亀甲竜とは
亀甲竜(きっこうりゅう)は、その名のごとく亀の甲羅に似た大きな塊根(コーデックス)をもち、長く伸びるツルに可愛らしいハート型の葉をつける注目の多肉植物です。空に向かってツルが伸びるさまは、まるで竜が空に昇って行くさまを想像させるため、不思議な魅力で、なんとも神秘的な気持ちにさせてくれます。
亀甲竜の種類と基本情報
アフリカ亀甲竜 | メキシコ亀甲竜 | |
---|---|---|
原産地 | 南アフリカ/ナミビア | メキシコ/パナマ |
生育型 | 冬型 | 夏型 |
休眠期 | 夏 | 冬 |
ツルの伸びはじめる時期 | 晩夏(8月下旬~) | 早春(3月~) |
耐暑性/耐寒性 | 耐暑性:やや強 耐寒性:弱(10度以上) |
耐暑性:やや強 耐寒性:弱(10度以上) |
日当たり | 日なた | 日なた |
水分要求量 | 少(乾燥気味に管理) | 少(乾燥気味に管理) |
亀甲竜は長芋などと同じヤマノイモ属の植物で、アフリカ原産の「アフリカ亀甲竜」と、メキシコ原産の「メキシコ亀甲竜」の2種がありますが、日本ではアフリカ原産のものがよく鉢植えとして出回っています。
種類①アフリカ亀甲竜
アフリカ亀甲竜は南半球のアフリカ最南端に自生し、日本とは季節が逆なため冬に葉を茂らせる冬型の多肉植物です。丸みを帯びたハート型の葉が特徴で、日本で流通する亀甲竜はほとんどがこのアフリカ亀甲竜になります。春に葉を枯らし、夏の終りに再び芽吹くタイプです。
種類②メキシコ亀甲竜
メキシコやパナマ諸島が原産のメキシコ亀甲竜は、日本ではあまり流通していない珍しいタイプです。特徴的な細長い葉っぱのため、アフリカ原産のものとの見分けは容易です。日本の多くの植物と同じく、春に芽吹き、夏に葉を茂らせて冬に枯れるタイプとなりますが、管理状態によっては冬にも鑑賞できる状態にある場合もあります。
亀甲竜の特徴
亀甲竜の特徴としては、バキバキに割れ目の走る荒々しい根塊と、つややかなハート型の葉をつけるしなやかなツルの対比が挙げられます。とても美しい人気のある多肉植物です。和名でツルカメソウ(蔓亀草)とよばれることもあり、縁起が良いということで贈り物としてもまた人気があります。
亀甲竜の特徴①塊根(コーデックス)
大型のものは30cm以上にも成長
幼株の亀甲竜の塊根(芋)はほとんどひび割れがなく、ツルリとなめらかな状態です。それが年数を経るしたがって塊根が肥大し、細かく入り始めたひび割れが次第に深く、大きくなっていきます。原産地では大きくなった芋を食用にするという話も聞かれます。
亀甲模様は成長するまで予測がつかない
ある程度大型になるまでどのような模様になるかがわからないのも、亀甲竜の大きな魅力のひとつです。ひび割れの中に年輪のように模様が入り、年数を経るに従い個性的な表情を見せてくれます。
亀甲竜の特徴②ツル植物
長く伸びるツルは、丸く誘引した仕立て方が有名ですが窓枠に絡ませることもできます。一株では緑のカーテンになるほどには葉が茂りませんが、可愛らしい葉っぱが印象的な窓辺を飾ってくれます。また、つる先を早めに剪定してこんもりと育てたり、あえて自由にツルを遊ばせるのも見ごたえがあります。
亀甲竜の特徴③雌雄異株
亀甲竜の株が大型となり充実してくると、黄色い小さな花が咲きます。亀甲竜は雌雄異株で、花が咲くまで雌雄の区別はつきません。実生で増やせる多肉植物なのですが、雌株の出現率は全体の1割ほどといわれており、雌株・雄株の両方が必要な自家採種の難易度はかなり高いでしょう。
亀甲竜の育て方
亀甲竜の土選び
亀甲竜の栽培には、水はけの良い土が向いています。実際には、「多肉植物の土」や「盆栽用の土」を使う方が多いのですが、「赤玉土のみの場合」や「園芸用土に赤玉土を混ぜる」などいろいろなパターンがあります。
亀甲竜の置き場所
日当たりの良い場所に置く
風通しがよく、日当たりの良い場所が亀甲竜に最適です。戸外が10℃以下になる冬場以外は、外で管理することもできますし、日の当たる窓際などでも元気に成長してくれます。
根塊が雨に濡れないように注意
暖かい時期は日当たりと風通しのよい屋外で育てるとよいのですが、急な雨などで根塊が濡れると枯死につながることがあります。水やりのときなども、根塊にはあまり水がかからないよう注意したほうがよいでしょう。
冬は屋内で管理
戸外が10℃以下になる冬の置き場所は、日の当たる屋内が主となります。冬型のアフリカ亀甲竜は日本の寒い時期が成長期にあたるため、日照と温度を十分に保って管理してあげると元気に育ってくれるでしょう。
地植えはできる?
