枝豆の摘心ガイド!枝豆栽培における正しい摘心のタイミング・やり方をご紹介!

枝豆の摘心ガイド!枝豆栽培における正しい摘心のタイミング・やり方をご紹介!

枝豆を収穫まできちんと育てるためにも、摘心はとても大切な作業の一つです。しかし、枝豆を摘心するタイミングを見計らうのは初心者にはなかなか難しいものですよね。今回は枝豆をいつ・どのように摘心するのがベストなのかを解説していきます。

記事の目次

  1. 1.枝豆ってどんな野菜?
  2. 2.枝豆の摘心をする理由
  3. 3.枝豆の摘心をするタイミング
  4. 4.枝豆の摘心の仕方
  5. 5.枝豆の摘心をしないとどうなる?
  6. 6.まとめ

枝豆ってどんな野菜?

出典:写真AC

誰もが一度は口にしたことのある枝豆。夏にビールのおつまみとして食べるイメージがありますね。

枝豆とは

出典:写真AC

枝豆はマメ科に属する植物で、花が咲いたあとにできるさやの豆を食べる野菜です。枝豆という野菜の品種があるのではなく、大豆を若いうちに収穫したものが枝豆です。収穫時期は初夏〜晩秋までと長く、早く収穫できる極早生(ごくわせ)品種から、栽培に時間がかかる晩生(ばんせい)品種までいろいろな品種があります。

摘心とは

出典:写真AC

摘心とは、植物の生長点をカットするなどして取り除き、その方向への成長を止める育て方です。トマトやナスなどの果菜類や、きゅうりやゴーヤなどのつるが伸びるタイプの野菜でも行います。

枝豆の摘心をする理由

出典:写真AC

育て方のコツとはいえ、元気に育っている枝豆をカットしてしまうのは、少しためらいがありますよね。では、枝豆を摘心することにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

①風に強くなり、倒れにくくなる

Photo bymari_lazaro

背が高くなりすぎないまま育つ

摘心の目的のひとつは、強風などで枝豆が倒伏するのを防ぐことです。生長点を摘むことにより、枝豆の上方向への成長が止まり、それ以上背が高くなるのを防ぐことができます。また、摘心によって「枝が細く・背が高い」枝豆になるのを防ぎ、「枝が強く・背が低い」枝豆になります。枝が強くなることで、より風に強く、倒れにくくなるという効果があります。

荒れた天候にも対応できる

枝豆の収穫時期は、台風が発生する時期と重なることもあります。強風や激しい雨で枝豆が倒伏するのを防ぐためにも、事前に摘心をしておくのがよいでしょう。

②収穫できるさやの量が多くなる

出典:写真AC

枝数が増えてさやがより多く実る

先端の芽を摘み取ることにより、それまで上へ上へと送られていた栄養分が、脇の枝や葉っぱへと回ることになります。側枝に多くの栄養が行き届けば、枝の数が増えやすくなります。枝豆のさやは枝や葉っぱの付け根に実るため、収穫できるさやの数も増えるという仕組みです。

光合成の量が増えて実が太る

また、枝数が増えると葉っぱの枚数も増加しやすくなります。葉っぱが増えればよりたくさん光合成が行われるようになり、さやに多くの栄養が蓄えられます。摘心は、収穫後のさやの量と質の向上も期待できる育て方です。

枝豆の摘心をするタイミング

出典:写真AC

次に、摘心をするのに適したタイミングをおさえていきましょう。枝豆の摘心には、その目的によって適した時期とコツがいくつか存在します。自分の目指す育て方に合った時期を選んで摘心をしましょう。

適期①花の開花期

Photo by 阿橋花譜 KHQ Flower Guide

花の開花するタイミングは、農家も実践するメジャーな摘心の時期です。開花期に摘心する一番の目的は、強風などで倒れるのを防止することです。倒伏してしまうと収穫にも影響するため、まずは倒さないようにするのが枝豆の育て方のポイントと言えるでしょう。開花期の摘心は、あくまで株の倒伏防止が目的ではありますが、この時期の摘心でも新しい枝が何本か出てきます。さやの量の増加も期待できるでしょう。

適期②本葉が4〜5枚になった頃

Photo byjcesar2015

より多くのさやが収穫できる

「もっと多くのさやを収穫したい!」というのであれば、本葉が4〜5枚になったタイミングでの摘心がおすすめです。まだ葉数が少ない頃に摘心をすると、開花期に摘心するよりも多くの枝を増やすことができます。また、草丈が低い状態のままになるので、茎も強くなって倒れにくくなります。

