アデニウム・アラビカムとは?
アデニウム・アラビカムは、砂漠地帯を中心に自生するコーデックス(塊根植物)です。象の足のような太く広がった幹と美しい赤い花が特徴で、盆栽のように仕立てられた鉢植えに人気が集まっています。育て方も簡単なため、部屋を飾るインテリアとしてもおすすめです。
基本情報
植物名 | アデニウム・アラビカム(アラビクム) |
学名 | Adenium arabicum |
英名 | Desert Rose |
科名 | キョウチクトウ科 |
属名 | アデニウム属 |
原産地 | アラビア半島、アフリカ |
園芸分類 | 多肉植物、塊根植物 |
耐寒性 | 弱い |
耐暑性 | 強い |
アデニウム・オベスムとの違い
アデニウム・オベスムとアデニウム・アラビカムは、よく似た名前ですが塊根部の形が違います。どちらも太く大きな塊根をしていますが、アラビカムがずんぐりと横に広がった形であるのに対し、オベスムは徳利(とっくり)のような形をしています。
砂漠のバラ
アデニウム・オベスムは、別名「砂漠のバラ」と呼ばれるほど鮮やかな花を咲かせる種類です。赤やピンクの花色のほか、清楚な白色や八重咲き種もありアデニウム属の元祖的な存在です。
アデニウム・アラビカムの特徴
アデニウムの一種であるアデニウム・アラビカムは、南アフリカや南西アフリカ、アラビア半島などの砂漠地帯に自生しています。タイで品種改良され生産が増えたため、広く流通するようになりました。肥大化した個性的な幹で、きれいな赤色の花を咲かせます。暑さと乾燥に強いですが、寒さに弱いため冬は室内の暖かな場所に移動させましょう。
ボタニ子
特徴①根と幹
アデニウム・アラビカムは、アデニウム属のなかでも根の部分が大きく肥大したコーデックスになります。塊根植物の見本のような太い幹が特徴です。壺に似た太い根茎から無数の枝を上に向かって伸ばし、艶やかな濃い緑色の葉をつけます。また根や幹に水分を多く蓄え、雨の少ない砂漠を生き抜く力が備わっています。力強いユニークな樹形がアデニウム・アラビカムの魅力でしょう。
特徴②花
開花時期は4~9月です。春から夏にかけて長い期間、かわいらしい赤い花を楽しめます。花径は5~7cmほど、花の寿命は1週間程度です。花がら摘みをして、次々咲く新しい花を楽しみましょう。
アデニウム・アラビカムの育て方
アデニウム・アラビカムは乾燥した砂漠地帯に自生する植物ですが、環境を整えれば家庭でも育てられます。根腐れをおこさないように育てるのが栽培のポイントです。日当たりや水やりに気をつけて、素敵なインテリアプランツに育てましょう。
育て方①栽培環境
乾いた場所に育つアデニウム・アラビカムは、強い日差しを好みます。春~秋は屋外で6時間以上、日の当たる場所に置きましょう。風通しがよく、土が乾燥する環境がおすすめです。夏は雨の当たる屋外で育てても問題ありませんが、冬は寒さに弱いため、室内に取り込み5℃以上の温度のある場所で管理します。全体に日が当たるように2~3日に1回は鉢を回すとよいでしょう。
ボタニ子
長い時間日が当たらないと、葉や花が早く落ちてしまいます。日当たり具合が、栽培の大切なポイントです。
育て方②水やり
水やりは、季節にあわせて量と回数を変えます。湿度が高い状態が続くと根腐れを起こし、枝がシワシワになります。根腐れを防ぐためには土の状態をしっかりと把握し、表面の土が乾いたら鉢の底から水が出てくるぐらいたっぷりと与えましょう。
春の水やり
春は、休眠期から成長期に移る大事な時期です。気温が安定してきたら徐々に水やりの回数を増やしましょう。
夏の水やり
夏の成長期は、涼しくなった夕方~夜に水を多めに与えます。気温の上がっている午前中や昼間は、高温で株が蒸れてしまうため避けましょう。成長期に水をたっぷり与えると花つきがよくなります。
秋の水やり
秋は、葉が落ち始めたら水やりの回数を減らします。冬の休眠期にむけて水の量を減らしていきましょう。
