ドクゼリは春になると生えてくる、セリによく似た宿根草です。小川や田んぼ、浅い沼や池などの水の流れがほとんどない湿地に生えています。ドクゼリは名前のとおり、全草が有毒です。ドクゼリの毒は皮膚からも吸収されるので、扱うときは必ず手袋をしましょう。ドクウツギ、トリカブトとならぶ日本3大有毒植物の1つです。
園芸部類 | 野草 |
形態 | 宿根性抽水植物、多年草 |
樹高・草丈 | 60cm~100cm |
花の色 | 白 |
耐寒性 | 不明 |
耐暑性 | 不明 |
特性・用途 | 全草有毒、地下茎は観賞用 |
栽培難易度 | ★☆☆☆☆ |
ドクゼリの葉は2~3回羽状複葉(うじょうふくよう)です。1本の茎から小葉が左右対称に1枚ずつ、羽のように生えます。この1本を1枚の葉と数えます。また葉は互い違いに生える互生です。小葉の幅は0.5cm~2cmで長さは3cm~8cmあります。楕円の葉の縁は、のこぎりのようにギザギザです。
ドクゼリの茎は長く伸び、中は空洞になっています。成長すると100cmを超えることがあります。
ドクゼリの花の形状は、複散形花序(ふくさんけいかじょ)です。3mm程度の小さい花が同じ長さの花茎の先に、放射線状にたくさん咲きます。形はこんもりした傘のイメージです。長く伸びた茎の先が枝分かれし、花の塊が10数個つきます。果実は2.5mm~3mmの分果で2つあり、完熟すると自然と落下して水に浮いて移動します。
ドクゼリの根は宿根性で、地上部が枯れても地中で生きています。緑色のタケノコやわさびのような形です。半分に切ると、タケノコ状の節があり空洞です。わさびと間違えて食べて中毒を起こした例があるので気を付けましょう。ドクゼリの根の部分は「万年竹」や「延命竹」と呼ばれ、水盆にのせて観賞用とすることもあります。
ドクゼリに代表品種や種類はありませんが、ホソバドクゼリ(細葉毒芹)という亜種があります。ドクゼリの葉は柳に似ており、長さが3cm~8cm、幅が0.5cm~2cmと長細いのが特徴です。一方、ホソバドクゼリは、葉の幅が2mm以下ととても細く、その様子が名前の由来です。ホソバドクゼリは別名「ヒメドクゼリ」とも呼ばれています。
発芽時期 | 5月 |
地上部の成長時期 | 5月~6月 |
地下茎の成長時期 | 4月~6月 |
剪定の時期 | 8月以降 |
花が咲く時期/開花時期 | 6月~7月 |
ドクゼリは、宿根性抽水植物です。基本的に、水に浸かった状態で育てます。鉢植えで育てる場合は、植木鉢がすっぽりおさまる大きさのバケツやたらいを用意しましょう。ドクゼリの入った植木鉢を入れ、鉢が半分くらいが浸かる水をいれます。最大で100cmは超えるため、植木鉢で栽培する場合は倒れないような大きさの植木鉢がおすすめです。
地植えで育てるときは、ドクゼリがすべて沈んでしまわない程度の池状のものをつくります。水量の調節ができるようにしましょう。
ドクゼリを栽培する場合、室内よりも屋外のほうが安心です。大型の植物なうえ、全草有毒です。万が一まちがって触れたときに、中毒をおこす可能性も考えられます。また鉢植えでも水を多く使う栽培方法のため、水の管理がしやすい屋外がおすすめです。
ドクゼリは沼や池などの湿地帯に自生する植物なので、とくに置き場所や日当たりは選びません。
ドクゼリは水を使って育てるため、ほかの植物のような水やりは不要です。植木鉢が半分以上入るバケツやたらいなどを用意し、常に植木鉢が腰水できるようにします。地植えの場合も同様で、通常の水やりは不要です。ただしドクゼリがすべて浸かってしまわないように、水量を管理しましょう。雨が多い時期は、雨除けネットやブルーシートなどを使って水量を調節してください。
毒をもつドクゼリを好んで食べるのが、キアゲハの幼虫です。食欲旺盛で毒のきかないキアゲハの幼虫は、あっという間にドクゼリを食い尽くしてしまいます。見つけ次第取りましょう。
ドクゼリの花はそのままにしておくと実がなり、完熟すると自然に落下します。ドクゼリの実は2.5mm~3mmととても小さいうえに数が多いです。散らばった実を掃除する手間を考慮すると、花が終わったらすぐに剪定してしまうのがおすすめです。
ドクゼリの花が終わり、茎が茶色く枯れてきたら根本近くからばっさり剪定しましょう。
ドクゼリを冬越しさせるとき、特に防寒する必要はありません。地上部は枯れてしまいますが、地下茎が生きていて次の春には新芽を出すからです。
自然の環境下では、ドクゼリの宿根はある程度大きくなると自然に抜けて、水の流れにのって移動します。流れ着いた先で、新しく根をはるのです。栽培しているドクゼリに新しい宿根ができたら、別の植木鉢や自作の池に植えると、株を増やせます。