オオブタクサとは?外来植物として特徴や駆除方法について解説!

オオブタクサとは?外来植物として特徴や駆除方法について解説!

オオブタクサという外来雑草をご存じですか?別名クワモドキと呼ばれる、成長がとても速く高さ4mほどの大型の雑草です。この記事では、オオブタクサの特徴や日本に侵入してきた理由、環境に与える影響について詳しく解説していきます。駆除方法も覚えて、ぜひ役立ててください。

記事の目次

  1. 1.オオブタクサとは?
  2. 2.オオブタクサの特徴
  3. 3.オオブタクサの生態
  4. 4.オオブタクサの防除
  5. 5.まとめ

オオブタクサとは?

ブタクサ
Photo by Muffet
ボタニ子

ボタニ子

オオブタクサ?コブタクサだったら可愛い感じだけど、どんな草なのかな?

オオブタクサは成長が早くて、在来種に迷惑かける厄介な雑草だよ。もともと、日本にはない外来植物なんだ。

ボタニ子

ボタニ子

えー。そんな厄介な植物を誰が持ち込んだのー。

わざと持ち込まれたわけではないけど、どうやって日本にやってきたか、学名などと併せて紹介するよ。

基本情報

学名 ambrosia trifida
和名 大豚草
英名 Giant ragweed
別名 クワモドキ
分類 キク科ブタクサ属
形態 1年草

名前の由来

ブタクサの葉
Photo by treegrow

オオブタクサの近縁種に小さいサイズのブタクサという雑草があり、その名前が由来します。そもそもブタクサの名前は、英語のragweedの俗名がhogweed豚+雑草であるため、その直訳が由来です。「豚草」という意味には、「豚しか食べないとか豚しか飼えないような荒地に生える」などの意味があります。また、葉がギザギザの雑草ragged+weedが英名の由来という説もあるため、日本に伝わったときに誤訳が生じたとも考えられます。

原産国

アメリカ
フリー写真素材ぱくたそ

オオブタクサは北アメリカ原産の植物で、日本には1952年に侵入してきたことが記録されています。現在では、南アメリカ、ヨーロッパ、アジアと世界各国へ帰化植物として分布しているのです。日本では、都会近郊の路傍や荒地、畑地など広範囲に繁茂していることを確認できます。ちなみに、近縁種のブタクサはオオブタクサより早い明治初期に日本に入ったとされています。

オオブタクサの特徴

オオブタクサの茎葉

大きなオオブタクサ
Photo by VasenkaPhotography

オオブタクサは湿地帯を好みます。高さが1~4mと大型で、6mちかくになる個体もいるのです。葉の大きさは20~30cmで、掌状に分裂しクワの葉の形に似ています。生育が非常に早いのが大きな特徴で、トウモロコシ畑では防除を間違うと一面がオオブタクサで覆われてしまい、95%の光を遮ってしまうため収穫不能になることもあります。

オオブタクサの花

ブタクサ
Photo by wallygrom

オオブタクサは、8~9月ごろが開花時期です。枝先に雌雄別になった花をつけます。雄の花がまとまってつき、その下に雌の花がつくのです。1株から275個の種子をつけるといわれており、風や鳥、人によって伝播します。この種子は、地中深くに眠っても21年間は発芽能力を保持すると報告があり、驚異的な休眠力で発芽の機会をうかがっています。

オオブタクサの生態

高い伝搬能力

ブタクサ種
Photo by Macleay Grass Man

オオブタクサは、非常に休眠性が高く、地中深く埋まっていても発芽能力を失いません。これだけの休眠性があるため、輸入牧草の中に混入した種子は、一度牛の体内に入っても発芽能力を失わず、糞と一緒に排出されたタイミングで発芽します。また、街の豆腐屋など捨てるゴミの中には、輸入大豆に混入した種子も含まれており、街中のオオブタクサはこうした事業ゴミから伝搬したと言われています。

ボタニ子

ボタニ子

気づかないうちに日本に侵入していたんだねー。

そうなんだよ、いつの間にか侵入していたんだ。外来植物は、それが分解されるものであっても、ちゃんと燃えるゴミに出すようにしようね。

花粉症の原因

出典:写真AC

オオブタクサの開花時期は秋頃です。これが秋に起こる花粉症の原因として問題になっています。オオブタクサの花粉は風媒介で受粉しますが、この風に乗ったとても小さな花粉が原因です。群生した集団からは大量の花粉が飛び散り、スギ花粉症の症状に加えて喉や口の周りのかゆみを引き起こします。アメリカでは、4人に1人がオオブタクサの花粉に悩まされており、国をあげてアレルギー源であるオオブタクサの根絶に取り組んでいます。

ボタニ子

ボタニ子

日本のスギ、ヨーロッパのオーチャードグラス(カモガヤ)、アメリカのブタクサが世界三大花粉症なんだって。

オオブタクサの防除

耕種的防除

草むしり
Photo bySkitterphoto

厄介なオオブタクサですが、1年草の雑草のため、種を落とさず駆除すれば大した問題にはなりません。開花時期の前の7月中旬ごろに、大きな手のひら形の葉の雑草が生えてきたら、種を落とす前に切り取るか抜き取りましょう。また、オオブタクサの種は休眠性が高いですが、寒さには弱く、2回冬を経験するとほとんど死んでしまうと報告されています。寒い地域の畑で発生したときは、次の春まで耕さずに放置することで被害を抑えられます。

化学的防除

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トウモロコシ畑に登録のある土壌処理剤

オオブタクサを効率的に防除するためには除草剤の使用がおすすめです。成長スピードが早い点を活かして、播種前に耕起することで発芽を促進させられます。その後に、ラウンドアップやサンフーロンなどのグリサホート系除草剤を散布し、播種床をつくるため耕起作業に移ることで、オオブタクサのを駆除できます。トウモロコシ畑などでは、土壌処理剤や茎葉処理剤などの登録農薬がありますが、その他の作物では情報が少ないです。

まとめ

川辺のブタクサ
Photo by Bill Alden

オオブタクサは花粉症の原因だけでなく、日本在来植物を駆逐する本当に迷惑な雑草です。利用価値も低く、原産地アメリカでは野生の七面鳥に食べさせるぐらいしか使い道はありません。風だけでなく、川や水路の流れにそって伝播することもあるため、開花時期を迎えて広範囲に広がる前に早めに引っこ抜いて駆除しましょう。

dodon
ライター

dodon

農業普及指導員経験者。得意分野は農畜連携と牧草生産。草と農業者とのたたかいは有史以来おこなわれております。

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