タイミングを逃さず摘心しよう

とはいえ、「気づいたら本葉4〜5枚の時期を過ぎてしまった…」なんてこともあるでしょう。毎日畑に通えたり、プランター栽培の人はよいのですが、たまにしか畑に行けない人にとってはタイミングを逃してしまう可能性もあります。もし栽培している枝豆が、まだ葉数が少ない状態であれば、本葉4〜5枚程度になった頃合いを見計らって摘心をしてみてくださいね。

適期③発芽後に子葉が伸び出したら

出典:写真AC

双葉が開いたらすぐ摘心する

少し高度な摘心のテクニックです。種を蒔いて芽が出たあと、双葉がしっかり開いて本葉が少し出始めたタイミングで、生長点を摘みます。この方法は畑に直接種を蒔いた状態で行うことも可能ですが、トレーやポットに種を蒔いて栽培したものを摘心する人が多いようです。この時、発芽したばかりの芽を必要以上に痛めないように摘心するのがコツです。

発芽後すぐに摘心するメリット

「こんなに早く芽を摘んでしまって大丈夫?」と思う方もいるでしょう。しかし、枝豆は私達が考えているよりもはるかに強い植物です。伸び出て間もない生長点を摘心しても枯れることはなく、摘心した付け根から新しい芽が2つ伸びてきます。2つの芽はその後も成長を続け、通常は1本の主枝が2本になります。そのぶん枝数やさやの数も増加するため、収穫後のさやの量がぐんと増加するのです。

枝豆の摘心の仕方

Photo by Theo Crazzolara

摘心は文字通り「芯(心)を摘む」ことです。大きく分けて、摘心には2種類の方法があります。

やり方①手で摘む

摘心するには最も手軽な方法です。道具も使わないので少ない手間で済み、気がついたときにすぐできるのが良いところです。一番上の若い葉っぱ(頂芽)を指でつまんで摘み取ってください。この時、以下の点に注意してください。
・生長点の葉っぱを残さず摘み取ること
・他の茎や葉を必要以上に傷めないこと

やり方②ハサミでカットする

出典:写真AC

基本的には手で摘むのと同じ

ハサミを使ってカットする方法もあります。手順は手で摘み取るのと同じですが、確実にカットすることができれば、手で摘み取るよりも少ないダメージで済みます。園芸用の剪定ハサミは刃先で細かい作業ができるため、早い時期の摘心に向いています。もちろん、家庭用のハサミを園芸用として使ってもかまいません。

ハサミは消毒してから使おう

しかし、他の野菜にも使い回しているハサミだと、切り口から病原菌に感染する恐れがあります。せっかく摘心したにもかかわらず、枯れたりカビが発生してしまっては残念ですよね。ハサミを使う前にはしっかり消毒をするようにしましょう。

枝豆の摘心をしないとどうなる?

Photo by USDAgov

摘心は枝豆にとって良いことづくしです。では、摘心をしないままではどうなるのでしょうか?

ケース①風や枝の重さで倒れやすくなる

枝豆はもともと風で倒れやすい!

枝豆は茎が細く、トマトやナスのように支柱を使った育て方はしないため、風で倒れるリスクが高い作物です。摘心をしておけば、背が低いままで茎もしっかり育つので、倒れにくくなります。しかし、摘心をしないままだと背ばかりひょろひょろと高くなり、風にあおられやすくなってしまうのです。

自身の重さに耐え切れず倒れることも!

また枝豆は、枝や葉っぱ、さやなどの自身の重さに耐え切れずに倒れてしまうこともあります。肥料が多く、枝や葉っぱが茂りすぎて実が少ない状態を「木ボケ」や「つるボケ」と言ったりしますが、このような状態も枝豆が倒れる原因となります。倒れてしまうと、収穫後もさやが泥で汚れていたり、後々の処理が大変になってしまいます。

ケース②さやの収穫量が少なくなる

先に説明した「木ボケ」の状態になってしまうと、さやができなかったり、花自体が散ってしまう現象が起こります。摘心をしないままだと、花やさやへ回るはずの栄養が枝や葉っぱへと回ってしまい、大きさの割にはさやの収穫量が少ないという結果になってしまいます。また、枝豆が風などで倒れると、さやが土に埋まってしまうことも。収穫後の選別で、食べられないさやが出てきてしまう原因にもなってしまうのです。

まとめ

出典:写真AC

枝豆の摘心について、タイミングやコツ、その理由について説明しました。枝豆を摘心するのは初心者にあまり馴染みのない栽培技術ですが、コツを踏まえて実践すればより良い状態の枝豆を育てることにつながります。たくさんさやが実れば、収穫後に食べるのもより楽しみになるでしょう。摘心というテクニックを使って、枝豆の栽培をより楽しんでくださいね。

inomoto
ライター

inomoto

農業を営んでいる夫の手伝いをしながら、農業法人で働いています。やっぱり自分たちで育てた野菜はかわいい!

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