アアソウカイとは
アアソウカイはパキポディウムの仲間で、マダガスカル島原産の塊根植物です。ガーデニングの世界では古くから知られていますが、流通量が少なく比較的珍しい種類です。近年は多肉植物・塊根植物がブームが起こり、改めて注目されています。独特な樹形をし、成長がゆっくりで長く楽しめる魅力的な植物の一つです。
アアソウカイの基本情報
学名 | pachypodium geayi |
英名 | Madagascar palm |
科名 | キョウチクトク科 |
属名 | パキポディウム属 |
原産地 | マダガスカル |
園芸部類 | 多肉植物、観葉植物 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
開花期 | 春 |
花の色 | 白色 |
名前の由来
アアソウカイは、マダガスカル島が原産地です。マダガスカル島は、アジア(亜細亜)とアフリカ(阿弗利加)の境界にあたるため、亜阿相界(アアソウカイ)と名付けられたとされています。また学名のゲアイーは、ヨーロッパの多肉植物愛好家であるゲアイ氏の名前をもとに名付けられました。
自生地の環境
アアソウカイはマダガスカル島の乾燥した低山地帯に自生しています。年間を通して降雨量が少ないですが、乾季にはほとんど雨が降らない地域です。そのため、極度の乾燥に耐えられるように塊根部や幹に水分を溜めておけます。雨期には30~40℃と暖かい日が続きますが、乾季には10℃前後と1年の間で気温差があります。
アアソウカイの特徴
アアソウカイが自生するマダガスカル島は、動植物が独自の進化を遂げ、島固有の珍しい種類が多いです。アアソウカイもその一つで、普段目にする植物とは違った独特の特徴を持っています。
特徴①幹
アアソウカイの幹には、トゲが無数に生えています。株が小さなころはトゲが目立ちますが、成長して幹が太くなるにつれてトゲが目立たなくなり、ぱっと見ではツルッとした幹になります。分枝はあまりせず、成長点付近が2~3本に分かれる程度です。また、乾季に水分の蒸散を防ぐために、表皮は非常に硬くなっています。最終的に高さ10mほどに成長します。
特徴②葉
アアソウカイの葉は緑色で、細長くて先が尖り、葉の表面には細かい毛が無数に生えています。秋になって気温が低下すると黄色~橙色に紅葉し、やがて落葉しますが、春になると新たな葉が萌芽します。葉が、成長点付近からのみ出るのも特徴の一つです。
特徴③花
アアソウカイは、数mに成長すると開花します。開花期は春ごろで、白色の漏斗状の花を咲かせます。花びらは5枚で、内側に軽くカールするのが特徴です。また、咲き始めは緑がかっていますが、次第に白色へと変わります。国内で花を咲かせるためには10年近く栽培する必要があるとされています。
特徴④種子
アアソウカイは結実すると、莢(さや)の中に10~30粒ほどの種子を作ります。種子には綿毛が付き、大きさ5mm前後です。種子が熟して莢が弾けると綿毛の付いた種子が風に乗って運ばれます。うまく発芽した苗は数十年かけて、高さ10mほどに成長していきます。
特徴⑤生育サイクル
アアソウカイは、春から秋にかけて成長し、冬の間は落葉して休眠する植物です。日本で栽培すると、4~10月ごろは成長し、11~3月ごろが休眠期に入ります。休眠期は、現地では乾季にあたり、雨が降らないため体内に蓄えられた水分を利用して乾燥に耐えています。この生育サイクルを意識することが、上手に栽培するポイントです。
アアソウカイに似ている植物
アアソウカイを含むパキポディウムは約25種類あり、アアソウカイと見分けがつきにくい種類もあります。また、パキポディウム以外でも似ている植物もあります。
パキポディウム・ラメリー
アアソウカイと、パキポディウム・ラメリーは非常に似ているので、ぱっと見るだけでは区別が付きづらいです。アアソウカイの葉の表面には小さな毛が生えているのに対し、パキポディウム・ラメリーには生えていません。そのため、葉を指でなぞってみればすぐに区別できます。また、アアソウカイの葉のほうが細長く、濃い緑色です。
パキポディウム・フィヘレネンセ
パキポディウム・フィヘレネンセもアアソウカイによく似ています。しかし、パキポディウム・フィヘレネンセは幹が樽型に成長し、大きくなっても1.5mほどにしかなりません。また、アアソウカイは成長低付近が分枝するのに対し、パキポディウム・フィヘレネンセは幹の基部付近から分枝するため見分けやすいです。
ディディエレア・マダガスカリエンシス
ディディエレア・マダガスカリエンシスは、アアソウカイと同じマダガスカルに自生する塊根植物です。落葉期は非常に似ていますが、葉が生えていれば、アアソウカイと比べて細く、幹の全体から生えているので見分けやすいしょう。またトゲが白っぽく、アアソウカイよりも長いのが特徴です。
アアソウカイを育ててみよう
マダガスカルの過酷な環境に自生するアアソウカイは、日本の植物にはない興味深い生態、形態をしています。流通が少なく珍しい種類ですが、パキポディウムのなかでも育てやすいため、初心者の方にもおすすめです。機会があればぜひ、観察、栽培をしてみてください。