ペラルゴニウムは、春から夏の初めにかけて花を咲かせる多年草で、花色に特徴があります。花の大きさは小輪と大輪タイプとがあり、開花期は小輪のペラルゴニウムのほうが長めです。ペラルゴニウムの原種とされるものの多くは、南アフリカに自生しています。
園芸部類 | 草花 |
形態 | 多年草 |
樹高・草丈 | 20~80cmくらい |
花の色 | 赤、白、オレンジ、紫 ピンク、複色 |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 普通 |
特性・用途 | 常緑性・鉢植え、寄せ植え、ハンギングバスケット |
栽培難易度 | ★★☆☆☆ |
ペラルゴニウムは花色が多彩です。独特な花色例としては、ビオラのような2色咲き、上2枚またはすべての花弁の中央に黒色や赤色の斑紋、ストライプ模様が入るなどがあげられます。ペラルゴニウムの葉の多くには、葉縁に粗めの鋸歯(のこぎり歯のようなギザギザした切り込み)があります。
学名の「Pelargonium」は、ギリシャ語でコウノトリを表す「pelargos」が語源とされています。理由は、種の形状がコウノトリのくちばしに似ているためです。
エンジェルアイズは小ぶりの花をたくさんつける品種です。株がいっぱいになるくらい、つぎつぎと花を咲かせます。分枝性にもすぐれており比較的コンパクトに成長するため、整った形に仕上げやすいペラルゴニウムです。エンジェルアイズは、ドイツのPAC社の開発商品です。PAC社が生産している苗は品質がよいことでも知られています。
大きな花を咲かせるタイプのペラルゴニウムで、高級感ただよう草姿がとても華やかです。花付きも良く連続開花するため、最盛期には株全体をおおいつくすほどの大輪の花々を観賞できます。キャンディフラワーズもPAC社の開発商品で耐病性に優れた品種です。
植え付け時期 | 6~7月 |
植え替えの時期 | 6~7月と9~10月 |
施肥の時期 | 3~6月と9~11月 |
剪定の時期(切り戻し) | 6~7月と9月 |
花が咲く時期/開花時期 | 4~7月頃 |
苗の植え付け作業に適した時期は6~7月頃です。開花中でもあるこの頃が、ペラルゴニウムにとって、生育に勢いがあるためです。植え替えも6~7月がおすすめですが、9~10月頃も適しています。
ペラルゴニウムは、地植えにするよりも鉢植えにして室内や軒下などで育てるのが適しています。花や葉が雨にあたると、すぐに傷みはじめるためです。室内で育てると、害虫がつきにくくなるという利点もあります。関東地方以西の暖かな地域であれば、軒下のような雨の当たらない場所で冬越しもできますが、防寒のための対策が必要です。
ペラルゴニウムの置き場所には、年間を通して日当たりと風通しのよいところが適しています。夏のように日差しが強い季節は、西日が当たらない半日陰で風通しのよい場所に移動し、冬は室内や軒下などで管理します。
使用する用土は、市販されている草花用培養土がおすすめです。ペラルゴニウムは、pH7.0以上の弱アルカリ性土壌を好むため、鉢土には苦土石灰を混ぜ込みpHの調整をします。
ペラルゴニウムを育てる際、特に注意したいポイントが水の与え方です。土は、乾燥気味の状態にしておくほうが、うまく育ちます。土の表面が乾いていたらたっぷりと水を与えますが、受け皿に流れ出た水は必ず捨てて、湿気がこもらない状態にしておきます。花や葉に水がかかると傷んでしまい、最悪の場合枯れてしまうことがあるので、水やりの方法にも注意が必要です。
施肥をする適期は、たくさん花が咲き生育期でもある3~6月頃と9~11月頃です。また月に1回、緩効性化成肥料の置き肥をします。置き肥でなく液体肥料を使用する場合は、2週間に1回与えます。
春から秋にかけての間は、オンシツコナジラミによる被害が多くみられる時期です。オンシツコナジラミは、小さな白色の虫で葉裏に寄生して吸汁します。葉の葉緑素が抜けて生育不良になるため、被害が進行すると枯れてしまうこともあります。ウイルス病を媒介することもあるので、見つけしだい駆除するようにしましょう。
ぺらルゴニウムは、灰色かび病にかかることもあります。灰色かび病とは、茎や葉が腐食して進行すると灰色のカビにおおわれてしまう病気です。花の場合は、花弁に斑点が生じ進行すると茎葉と同様、灰色のカビにおおわれた状態になります。
灰色かび病を防ぐには、できるだけ風通しのよい場所で育てます。灰色かび病の病原菌は湿った状態を好むため、水やりは株元に行い、葉や花に水がかからないようにします。また、水のやりすぎにも注意が必要です。枯れたところには病原菌が残っているため取り除き、病気が広がるのを防ぎましょう。
花がらが落ちて葉に付着すると、灰色かび病の原因になることがあるので、花がらは、こまめに摘み取りましょう。枯れた葉や傷んでいる葉も取りのぞいて、通気性をよくします。
ペラルゴニウムの植え替えに適した時期は、初夏(6~7月)と秋(9~10月)です。初夏の植え替えは、根についている土を、1/3ほどほぐすようにしてから、1~2サイズくらい大きめの植木鉢に植え替えます。秋の場合は、軽く土を落とす程度にとどめ、一回り大きめの植木鉢に植え替えましょう。
開花を終えた後(6~7月頃)と秋(9月頃)に、切り戻し剪定をします。開花後に剪定する場合は、花をつけていた細い茎ではなく下方部の太い箇所で切り戻します。ポイントは、大きい葉がついている節の上を切ることです。秋は、木質化(木のように硬くなること)していない茎のところで切りそろえ形を整えます。
ペラルゴニウムという植物は、冬の低温に当たることで花芽を形成するため、暖かい室内に置いたままにするのは避けましょう。翌年もたくさん花を咲かせるには、5~7°Cくらいの場所に1カ月ほど置きます。5°Cを下回ると品種によっては枯れてしまう恐れがあるため、屋内であっても気温管理には注意が必要です。日当たりのよい軒下や暖房を入れない部屋、玄関などを利用してうまく管理しましょう。
ペラルゴニウムは挿し木(挿し芽)で増やせます。適期は6月頃と9月頃です。清潔で水はけがよく、肥料分がない用土を利用することと、3枚くらい葉がついた茎を使うのがポイントです。
手順