ムラサキケマンの育て方!花や種などの特徴と増やし方のポイントを解説 | 植物図鑑

ムラサキケマン(花)
ムラサキケマン(葉)
学名corydalis incisa
和名紫華鬘
別名ヤブケマン、ムラサキカンコ、カジバナ、ネコイラズ、ハッカケ
英名fumewort
科・属名ケマンソウ科(ケシ科)キケマン属
原産地日本、中国、台湾
花言葉助力、あなたの助けになる、喜び

ムラサキケマンの概要

Photo by harum.koh

ムラサキケマンは北海道~沖縄、中国や台湾などに自生する2年生植物です。葉がやわらかく、春に紫や赤紫色の筒状の小さい花をたわわに咲かせます。全草有毒植物でプロトピンを含み、誤って食べると吐き気や嘔吐、腹痛や下痢、呼吸麻痺や心臓麻痺などの症状がでるといわれているため、取り扱うときは注意が必要です。

  • ムラサキケマンの葉はハニンジンやヤマニンジンなどに似ていますが、傷つけると悪臭がするので見分けられます。

基本情報

園芸部類 野草
形態 常緑越年草、2年草
樹高・草丈 20cm~50cm
花の色 紫、赤紫、まれに白
耐寒性 強い
耐暑性 弱い
特性・用途 雑草
栽培難易度 ★☆☆☆☆

特徴

ムラサキケマンの花は筒状で、直径が5mmほど、長さが15mm~20mmあります。赤紫や紫色の花は重ならないようにあちらこちらを向いて咲き、房のように3cm~8cmつらなり、真上から見ると放射線状です。花びらは4枚あり、2枚ずつ形が違い、外側のものが大きく、距(キョ)という蜜腺をもちます。この蜜を求めてきた虫を介して受粉する虫媒花です。

受粉

ムラサキケマンの花は筒状で、筒の中に4本のおしべが上下からめしべを挟むように2本ずつ生えています。蜜を吸いにきた虫が花弁を押すと、おしべとめしべが筒からでて虫を介して受粉し、虫が去ると筒の中に戻ります。

ムラサキケマンの葉は2回3出羽状複葉(ニカイサンシュツウジョウフクヨウ)で、羽のように小葉が裂け、裂けた部分は深く切れ込みニンジンやセリの葉に似ています。斜め上に向かって生える葉は互い違いに生える互生です。ムラサキケマンの茎は角ばっており、切ると五角形で悪臭がします。

ムラサキケマンの実はマメ科のサヤのような形で、直径が3mm~3.5mm、長さが15mm~30mmあります。花後に垂れ下がり熟しますが、外のサヤは緑色のままです。蒴果(サクカ)といい、サヤに刺激が加わると、ぽんと下から2つに裂け上がり丸まり、中から1.5mm~2mmの種が飛び出します。ムラサキケマンの種はつやがあり黒く、エライオソームという付属物質がついています。

  • エライソオームはアリの好きな物質です。ムラサキケマンの種をアリが巣に運び、エライソオームのみをとり、種を外に捨てることで親株と違う場所で発芽します。

種類

ムラサキケマンには同じ形の花で、一部が白いものと真っ白なものがあります。生息地や育て方は同じです。花先のみ赤紫でほかが白いものを「シロヤブケマン」といい、真っ白な花を咲かせるものを「ユキヤブケマン」といいます。

ムラサキケマンの育て方①時期

出典:写真AC

植え付けから開花までの時期

種ができる時期 5月~6月
発芽の時期 春、10月~11月
根の成長の時期 8月~2月
休眠の時期 8月~10月
花が咲く時期/開花時期 3月~4月頃

ムラサキケマンは春と秋に発芽します。6月頃に種まきしても、その種が発芽するのは翌年の春です。春に発芽したものは開花せずに初夏まで育ち、夏に地上部が一度枯れ、休眠して地下茎を育てます。再び秋に発芽し、冬越しをして翌年の春に開花します。

栽培スケジュールカレンダー

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
発芽時期
開花時期
種ができる時期
成長期
休眠期

栽培適期は?

