラ、 にがうり、 スイートコーン、 さやえんどう |
果物 | ブルーベリー |
その他 | えだまめ、らっかせい、 あずき、たらのき、ごま、 さとうきび、桑、 ゆり、芝 |
ボタ爺
同じ適用作物もあるが、3と5の違いは葉を食害するキスジノミハムシなどの害虫に効果があるかどうかだな。
ダイアジノン粒剤10
ダイアジノン粒剤10は、これまでのダイアジノン粒剤とは濃度だけでなく毒性も異なります。有効成分が高濃度含まれているため医薬用外劇物に指定されており、購入は劇毒物農薬の取扱いのある農協や専門店に限られます。その代わり、畑の散布量もダイアジノン粒剤5の半分程度でよく、無人ヘリコプターからの散布も可能です。
ダイアジノン粒剤10の適用作物
野菜(根菜類) | だいこん、はつかだいこん、 かぶ、にんじん、ごぼう |
野菜(葉菜類) | ほうれんそう、はくさい、 キャベツ、レタス、ねぎ、 たまねぎ、カリフラワー、 ブロッコリーなど |
野菜(果菜類) | いんげんまめ |
その他 | だいず、えだまめ、あずき、 芝 |
ボタ爺
ダイアジノン粒剤10は広い面積で栽培するアブラナ科やマメ科の作物に特化した殺虫剤じゃの。
ダイアジノン粒剤の注意点
製造会社である日本化薬株式会社にて公表されている、ダイアジノン粒剤の安全データシートの記載内容は次のとおりです。
健康に対する有害性
ダイアジノン5 | ダイアジノン10 | |
急性毒性(吸入) | 区分外 | 区分4 |
眼刺激性 | 区分外 | 区分2B |
全身毒性(単回暴露) | 区分外 | 区分2 神経系 |
全身毒性(反復暴露) | 区分外 | 区分2 腎臓 神経系 肝臓 精巣 |
環境に対する有毒性
ダイアジノン5 | ダイアジノン10 | |
水生環境有害性(急性) | 区分1 | 区分1 |
水生環境有害性(慢性) | 区分2 | 区分1 |
引用元URL:https://www.kumiai-chem.co.jp/sds/48/20160422183848020.pdf
引用元URL:http://toyama-nozai.co.jp/docs/SDS%28GHS%29_Dz10G_JP160601.pdf
危険有害性区分のなかで区分1が最も高い値になるため、ダイアジノンが水生生物に対して薬害があることがわかります。薬剤は必ず使い切り、容器の洗浄水などは水路などへ流さず土に捨てるようにしましょう。また、眼に対する刺激性も強いため、農薬用ゴーグルなどで目を保護して使用してください。
まとめ
ダイアジノンは高い殺虫効果がありながら、有効成分が作物に移行することもないため野菜に実がついていても薬害は出ません。このように野菜には使い勝手のよいダイアジノンですが、花や観葉植物には使えないためオルトランなどの別のものを使用してください。農薬を取り扱ううえで重要なのは、使える作物はしっかりと表示で確認して正しく使うことですよ。
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ほかにも、土壌混和していない畑で土壌害虫の症状がでていれば、表面散布で抑えられるぞ。翌年はしっかりと対策が必要じゃがな。