タンジーの育て方!収穫までに必要な作業や水やりなどの管理のコツを解説 | 植物図鑑

タンジー
学名Tanacetum vulgare
和名ヨモギギク(蓬菊)
別名蓬菊(ヨモギギク)・蝦夷蓬菊(エゾヨモギギク)
英名Tansy・common tannsy・buttons
科・属名キク科・ヨモギギク属
原産地ヨーロッパ、中央アジア
花言葉平和、挑戦する、婦人の美徳

タンジーの概要

基本情報

園芸部類 草花・ハーブ
形態 多年草
樹高・草丈 50~120cm
花の色
耐寒性 強い
耐暑性 強い
特性・用途 薬用・染色・鑑賞・香料
栽培難易度 ★☆☆☆

特徴

夏になると、タンジーは小さくてまるいボタンのような花を咲かせます。鮮やかな黄色で、かわいらしい花です。タンジーの葉は細長くて切れ込みがはいった、ヨモギのような形をしています。葉の色は深い緑色で、樟脳(しょうのう)のような強い香りが特徴です。

効果・効能

タンジーは毒性が強いので食用には不向きですが、香りには防虫効果が期待できます。畳やカーペットの下にいれたり、ペットの敷き物の下にいれたりして防虫するのもおすすめです。またタンジーは豊富なカリウムなどの栄養を含むため、果樹園に植えて緑肥にすることで、土に栄養を与えられます。

タンジーの代表品種・種類

①カールドタンジー

タンジーの変種で、葉がちぢれているのでカールドタンジーと呼ばれています。葉の切れ込みが細かく、押し葉にするととてもきれいです。基本種ほども繫殖せず、香りもやわらかいので、小規模の庭園に好まれます。

②エゾヨモギギク

タンジーの変種で、葉はシダのような形をしています。エゾヨモギギクは北海道で自生していますが、絶滅危惧に指定されている品種です。

タンジーの育て方①時期

植え付けから収穫・開花までの時期

植え付け時期(種) 3月~5月・9月~10月
植え付け時期(苗) 5月~6月・10月~11月
開花の時期 8月~9月
肥料の時期 3月~5月・9月~11月
株分け 3月~4月
収穫時期(花) 8月~9月
収穫時期(葉) 6月~9月

栽培カレンダー

時期1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
植え付け(種)
植え付け(苗)
植え替え
肥料
開花時期
株分け
収穫時期(花)
収穫時期(葉)

タンジーの育て方②栽培環境

育てる場所

置き場所・日当たり

タンジーは年間通して風通しと日当たりのよい場所で育てます。地下茎が伸びて広がっていくので、庭植えがよいでしょう。タンジーはとても丈夫で、暑さや寒さに強く、防寒は特にしなくても冬越しします。

用土

タンジーは、水はけがよく適度に湿った土で育てるとよく育ちます。鉢植え場合赤玉土小粒1、腐葉土1を混ぜた土や草花用培養土、ハーブ用培養土などで育てるとよいでしょう。庭植えの場合、苦土石灰を1㎡あたり100g(コップ1杯程度)を1週間以上前に、土に混ぜておきます。

タンジーの育て方③管理のポイント

水やり

庭植えの場合、植え付けのときや真夏に晴天が続いたら水やりをします。それ以外は水やりの必要はありません。水やりをやしすぎると根腐れして、タンジーが枯れてしまうこともあります。鉢植えの場合は、生育期に乾燥し過ぎないように気をつけましょう。水切れするととう立ちが早くなったり、葉が枯れて成長が悪くなったりして、花や葉の収穫が少なくなるので注意してください。

肥料

庭植え・鉢植え共に元肥として暖効性肥料を施します。開花・収穫が終わる頃(9月下旬~10月上旬)に、お礼肥として暖効性肥料を追肥しましょう。タンジーの成長が悪いときは3月~5月、9月~11月の間、2~3カ月に1回液体肥料か油かすを追肥してください。

害虫・病気対策

タンジーは自身が虫よけになるので、害虫や病気の心配はほとんどありません。

主な作業

株の管理

地下茎で広がって伸びたタンジーの株は、梅雨前に地下茎ごと抜き取りましょう。タンジーはカリウムをたくさん含んでいるので、抜いた不要な地上の部分は堆肥として利用できます。

支柱を立てる

タンジーの開花の時期が台風の時期と重なるため、前もって花茎に支柱を立て、倒れないように対策しましょう。

収穫

タンジーの花は、夏に茎から切って収穫します。保存用は、開花したら地面から15cmくらいのところで切り、束ねて吊し乾燥させましょう。ドライフラワー用は、花が黄色くなってきたら収穫し吊して乾燥させます。葉は、春~秋の間ならいつでも収穫が可能です。

タンジーの育て方④詳しい栽培方法

種まき

タンジーは、3~5月か9~10月に種まきをします。タンジーの種は小さいので土は薄く被せましょう。水やりのときに種が流れたり、苗が倒れたりしないように気をつけます。しっかり根を張るまでは、土が乾燥し過ぎないように注意してくださいね。タンジーの本葉が4~5枚になったら植え替えましょう。

育苗

タンジーの苗は、5~6月か10~11月に植え付けます。タンジーは蒸れると枯れることもあるので、株間を50~60cm程度あけて植えましょう。鉢植えの場合10号鉢に1株を基準に、苗についている土を崩さないように植え付けます。根が付くまでは水やりをし、風通しと日当たりのよいところで管理しましょう。

植え替え

鉢植えのタンジーは、毎年定期的な植え替えが必要です。春か秋の天候がよいときに、ひと回り大きな鉢に植え替えましょう。また植え替えをするときに、株分けもしておくことをおすすめします。

増やし方

タンジーは一度植えると、花後に種が落ちて増えることもあります。

株分け

2~3年に1回、春か秋(花後)に増えて混んできた株を分けます。春にする場合は、新芽に根を付けて切り離しましょう。地中の茎が伸びたところの元気な株を残して、不要な地中の茎を取り除きます。株分けは失敗が少ないので、タンジーに適した増やし方です。

挿し木

  • 緑枝挿し:春にぐんぐんと伸びた新しい茎を地際で切り離し、下半分の葉を取り除いて、清潔な土に挿す
  • 半熟枝挿し:初夏に地際の木のようになってきた茎を15cmくらいの長さで切り、先のやわらかいところと下半分の葉を取り除いて、清潔な用土に挿す
秋に挿し木をするときは、病害虫のない健康な茎を選びましょう。

タンジーの利用方法

利用方法①ドライフラワー

茎ごと収穫したタンジーの束を紐で縛り、逆さに吊しておくとタンジーのドライフラワーが作れます。完成したドライフラワーを窓際などに吊しておいたり、リースやポプリにして部屋に飾ったりするとインテリアにもなるうえ、虫よけとしても活用できるためおすすめです。またサシェ(匂い袋)はタンスに入れておくと、防虫にもなります。

利用方法②草木染め

タンジーの花は草木染にも使用されています。染めるときの媒染剤の種類や布など材料にもよりますが、鮮やかな黄色やベージュ、茶色などの色に染められます。

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