分類 | 双子葉植物キク科ブタクサ属 |
形態 | 一年草 |
樹高・草丈 | 50~100cm |
花の色 | 黄緑色 |
花期 | 7~9月 |
生息場所 | 道端、荒地、畑地 |
分布 | 日本全国 |
利用の可否 | 否 |
ブタクサの茎は緑色で上部になると枝分かれし、白く柔らかい毛が全体に生えています。葉の形は2~3回羽根状に分裂した三角状卵型で、表面の色は濃緑色、裏面は灰白色です。枝先に雌雄別になった頭花をつけ、雄花が先端に穂状につき垂れ下がります。雌花は雄花の下方から生える葉の腋についています。
ブタクサの花言葉は「幸せな恋」と「よりを戻す」です。ブタクサはアレルギー性の花粉をまき散らす植物のため、不適切な花言葉と感じられるかもしれません。よく似た植物であるヨモギの花言葉が「幸福」と「夫婦の愛情」となっていることに関連していると考えられます。
ブタクサは明治初期以前に日本へ侵入し、昭和初期ごろから日本全土に分布していきました。現在では、北海道~沖縄まで生息しているのを確認できます。ほかの植物の生育を抑えるアレロパシー作用があるため、空き地や河川敷などで群生している姿を見かけられます。生息場所は、窒素分の多い酸性土壌を好みますが、適応性が高く山地や畑地、樹園地など範囲が広いです。
ブタクサは風で花粉を飛ばして受粉を促す風媒花です。花期の7~9月に大量の花粉を飛ばすため、アレルギーの原因になっています。1個体あたりから3万~6万個の種子ができ、その寿命は40年以上と大変長いです。種子は雨や人、鳥などによって広範囲に運ばれます。
ブタクサは一度畑に侵入すると、その繁殖力の高さから駆除が難しい雑草です。しかし、ブタクサは作物への影響以上に人に対しての被害が問題です。群生したブタクサは大量の花粉を風にまき散らすことで、スギ花粉症に似たくしゃみ、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を引き起こします。
ブタクサを農薬で枯らす場合は、生息場所で種類を選ぶとベターです。畑の周りに生えているブタクサには、ラウンドアップマックスロードやサンフーロンのような農耕地用のグリホサート系除草剤を100倍に希釈して散布してください。空き地や駐車場などの管理ではエイトアップなどの非農耕地用の除草剤を使用すると安くすみます。
ブタクサは非常に繁殖力が高い雑草のため、抑え込みに年3回以上の刈り取りが必要です。「年2回では、全く刈り取りをしていない場合と同じ花粉量が飛散する」といわれるためです。刈り取り以外には、ブタクサハムシというブタクサを好んで食べる害虫を用いた駆除方法があり、近年実用化について注目が集まっています。
ブタクサの防除において、花粉を飛散させないことが重要です。夏に花粉を飛ばす雑草のため、伸長時期から開花時期に除草作業をすることで個体数を減らせます。5月・7月・9月と年3回の頻度で実施するとよいですが、アレルギー症状持ちの人が草刈りをする場合は、開花の有無に気をつけてください。
ブタクサは利用方法のない雑草です。きれいな花を咲かせないためドライフラワーなどの観賞用になることもなく、緑化作物としても草丈が高いうえにアレルギーを引き起こすことから不向きです。ほかの世界3大アレルギー植物である、スギやカモガヤは林業や畜産業のために栽培されていますが、ブタクサはそれもないため、かなり嫌われています。
ブタクサには利用方法がなく、食用もできません。ブタクサの名前の由来はブタが好んで食べていたとなっていますが、ブタの飼料として与えている事例は現代ではないのです。もうひとつ名前の由来として、ブタクサの葉のようなボロボロの布をまとった人を差別的に表現した説があります。こうしてみても家畜の飼料にもならない、本当に使い勝手のない植物といえるでしょう。
ブタクサにはよく似た植物があり、間違われることも多いです。よく混同されるのがセイタカアワダチソウです。河川敷に生えていたり、背が高く黄色の花がついていたりすることからよく間違われます。セイタカアワダチソウは虫を媒介にして受粉するため、花粉を飛ばさない無害な植物です。ほかに、ブタクサのようにアレルギー物質を飛ばすオオブタクサという仲間もいます。
ブタクサをセイタカアワダチソウやオオブタクサと見分ける点は葉の形です。ブタクサは葉がところどころ羽状に裂けるため、切れ込みがいくつもあります。一方、セイタカアワダチソウは先の尖った平たく細長い葉の形で、オオブタクサはスペード状の桑の葉に似た形をしています。
出典:筆者作成資料