ムラサキケマンの栽培適期は9月~10月です。春と秋に発芽し、春に発芽したものは夏に地上部が枯れます。秋に発芽したものが翌春に開花するので、ムラサキケマンを採取してきて育てるのであれば秋がおすすめです。

ムラサキケマンの育て方②栽培環境

出典:写真AC

栽培方法

ムラサキケマンは地植えでも鉢植えでも丈夫に育ちます。北海道~沖縄で自生できる植物なので、あまり気をつかわずに栽培できるでしょう。ムラサキケマンの種は蒴果です。種が実ると少しの刺激でサヤがはじけ、四方八方に種が飛び散ります。地植えにした場合、翌年~翌々年に爆発的に増える可能性があるので、防ぎたい場合は種ができる前に剪定しましょう。

育てる場所

室内・屋外

ムラサキケマンは遊歩道の路肩や畑の隅、林の中などに自生しています。屋外で育てる場合は少し日がかげる場所がよいでしょう。室内で鉢植え栽培をする場合は、レースのカーテン越しで管理します。

置き場所・日当たり

ムラサキケマンが自生している場所は直射日光があたりません。藪影や半日陰~日陰の柔らかい日差しを好みます。ムラサキケマンを栽培する際は、直射日光が当たらない場所で管理しましょう。どうしても日当たりがよい場所しかない場合は、遮光します。

用土

ムラサキケマンが自生している場所は、湿った土であることが多いです。栽培する場合は水はけ、水持ちがよい用土を選びます。もともと雑草で強い植物なのであまり神経質にならずに草花用の用土で栽培しましょう。可能であれば、苗を採取した場所の土をもらうのもよい方法です。

ムラサキケマンの育て方③管理のポイント

出典:写真AC

水やり

ムラサキケマンを地植えで栽培する場合、水やりは不要です。鉢植えの場合は土が乾いたらたっぷり水やりしてください。

肥料

ムラサキケマンに肥料は必要ありません。

害虫対策

ムラサキケマンの害虫はウスバシロチョウの幼虫です。ウスバアゲハとも呼びます。この幼虫は有毒のムラサキケマンを食べて育つので、幼虫自体も有毒です。ウスバシロチョウを育てるためにムラサキケマンを探す人もいます。6月頃に黄色~クリーム色の1.5mm前後の卵がついていたら除去しましょう。

病気対策

ムラサキケマンは特に病気の心配はいりません。

花後の管理

ムラサキケマンの花後は下から枯れてきます。種を採らないのであれば剪定しましょう。

ムラサキケマンの育て方④詳しい栽培方法

出典:写真AC

種まき

自生しているムラサキケマンは、蒴果で自然に種が飛び散ります。種を育ててまく場合はばらまきでよいでしょう。5月~6月に種まきします。

苗の選び方

ムラサキケマンの苗が販売されていたら、葉がきれいな緑色をしているものを選びましょう。黄色く変色していたり、虫食い状態だったりするものは避けます。

夏越し

1年目のムラサキケマンは、夏に地上部が枯れ休眠します。地植えの場合は特に施すことはありません。鉢植えは、あまりにも土が乾き過ぎたら水やりしましょう。

冬越し

ムラサキケマンは耐寒性のある雑草なので、特に冬越しの作業は必要ありません。

増やし方

ムラサキケマンの増やし方は種まきです。花後、枯れた花が落ちてサヤができます。この豆状のサヤの中に1列に黒い種が入っていますが、種が熟してもサヤは緑色のままです。少しの刺激でサヤが2つに裂け、種がはじけ飛ぶのであらかじめ袋をかぶせたり、新聞紙や包装紙を下に引いたりして種を採取しましょう。

ムラサキケマンの関連記事

ムラサキケマンとは?花の構造や、シロヤブケマンとの違いをご紹介!のイメージ
ムラサキケマンとは?花の構造や、シロヤブケマンとの違いをご紹介!
ムラサキケマンは紫華鬘と書き、日光の戦場ヶ原や島根県松江市などの平地や低地などに自生しています。この記事ではムラサキケマンの花言葉や由来、花の構造やシロヤブケマンとの違いなどについて紹介すします。野生のムラサキケマンを観察したい方は参考にしてください。