殺虫剤について
庭で大事に育てているバラや、鉢植えで室内に置いている観葉植物に近寄ってくる害虫はたくさんあります。それらを退治するには、殺虫剤をまくことが一番手っ取り早くて効果的です。でもむやみやたらに使うのでは効果も半減です。どんな害虫にどんな殺虫剤がいいのか、どんな使い方をすればいいのか、ということを知っておかないと、かえって大切な植物を痛めてしまうこともあるのです。そこでまず殺虫剤の種類や使い方について、詳しくご紹介しましょう。
殺虫剤の種類
乳剤・液剤・水和剤
乳剤・液剤・水和剤は水に溶かして使う殺虫剤です。指定の濃度があるので、それに従って水で薄めてスプレーで散布します。じょうろなどで根元にかけて、植物が成分を吸うことで効果を発揮させるものもあります。1000倍に薄める場合は水1000ccに対して薬剤1ccと、とても少ない量でいいので、薬剤の保管に場所を取られずに済むという利点もあります。
粒剤・粉剤
粒剤や粉剤は、庭や鉢植えの土の中に潜んでいる幼虫を退治する場合や、植物の根から成分を吸い取らせる場合に使います。葉にスプレーする殺虫剤に比べると、雨で薬が流される心配もなく、長い期間効力が保てるということが利点です。
スプレー剤
スプレー剤は直接的で速攻的に使えるので、害虫を見つけた時にすぐ散布して退治できるのが便利です。また、配合する手間もないので、薬剤の濃度を気にかけることなく安心して使えますね。ただ、液剤や粒剤に比べると単価が高いので、広い面積に散布するときは不経済です。しかも雨が降ると効果も長続きしません。
殺虫剤の効果
害虫に直接かけて駆除する
害虫に直接薬剤をかけたり、成分を吸わせたりすることで、確実に駆除できます。ただ、害虫を見つけても、羽があるものはすぐ逃げてしまいます。そのチャンスを逃さないためにも、すぐ手に取れるところに殺虫剤を保管しておくことが大切ですね。
殺虫剤の付いた葉や茎を害虫に食べさせる
殺虫剤を葉や茎に散布しておいたり、庭やプランターなどの土の中にまいて根から吸収させたりすることで、その葉や茎を食べた害虫を駆除できます。害虫は次々やってくるので、この方法を使うと予防的な効果があります。また、地中や幹の中にいて目に見えない害虫の退治もできます。
殺虫剤の使い方
涼しい時間帯に散布する
殺虫剤の散布は朝夕の涼しい時間帯にしましょう。日中の高温になる時間帯にまくと、葉や花に薬害が出ることがあります。
適切な殺虫剤を使う
一つの薬剤を万能的に使用するのではなくて、害虫の種類を知って、それに対応した殺虫剤を使うことが大切です。これについては後ほど、どんな殺虫剤がどんな害虫に効くのか詳しく説明します。
殺虫剤使用の注意点
使用濃度や使用頻度を守る
薄めて使う液剤は、必ず説明書を読んで決められた濃度で使いましょう。効果を狙って濃度を濃くすると、かえって植物に負担がかかってしまいます。
葉の裏側にも散布する
虫の卵は葉の裏側に産み付けられていることが多いので、葉の表面だけでなく、葉の裏側にも殺虫剤がかかるようにしましょう。ノズルを下から上に向けて噴射して、効率的に葉の裏に薬剤が付くようにするのがポイントです。
眼鏡・マスク・手袋を装備する
殺虫剤は害虫を殺すものなので、誤った使い方をすると、人間にとっても有害物質になりえます。自分自身を守るためにも、必要な場合には手袋などをはめて薬剤を扱うようにしましょう。(詳しくは、農薬ラベルを確認しましょう。)スプレーなどで散布する場合は、眼鏡をかけたり、マスクをすると安心です。使用後は必ず手を洗いましょう。
残った液剤は下水に流さない
使い残し殺虫剤を次回の散布まで保存することはできないので、その日のうちに処分しましょう。仮に余ったとしても、下水や川に液剤を流さないように注意が必要です。(水質汚染などにつながることもありますので、正しい使い方をしましょう。)一番いいのは使い切ってしまうことですが、もし残ってしまったら、土に穴を掘って埋めましょう。
バラや観葉植物の害虫対策におすすめ殺虫剤①スミチオン
スミチオンはアブラムシ・ヨトウムシに効果的
アブラムシが発生しない植物はないほど、ほとんどの植物でアブラムシの被害が見られます。ゴマ粒ほどの大きさで、色は緑色・褐色・黒などです。アブラムシは樹液を吸うので、被害にあうと植物が衰弱して、葉が縮んだりこぶができたりします。
スミチオンの使用方法
スミチオンは水1000ccに対して1ccが基本の濃度です。よくかき混ぜて、噴射機やスプレー容器に入れて散布しましょう。害虫に向かって吹き付けることで、簡単に駆除することができます。
バラや観葉植物の害虫対策におすすめ殺虫剤②オルトラン
オルトランはアブラムシ・ヨトウムシに効果的
ヨトウムシは葉に産み付けられた卵からふ化して、集団で葉を食い荒らします。浸食しながらどんどん成長して体も大きくなって、あっという間に葉が食べられて無くなってしまうこともあるので、見つけたら早めに退治しまょう。
オルトランの使い方
オルトランは、水に溶かして使う液剤もありますが、庭やプランターの土に混ぜ込んで使う粒剤が便利です。直接害虫を駆除するのではなく、植物に成分を吸わせておいて、その葉を食べた害虫を殺すという効果があります。
バラや観葉植物の害虫対策におすすめ殺虫剤③マシン油乳剤
マシン油乳剤はカイガラムシに効果的
カイガラムシはその名前のとおり、貝殻に似ている殻をかぶった虫です。バラやガジュマルなどの観葉植物の枝や幹に寄生します。ふ化したときは自由に動き回りますが、そのうち付着した場所で固定してしまいます。カイガラムシは樹液を吸うので、植物の生育に悪影響を及ぼして、植物を枯らしてしまうこともあります。
マシン油乳剤の使い方
マシン油乳剤は水に適量を溶かして散布します。カイガラムシが発生しているときは直接吹きかけましょう。また、冬場に枝や幹に散布しておくと、表面を覆う効果があるので虫がつきにくくなって予防効果が期待できます。