冬の水やり
冬は、休眠期のため水やりはしなくても構いません。そのまま水を与えず土を乾燥させて冬越しします。
育て方③土
土は水はけのよいものを選びましょう。市販の用土を使う場合は、サボテンや多肉植物の用土が適しています。また、オリジナルでブレンドする場合は、小粒赤玉土を7割、腐葉土を3割混ぜ込み、そこに鹿沼土を混ぜることでさらに水はけがよくなります。
育て方④肥料
肥料は、培養土に含まれている元肥で十分育つため必要ありません。葉や花つきが悪いと感じた場合は、5月と7月に緩効性化成肥料を与えましょう。休眠期は成長が止まっているため肥料は与えません。しかし、インテリアプランツや盆栽として室内で育てている場合は、冬場でも花を咲かせるため少量の肥料を与えます。
アデニウム・アラビカムの増やし方
アデニウム・アラビカムは、挿し木か植え替えで増やします。種まきでも増やせますが、環境によって芽が出ない場合があるため挿し木や植え替えで増やすとよいでしょう。どちらも夏の成長期に行うと発根しやすいです。作業する際のハサミは、雑菌がつかないように必ず消毒してから使います。
増やし方①挿し木
挿し木は、成長した枝を約10cmの長さに切って使いましょう。枝に3~4枚の葉を残し2~3日切り口をしっかり乾燥させ、新しい挿し木用の土に挿します。挿した後、1週間~10日ほどたってから水を与えます。新芽が成長するまで風通しのよい場所に置きましょう。
ボタニ子
挿し木で増えたものは、株元が大きく太りません。小ぶりな盆栽におすすめです。
増やし方②植え替え
植え替えは1~2年に1回が目安です。土が見えなくなるほど根茎が大きくなったり、鉢の底から根が出て窮屈になったりしたら、一回り大きな鉢に植え替えが必要です。植え替えは4~8月に行いましょう。数日前から水やりをやめて、土を完全に乾燥させてから植え替えます。腐った黒い根は、切り落とし、切り口に薬剤を塗って乾燥させてから新しい土に植えましょう。
ボタニ子
植え替えた後は、1週間くらい水を与えず乾燥させましょう。
アデニウム・アラビカムの手入れ
アデニウム・アラビカムは、枝が密集していると根腐れや病害虫の原因になります。剪定をして形を整え、風通しをよくしましょう。切り口から出る樹液が手につくとかぶれることがあるので、手入れの際はビニール手袋や園芸手袋をはめて作業します。
手入れ①剪定
剪定は7月に行います。伸びすぎてバランスが悪くなった枝や、密集した枝は切り落としましょう。全体に日が当たり風通しがよくなるように、枯れた葉も摘み採ります。剪定をした後の切り口は、水分を拭き取り乾かして癒合剤を塗ります。
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癒合剤には、切り口を殺菌保護する働きがあります。カビから防ぐために使いましょう。
手入れ②病害虫
注意する害虫は「ハダニ」です。ハダニは、気温の高い乾燥している場所を好むクモの仲間で、葉に白い糸を見つけたらハダニが吸いついている可能性があります。葉の栄養を吸収して植物を弱らせるため、見つけた場合は早めに殺虫剤で駆除しましょう。霧吹きを使って葉の裏側に水を吹きつけると予防できます。
アデニウム・アラビカムの花言葉
アデニウム・アラビカムの花言葉は、「純な神経」「純粋な心」「一目惚れ」です。雨の降らない厳しい環境のなかで、健気に花を咲かせる姿に似合う花言葉です。また、ユニークな樹形と鮮やかな赤い花に一目惚れする方も多いでしょう。どの花言葉もアデニウム・アラビカムの魅力が伝わる意味をもっています。
まとめ
アデニウム・アラビカムは、初心者でも簡単に育てられる人気のコーデックスです。よく日を当てて水やりに注意すれば、素敵な観葉植物に育ちます。美しい赤い花と象の足のような根茎を楽しみましょう。
アデニウムは10種ほど存在しますが、絶滅危惧種に指定されている物が多く、全体的に流通が少ない植物です。