スミチオン乳剤とは
スミチオン乳剤は、有効成分「MEP(フェニトロチオン)」を含む農業用殺虫剤です。有機リン系農薬に分類され、比較的人畜毒性が低い点や適用範囲が広いことなどから40年近くも幅広い農業者に重宝されてきました。
有機リン系農薬の効果
有機リン系の農薬は、神経伝達物質のひとつであるアセチルコリンの分解酵素を阻害することで害虫を死に至らしめる薬剤です。アセチルコリンが分解されないと興奮が収まらないため、歩き回るなどの異常な行動が見られるようになり最終的にはマヒしてしまいます。
乳剤について
乳剤は有機溶媒に有効成分を溶かした薬剤で、乳化剤を含むことで水に溶けやすいようになっています。乳化剤とは、活性剤の一種で、例えば油と水のように混ざりにくいものどうしを混ざりやすくするために用いられるものです。乳剤は害虫の表皮からしみこみやすいというメリットがある一方で、自動車などに着くと塗装を落としてしまうこともあるので使用の際は周辺に注意しましょう。
スミチオン乳剤で効果が期待できる害虫10選
スミチオン乳剤はさまざまな種類の害虫に効果が期待できる薬剤ですが、中でも野菜や花卉、果樹の栽培で問題になりやすい害虫をピックアップしてご紹介します。
①アブラムシ
幅広い作物に発生するアブラムシ。アブラムシの仲間は、日本だけでも700種以上存在するといわれています。吸汁して植物を弱らせるアブラムシですが、そういった食害よりも大きな影響をもたらすのがウイルス病の媒介です。アブラムシは、すす病などの病気に感染した植物の汁を吸い、別の植物に移動して再び汁を吸うことで病気をうつしてしまいます。
②テントウムシダマシ
テントウムシダマシは、ナス科植物の葉を食べる害虫です。テントウムシダマシという名前は通称で、ニジュウヤホシテントウやオオニジュウヤホシテントウのことをさしています。テントウムシといえばアブラムシなどを捕食してくれる益虫でもありますが、テントウムシダマシは同じテントウムシでありながら益虫ではありません。テントウムシに似ていますが、背中の黒斑が多いところが見分けるポイントです。
ボタニ子
次のページでは効果が期待できる害虫③~⑩についてご紹介します。