亀甲竜の生育には10℃以上が必要なため、地植えでの管理は難しいでしょう。どうしても地植えで亀甲竜を育てたい場合、冬場はビニールハウスで覆うなどの工夫が必要です。
亀甲竜の水やり
水やりは土が乾いてから
水やりはごく控えめに行います。盛んに葉を広げる時期は少し多めでも大丈夫ですが、ある程度成長が落ちついてくる時期には、土の表面だけでなく土中まで水分が少なくなったころに水を上げるとよいでしょう。
休眠期は水やりしない
葉や茎が枯れた休眠期には水やりは不要です。逆にこの時期に水をあげてしまうと根や根塊が腐ってしまい、枯死の原因となってしまいますので控えましょう。
亀甲竜の施肥
元肥を控えめに混ぜる
植え付けや植え替えの時の元肥は、緩効性の肥料を控えめに混ぜるとよいでしょう。その場合、直接根に触れないよう、鉢底の方に混ぜます。あまり肥料が多いと葉っぱはよく茂るのですが、根塊が大きくなりづらくなります。
液肥はごく薄めに少量
多肉植物はあまり肥料分を必要とはしないのですが、成長期にはごく薄めの液肥を少量あたえます。アフリカ亀甲竜の場合、つるが伸びて葉が展開する秋に、薄い液肥を水に混ぜてあげると良いでしょう。
亀甲竜の剪定
葉が枯れたら剪定して休眠させる
冬型の亀甲竜の場合、春に葉が枯れ落ちたら根元から剪定してしまいましょう。慣れないうちは「枯れたかも」と心配になるかもしれませんが、休眠期に入って葉を落としただけですので心配いりません。夏の終りには元気な新芽が出てくるはずです。
実生(種)での増やし方
覆土は薄めに
種まきの際の覆土は、種が隠れる程度の薄めにします。まったく土を被せずに実生で育てられている方もありますので、発芽率が低い場合は、いろいろ試してみると良いでしょう。種まきの時期は夏から秋がよいとされていますが、その他の季節でも発芽例は多く見られます。
発芽までは土が乾かないよう注意
小粒の赤玉土での発芽例が多く、おすすめです。発芽までは土が乾かないように注意します。実生の発芽率はそれほど悪くありません。発芽までは10日~3週間程度です。
小苗のうちは少し水やりを多めに
亀甲竜は多肉植物ですが、小苗のうちは土が乾かないよう、やや多めに水やりをするとよいででしょう。鉢底を水につける「腰水」での管理も有効です。
植え替えの時期と方法
年数を経た亀甲竜の根塊をさらに大きくするためには、年に一度の植え替えが有効です。休眠期が植え替えの適期になり、冬型のアフリカ亀甲竜の場合は晩春から夏にかけて、まだ新芽が出てくる前に行います。土を軽く落としてひと回り大きな鉢に植え替えてあげましょう。
亀甲竜の害虫
ハダニに注意
ハダニは気温が高く、乾燥した状態の場合に発生しやすい害虫です。葉の裏に小さな点のような虫体を見つけたり、被害が進むと白い糸が葉に絡まっていたりすることで発見できます。葉の色が一部分だけ茶色くなったり、まだら模様になったりした場合にはよく観察してみてください。
ハダニは葉水が有効
ハダニが発生した株は早めに隔離し、他の鉢に被害が及ばないように注意してください。その上で葉や茎を切り取って廃棄するのが対処方法ですが、普段から葉っぱの裏側に霧吹きなどで水をかけてあげることで発生の抑制につながります。
まとめ
亀甲竜は5年、10年と年数を経るにしたがってさまざまな魅力を開花させてくれる根塊植物です。水の管理に注意すればそれほど育て方も難しくありませんので、ぜひ一度手にとってみられることをおすすめします。